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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第114話 宿場の茶

関東。


宿場町。


昼。


雨上がり。


濡れた草履が並ぶ。


囲炉裏。


湯気。


安い茶。


旅人たちが肩を下ろしていた。


「越後、また荷来たぞ」


誰かが言う。


別の男が眉を寄せる。


「またか」


「最近、切れねえな」


老人商人が湯呑を置いた。


「道が生きてる」


短い言葉。


皆が黙る。


戦国では。


それが珍しかった。


戦。


雪。


盗賊。


病。


少し崩れれば、すぐ止まる。


だが。


最近の越後は違う。


遅れる。


少ない。


それでも。


止まらぬ。


商人の一人が笑う。


「最近の魔王、刀より橋だな」


少し笑い。


だが。


すぐ誰かが言う。


「……笑えねえよ」


沈黙。


住める国。


逃げなくていい国。


飯が少し届く国。


そういう国は。


戦より厄介だった。


雨の雫が屋根から落ちる。


湯気が揺れる。


越後という名が。


少しずつ重くなっていた。


(次話へ)


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