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第102話 沈まぬ橋
越後。
川。
春水が流れていた。
橋は、半ばを越えていた。
濡れた木。
縄。
泥。
兵が杭を打つ。
村人が縄を引く。
兼継は橋の端に立つ。
視線だけが動く。
「左を補強しろ」
短い声。
男たちが動く。
迷いがない。
若い兵が息を切らす。
老人が笑う。
「まだ倒れるな」
荒れた手。
濡れた足袋。
疲れた顔。
それでも。
橋は少しずつ伸びていた。
誰かが言う。
「これで春前に届くか」
別の男が小さく頷く。
薬。
塩。
米。
橋一本。
それだけで変わる。
兼継は川を見る。
流れは強い。
少し油断すれば奪う。
国も同じだった。
守らねば。
静かに崩れる。
だから。
積む。
ただ、それだけだった。
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