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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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101/288

第101話 乾き始めた道

朝。


越後。


空は薄く晴れていた。


泥だった街道が、少し乾いている。


深く沈んでいた轍も。


今日は少し浅い。


荷馬が進む。


軋む音。


馬の鼻息。


商人が足を止めた。


「……早えな」


誰へともなく呟く。


去年なら。


半日は遅れた。


荷が止まる。


腐る。


争いになる。


それが普通だった。


だが。


今日は違う。


村へ届く。


山へ届く。


少しずつ。


確かに届く。


道端。


兵が石を積んでいた。


農民もいる。


若い者。


老いた者。


誰も喋らない。


ただ手を動かしていた。


誰かに怒鳴られた訳ではない。


だが。


止まれば崩れる。


皆、もう知っていた。


遠く。


兼継が立っている。


風の中。


泥を見ていた。


(次話へ)


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