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第100話 朝の湯気
山村。
朝。
鍋から湯気が立つ。
味噌の匂い。
薄い粥。
それでも。
去年より多かった。
子どもが椀を持つ。
女が火を整える。
老人が外を見る。
空はまだ寒い。
だが。
春の色が少しだけある。
若者が戻る。
荷を運ってきたのだろう。
肩が泥だらけだった。
「橋、出来そうだ」
女が顔を上げる。
老人が黙る。
長い沈黙。
そして。
小さく言った。
「そうか」
それだけ。
だが。
少しだけ肩が落ちた。
安心だった。
遠い城。
見たこともない武将。
それでも。
少しずつ。
生きるが届いてくる。
囲炉裏の火が鳴る。
湯気が揺れる。
春は、まだ遠い。
それでも。
確かに近づいていた。
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