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異世界×やきう×セイバー  作者: レッサー・フォン・ゴールデンバナナ
第2章 陸にあがる海賊達(パイレーツ)
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ウィンターミーティング その2

「赤城ファルコンズのGMね」

瞳子は説明した。この球団は人気と伝統を誇るが、長年にわたり頂点から遠ざかる悪しき実績がある。そこでこの球団のオーナーは若きGMの将来性に託した。聡明な若者が最後に勝てない呪いを打ち破れるだろうと。


「自分の名前を知っていたんですよ」


「柔軟な考え方の持ち主らしいわ。きっとレイカーズの補強についても情報を集めてたんだわ」


伝統があるが故にファルコンズは常に保守的な考えで球団を経営してきた。球界の流行には常に遅れていたために低迷するシーズンが多かった。そうした理由から球団オーナーは若いエグゼクティブ-球団幹部-を登用することにした。頭の硬い老人よりは流行を先取り出来るであろうと期待して。


最近の赤城ファルコンズはある人物を顧問として雇用したようである。ウィンターミーティングでデータを正しく使った選手編成を語った人物が雇われたようだ。旧来の指標ではなく、選手の力量をより正確に判断する新しい指標を使うらしい。




午後の会議を終えて瞳子はチームセイバーのメンバーと合流。

「とりあえず商談(トレード)はまとまったわ。対価はきつかったけども目的の選手は手に入ったわ」


「とりあえずは及第点ですね。」


「あとはFA市場よ。」


トレード事態はウィンターミーティング以降も可能ではあるが、レイカーズのトレード市場での買い物はすでに終えている。後は空いたポジションをFA補強で埋め合わせる。


必要な野手はトレードで手に入れた。代わりに先発投手を失ったが、この投手陣はデータでは旧指標は優れているが新指標は逆に悪い。

つまりレイカーズ首脳陣の判断では出来すぎた成績の選手を放出して別の選手を手に入れた形である。


そして逆に獲得した選手は旧指標は芳しくはないが、新指標では優れている選手を中心にかき集めた。

主人公はかつてオークランド・アスレチックスが採った手段を用いることにしたのだ。


「放出した投手の代わりを手に入れる必要があるわね」




先のトレードについての書類を瞳子は見る。


「そして後はキャッチャーね」


「この補強プランの最大の要になります」


トレードに応じた相手球団は昨シーズンは先発投手の怪我に悩まされた。この球団にはエースはいて打線は十分に戦えるが、二番手以降に不安がある。先発投手のコマを増やすことでその不安を解消しようとしていた。


二部リーグの選手なので全員が活躍することは望めないが、このチームの財政規模ではFAで大物を獲得するには厳しかったようであった。

二部リーグ上がりのチームからの補強で、安価で先発投手の層を厚くすることで対応を試みるようだ。

先発投手の整備には本当にお金がかかる。




「そうね。レイカーズが一部リーグで戦うに必要になる」


「大方はプラン通りに進んでますね。あとは若手の育成が成功するかどうかです」


「わかっているわ。あなたがプレゼンしてくれた複数のプランの中から一つを選んだのは私だもの。その中で若手の育成は私の担当。きちんと責任はとるわ」





ことは数ヶ月前。


「データを元にしたチーム作りの案は採用されました。次にどのようなチーム作りをするかです」


主人公は手にしていた書類を出した。


「育成、FA、トレード。全てがうまくいけばいいですが、そんな都合のいいことは起こりません。なのでドラフト指名やFAなどの限られたリソースを有効に使うためにも、チーム作りのプランのを用意しました」


瞳子は机に差し出された書類を見る。内容は3つである。


A案

ドラフト上位指名を投手中心に据えること。そして下位指名から野手を上手く育成していく。


B案

ドラフト上位指名を逆に野手中心にする。投手は移籍市場における契約が安価に済む3流投手の中からデータを生かしてブレイクしそうな選手を探し当てる。


C案

B案の逆。ドラフト上位は野手を指名で、安価な補強で投手を獲得。


そして瞳子は決断した。











スポーツ界では年俸は右肩上がりの状態であった。インターネットが爆発的に普及しテレビ視聴の形が多様化されるにつれて、スポーツはより価値が高まってきた。


他のテレビ番組ではレコーダーの普及もあり視聴者は宣伝をカットすることも多く、またテレビ事業がネット放送やその他娯楽に視聴する時間を奪われだされる。


その中でスポーツ放送は相対的に価値を高めた。


ネットが普及した現在では情報の到達も早い。後で視聴してもそれよりも早く結果を見てしまうことになってしまうこともしばしば。

なので視聴者はスポーツはリアルタイムで見ようとするのだ。


最後までドキドキハラハラしながら、うざいほどの球場の宣伝広告が目に入っても、長いCM期間があったとしても、視聴者は一球のボールの行方を見たいと思うのだ。


例えそこにうざいと思うほどに宣伝広告が映っていようとも。



そしてMLBではどの球団もテレビ会社と放映権契約を結び直した。どの契約も長期間で莫大な金額を支払うことになっていた。


技術革新の早い世界においては金額はともかくも長期の契約はリスクが高い。他の放送形態が新たに生まれることにでもなれば、投資した金額は無駄になる恐れがあるにも関わらずにだ。


しかし放送関係者はそうは思わなかった。数十年先でもスポーツ放送は負けない。




◯月×日のスポーツ新聞



その中で野球王国ではとある選手の契約が話題になった。投手史上最高となる7年2億1000万マネー。(1マネーお菓子棒10本分)


過去に多数のタイトルとアウォードを獲得した選手であったので、この契約はそれにふさわしい待遇として世間からは認められた。


この選手の名前は一ノ瀬櫂。


現代野球では変化球は多様な模様を示しており、特に先発投手はどの投手も3から4つほどは持っていることが普通である。


また変化球事態も色々な呼称があり、例えばスライダーやカーブでは、速い順からスラッター、高速スライダー、スラーブ、パワーカーブなど。

チェンジアップも普通のものからサークルチェンジ、バルカンチェンジ、高速チェンジなど。


こういった状況からすると一ノ瀬は古典的であった。球種は速球・縦カーブ・スライダーのみ。


速くてノビのある速球。球界屈指のスライダー。球界最高のカーブ。それらをコントロールよく投げ込む。


ピッチングスタイルとしては絶滅危惧種だと思えるほどに古典的だったが、それでも質と技術を兼ね揃えれば最高の投手になれるという、ある意味で希有な選手であった。





そしてスポーツ新聞には小さくこの巨額契約(メガディール)以下の金額で如月レイカーズがいくつかの契約をまとめたことが標されていた。


とある金持ち球団からFAとなった選手であった。ポジションはキャッチャーであり、能力はそこそこの打力といまいちな肩。

その球団は金持ちであったので、他の優秀なキャッチャーの獲得も視野に入れながらの契約交渉を行っていた。


そこで如月レイカーズはこの選手を3年3000万マネー。先の投手の1年分の年俸ほどの契約総額であった。




元ネタ

一ノ瀬はクレイトン・カーショウがモデルです。

ロサンゼルス・ドジャースに在籍しており、2010年代の最高の投手です。


2010年代のMLBの投手では2シームやカッター(日本ではカットボール)といった動く速球であるムービングファストボールを使う投手が多かったです。また変化球も豊富な投手も多かったです。



そうした状況で4シーム(真っ直ぐの直球)、カーブ、スライダーで勝負するという古典的な投手です。


ノビのある速球とキレのある変化球をコントロールよく投げるスタイルです。

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