第17話 告白と覚悟と
「サブの奴に聞いたぞイリアス。セラフィナのこと、めっちゃ思いっきりぶっ叩いたらしいな」
「そうしなければ、私の方が危なかったので。致し方ありませんわ。――ごめんなさいね、セラフィナ」
「……もう、暴れないから、ほどいてください。お姉様」
聖剣から外した下げ緒でセラフィナは後ろ手に拘束されていた。
バングルと聖剣の下緒による二重の拘束。
セラフィナの魔力は完全に遮断されている。
「に、してもだ。クズどもの研究も、ちったー役に立つって訳か。――反吐が出るけどな」
心底気持ち悪そうに吐き捨てるアニキール。
イリアスはアニキールに尋ねる。
「話していただけますわよねアニキールさん? セラフィナがどういう存在で、どんな状態なのかを」
「……それはセラフィナに聞かねーとな」
アニキールはセラフィナに目線を合わせる。
セラフィナは木製の床に座り込んだまま、頷く。
「……お姉様に隠しても、多分ダメなんだってわかった。それなら、話した方が安全かもしれない」
「……良いんだな? どうしても辛かったら、奥の工房で休んでても良いぞ」
「嫌です。これはきっと、セラが乗り越えないといけないことだから……」
その瞳にはかすかに。
しかし、確かな意思が浮かぶ。
「……アニキール。セラフィナは覚悟を決めたようだ。後はおまえがどうするか決めろ。サブス君の事もあるし、話しにくいのはわかるが」
そうグーレイがアニキールに語りかける。
「……俺様の体験はサブの奴やセラフィナに比べればまだマシだ。――それでも、メシを3日食えなくなったが」
「……そんなになんですの?」
「そんなにだから、セラフィナはおまえに聞かれたくなくて命を奪おうとしたんだぞ。イリアス、お前。覚悟はあるな?」
アニキールがイリアスに問いかける。
否、確かめる。
――地獄を覗く覚悟があるか、と。
「……私はアニキさんにセラフィナを託されたのでしてよ? それに私は『環神の儀』で死んだ身でして。――地獄はすでに見てきましたわ」
「……まぁ、野生動物に襲われるのも地獄っちゃ地獄か。それより遙かにヒデーけどな」
アニキールは目線を床に落とし、髪の毛を掻きむしる。
そして覚悟を決めたかのように顔を上げた。
「なら、話すことにすっか。セラフィナ。いや、あえてあのクズどもの言葉を借りよう。『人工大火槍の騎士作成計画、被検体番号第93番』について、俺様が知っている事すべてをな」
セラフィナの体が震える。
イリアスはそんなセラフィナを後ろから抱きしめた。
「……お願い致しますわ」
そして、地獄が語られ始めた――。




