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第4章:再会

■看板娘


「いらっしゃいませー!」


酒場の扉が開く音に、マイは明るい声で振り返った。

二十歳になったマイは、この酒場の看板娘として働いている。

注文を取るのも、料理を運ぶのも、酔いつぶれた客の相手をするのも、今ではすっかり慣れたものだった。


この世界で暮らし始めて、二十年。

酒場を営む夫婦に育てられたマイにとって、この場所はもうすっかり自分の家だった。

成長することで顔立ちがはっきりしていくのに比例して、すっかりあの頃のマイと同じ姿になっていた。

もう少しだけグラマーな私を想像したら、適用されたのかな?と思いつつ


そして、マイにはもう一つ、この酒場にいる理由があった。

タクとナムを待っているのだ。

いつ会えるのか、日時までは分からない。


ただ、二人がこの世界に来たとき、ここで会える。

そのことだけは、なぜか確信していた。

そもそも、どうしてマイがこの世界にいるのか。


話は二十年前まで遡る。




■二十年前


マイが転生した場所は、この酒場の一角にある席だった。


まだ生まれたばかりの赤ん坊だったマイを最初に見つけたのは、この酒場を営む夫婦だった。


なぜ赤ん坊がこんな場所にいるのか。

夫婦にも当然、分からなかった。

それでも、泣いている赤ん坊を放っておくことはできない夫婦はマイを自分たちの子どもとして育てることにした。


それから二十年。


マイはこの酒場で育った。

この世界の言葉も、常識も、生活も、少しずつ覚えていった。

最初は何もかも分からなかった異世界も、二十年も暮らせば日常になる。

冒険者が利用するギルドの仕組みも、貨幣の価値も、街での暮らし方も知っている。


そして、転生の際に与えられた能力――「自分が稼いだお金が5倍になる」という能力も、生活の中で上手く活用してきた。


今では酒場の看板娘として働きながら、自分の生活を自分で支えられるだけの基盤も築いている。


ただ、一つだけ。


二十年間ずっと待っているものがあった。


タク。

そして、ナム。


いつ来るのかは分からない。

けれど、来る場所だけは分かっている。


この酒場。


だからマイは、ここにいる。




■再会


その日。


酒場のいつもの席に、突然二つの人影が現れた。


「……え?」


マイは目を丸くした。


一人は、見慣れた青年の姿。

もう一人は――猫だった。


マイは、一瞬で理解した。


「タクだ! 会いたかった!」


青年の姿をした人物が、驚いたように目を見開く。

その隣では、猫がマイを見上げていた。


「待って、ナムも一緒!?」


猫が「にゃおーん」と鳴いた。


青年も「にゃおおーん」と鳴く。


そして二匹は、しばらく顔を見合わせ――。

なぜか、同時に大笑いした。

少なくとも、マイにはそう見えた。


「……何?」


マイは首を傾げる。


青年の姿をしているのに、タクは妙に口数が少ない。


以前のタクなら、二十年ぶりに再会した幼馴染を前に、もっと色々と話したはずだ。


一方、猫のナムは妙に落ち着いている。

けれど、マイはそれ以上深く考えなかった。


転生したばかりなのだ。

きっと混乱しているのだろう。


そう思った。


「二人とも、まだ転生したばっかりで大変だよね。今日はもう休もう」


マイは二人を連れて、隣の宿へ向かった。




■翌日


翌朝。

「まずは住むところを探さないとね。仕事も必要だよね。ギルドに行けば依頼を受けられるから、二人ともそこで仕事を探そう」


マイは二人を連れて街を案内した。


ギルドで仕事を探し、生活に必要なものを揃え、住む場所も探す。

異世界に来たばかりの二人にとっては、見るもの聞くものすべてが新鮮だった。

対してマイは、迷うことなく街を歩いていく。


「こっちは市場。あっちがギルド。薬屋ならこの通りを抜けたところ」


二十年間暮らしてきた街だ。

マイにとっては、もう勝手知ったる場所だった。

そして、ようやく二人が暮らせそうな部屋を見つけた。


「ここなら大丈夫そうだね」


だが、当然ながら二人には、この世界で暮らしていくためのお金がない。


マイは少し考えた。

そして、ため息をつく。


「仕方ないなあ。今回は私が貸してあげる。昨日の宿代も、今日からの家賃も、当面の生活費も、ちゃんと働いて返してよ?」


タクは黙ってマイを見る。


「……分かった」


「よし」


マイは満足そうに頷いた。

二十年ぶりの再会でも、そこはしっかりしている。


---


二十年の歳月を経て、ようやく会えた二人と一匹。


けれど。


二十年待ったのは――実は、マイだけだった。



──────────────────────

神ちゃんへ質問コーナー


はい、どうも。

神ちゃんです。


ここからは質問コーナーということで、皆さんが疑問に思っていることに答えていこうと思います。


まずは自己紹介から。


私は神様。

……まあ、詳しいことはそのうち。


では、さっそく最初の質問。



■Q.どうしてマイだけ二十年前に転生したんですか?


A.

……これはじゃな。


ワシのミスです。


正確に言うと、

3人を同じくらいの年齢で再会させるつもりだったのに、マイだけ「生まれ変わり申請書」で処理してしまった

ってことになる。


本来なら、三人とも同じ時期、同じ場所に転生するはずじゃっが、マイについては「新生児として転生する」という申請内容が優先されてしまった。


しかし、ワシが(勝手に)約束してしまったのは、


「タクとナムと、同じくらいの年齢で再会できるようにする」


ということ。

この二つが衝突した結果――。


マイだけ二十年前の世界へ飛ばされることに……


……いや、本当に申し訳ない。

ただ、その結果としてマイはこの世界で二十年を過ごし、二人が来る場所を知り、生活基盤まで築くことになったのじゃ。




…………ちと苦しい言い訳じゃのぅ

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