ある竜の想い
俺は太古より洞窟に住む竜、世界を知り尽くし、暴虐の限りを楽しんだ。しかし、いい加減飽きてきた。今では退屈が俺を苦しめる。時々やってくる討伐隊など退屈凌ぎにもならん。ある時俺のもとに、みすぼらしく痩せこけた少女がやってきた。腹が空いてこんなところまで食い物をさがしに来たのか? 何と俺に気づきもしないで探し回っている。鼻息をかけると吹き飛んで逃げていった。久しぶりに笑った……。もう来ないと思ったがまた来た。食ってやろうかと脅したら涙目になって逃げていった。実に愉快だ。それからまた退屈な日々が過ぎる。するとまた来た。今度は絵を描いたり喋ったり。面倒なので放っておく事にした。痩せてて食っても腹の足しにもならん。しばらく聞いてやるとするか……。