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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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京都・三条大橋 その2

 一方、ユラは。

「くっ、腕が自由にならん」

「ふん!この間はよくもやってくれたな」

「む、お主、生きておったか」

 ユラの後ろに、黒い影が。

 日影ウスオである。


 ユラは右手首を、ウスオにガッチリ掴まれていた。

「むう、この私に気配を悟られぬとは」

 持ち前の影の薄さを、最高度に薄くした彼は、同じ忍者のユラにさえ、その存在を気づかれることなく、近づいたのだった!


「観念せよ。お主の悪事、ミケタマの前で洗いざらい喋ってもらう」

「ほう、そううまくいくかな?」

「忍法・二人羽織の術で、お主を操る」

「そうは行くかな?このセミたちは、ただのセミではないぞ。私が命令すれば、たちまちお主に齧り付く」


「指揮棒は我が手の中だ」

「甘いな。秘技・双鞭のシンフォニー!」

 叫んで、ユラは左手を懐に突っ込むと、もう一本の指揮棒を出した。

 だったら、早くそれをすればいいものを。


「セミたちよ、風魔忍者を、やっつけろ!」

「くっ!」

 セミの攻撃に身構えるウスオ。


 だが、いくら待っても、セミたちは襲って来なかった。

「どうした!?セミたちよ、なぜ攻撃しない?」

 ユラの問いに答えるかのように、情けない蝉時雨が響いた。

 シュン、シュン、シュン、シュン、シュン…………。


 当然である。

 ミケタマに嫌われたら、シュンとなってしまう。


「おい、セミたちよ」と、ウスオは呼びかける。「我が味方にならぬか。こやつの悪事を暴き、一緒にミケタマに気に入られようではないか?」

 たちまちセミたちは元気を取り戻した。


 ミーケ、ミケミケミケ……!

 ターマ、タマタマタマ……!

「よし、交渉成立だな」

 ニヤッと笑うウスオ。

 だが。


「なにお、こうなれば、手段は選ばぬ。出でよ、甲賀忍者軍団!」と叫ぶユラ。

 ワラワラと、甲賀忍者の集団が現れ、ウスオを取り囲んだ。

「フハハハハ、どうだ見たか。これがお主には絶対にない友達というものだ!」と、ユラは高笑い。


 形勢逆転、またしても窮地に陥ったウスオかと思われた、そのとき。

 ドドドドド……!

 遠くから、けたたましい音が聞こえてきた。


 何事かと、ウスオとユラが振り返ると、雪煙を上げて、近づいてくる何者かがいた。

「ミケコさーん!タマコさーん!」

 金のシャチホコにまたがり、猛スピードで近づいてくる、ボンボンが一人。

 髪は乱れ、服はボロボロだが、あの男に違いない。


「お待たせしました、弥次喜多一茶、ここに参上!」

 多羅尾ユラの術により、金のシャチホコに乗せられたまま、中国の黄河流域まで行ってしまった彼。

 が、どうにかこうにかシャチホコたちを説得し、つい今朝方、瀬田川を遡り、琵琶湖まで戻ってきたのであった!


「僕はバカであった。二匹の金のシャチホコと共に旅をし、気付いたのであった。金シャチは二匹で一体。ミケタマも二人で一つ。どちらか片方だけものにしようなどと考えることは、これすなわち、まさに天に対する冒涜、宇宙に対する反逆に他ならず!この弥次喜多一茶、ミケタマを両手の花にして、ムフフでムハハでムヒャヒャハハのために生まれてきた男!今こそ天命を受けて、帰ってきましたよーっ!!ミケコさーん!タマコさーん!」


「坊っちゃん、よくぞそのことに気づかれました!さすがは七代目弥次喜多グループ当主になられる男!普通のスケールでは収まりませぬ!まるで天下人家康、いや、秀吉、信長、ナポレオンを合わせても、坊っちゃんにはかないませぬぞお〜!!」

 もう一体のシャチホコには、ちゃんと歌井鱒之助が乗っていた。

 彼もまた、ボロボロになりながらも、一茶と共に黄河流域まで行って帰ってきたのであった!


「な、何だ、あれは……!」

 百戦錬磨のユラも、さすがに怖くなった。

「待て、他にも何かいるぞ」と、ウスオ。

 一茶の後ろに従っているのは、名古屋城で戦った、伊賀忍者集団だ!


「伊賀忍者たちよ、邪魔者どもを、一網打尽にするのだあーっ!!」

 ほとんど錯乱状態の、一茶が叫んだ。

「こうしちゃおれん。お先!」

 ウスオはミケタマを追いかけ、先を急いだ。

 セミたちがそれに従う。


「あ、待たぬか!」

 ユラも後を追う。

 甲賀忍者軍団は、少し迷ったが、ユラについていくことにした。


「ミケコさーん!タマコさーん!今、一茶が参りますよーっ!待っていてくださーいっ!」金シャチに乗った一茶がそれを追う。「お前たち、敵を蹴散らせーっ!」

 その後を、伊賀忍者軍団が追いかける。

 もう、わやくちゃだ。

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