大津 その2
しばらくして、ゆっくりと温泉に浸かって旅の疲れを洗い流した後。
彼女たちは、部屋でくつろぎながら、今回の旅を振り返っていた。
もちろんその手には、ミケタマ公式ドリンクである、お酒が。
「明日でこの旅も最後だなんて、何だか寂しいわね」
と、ミケコは冷たいビールをぐいとあおった。
「でもそれよりも不思議な気分だわ。私たち、本当にスキーで東海道を走破してきたのかしら」
タマコはワインをグビグビいった。
「出発前は、本当に出来るとは思っていなかったわ」
「私、どうせ途中でリタイアすると思っていたのよ」
日本酒のお銚子が、尋常でないペースで空になっていく。
「いろんなところを通って」
「いろんなものを見て」
「いろんなものを食べたし」
「いろんな人に出会ったわね」
そしてテキーラ、ウイスキー、ウオッカ、ジン。
いろんなお酒が、彼女たちの胃袋の中に消えていった。
「川崎のお化け屋敷でのタマったら、なかったわ」
「もう、よしてよ。平塚でアイドルになったのは、面白かったわね」
「そうそう。でも、大磯では吹雪に見舞われたわね」
「あれは大変だった。小田原のかまぼこ、おいしかった〜」
「箱根をスキーで登ったのは、楽しかったなあ」
「沼津の海鮮、おいしかった〜」
「府中で泊まった、駿府城も良かったなあ」
「浜松のウナギ、おいしかった〜」
「名古屋城に泊まれたのには、びっくりよ」
「桑名のハマグリ、おいしかった〜」
「あなた、そればっかじゃないの」
「だって、おいしかったんだもん」
一周回って、再びビールをぐいといく。
最初の一口もうまいが、一周回った後のビールも、またうまい。
「一茶さんとも、あんなに話をしたのは初めて」
「ミケったら、やっぱり彼のことが気になるのね」
「そんなんじゃないわよ。ただ、どうしてるかなって」
「金のシャチホコに乗って、どこまで行っちゃったのかしら?」
「戻って来れるかな?」
「来れるんじゃない?あの人のことだから」
焼酎、ウイスキー、白ワイン。
チューハイ、ラム、サングリア……。
いろんな酒を、一つの器に満たした。
「あの人は、どうなったのよ?」
「どうしてるんだろう?」
あらゆる種類のアルコールが入って、何だかもう良くわからなくなってしまった。
グビグビグビ…………。
「そういえば、何かもらっていたわよね?」
「そうだっけ?」
「あれ、何だったのよ?」
「何だったかなあ……?」
グビ……。
グビグビ……。
グビグビグビグビ……。
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