表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
79/87

石部 その2

「これだけ金の像にしてもらえるとなると、やっぱり一茶さんかしら?」

「違うんじゃないの?彼はこんな真面目そうなタイプじゃないもの」

「それもそうよね。この人は、女になんかうつつを抜かしそうにないわ」

「そうよ、そうよ」


 どこかで一茶が、盛大にくしゃみをする音が聞こえてきそうだ。

 ミケタマが思い出せないのも、無理はない。

「あ、名前が書いてあったわ」

「どれどれ。石部金吉いしべきんきち?」

「石部っていうことは、やっぱりこの辺の名士か誰かかしら?」

「昔、そういう政治家がいたのじゃないかしら」


 完全に誤解であるので、やはり作者が説明する。

 石部金吉とは、ものすごく生真面目すぎて、頭の硬い人を言う、四文字熟語だ。

 人の名前ではない。

 特に金銭欲や女色に惑わされない堅物を指して使うので、ミケタマに惑わされまくっている一茶のような人物とは、似ても似つかない。


 ここでは、それを擬人化して、人物像にしてあった。

 ちなみに、ミケタマが心配したように、これは本物の金ではない。

 像もゲレンデも、金色のカラーリングをしているだけである。


 ここ石部宿は、『京立ち石部泊まり』と言われ、京からたった旅人が、最初に泊まる場所として栄えた。

 石部金山があり、奈良時代の昔から、鉱物を掘っていたところ。

 それにちなんで、石部宿一帯を金色にカラーリングしているのであった。


 石部金吉だけでなく、様々な人物像があった。

「あ、これは弥次喜多グループ初代社長」

「こっちは、二代目ね」

「歴代社長の像がみんなあるわ」

「一茶さんの像は、まだないわね。彼も社長になったら、ここに像が建てられるのかしら?」


「あの人って、何代目になるの?」

「1、2、3……、数えて七代目だわ」

「初代社長って、何か呪われるようなことしたのかしらね?」

「七代祟るっていうものね」

 それより、一茶自身の性質によるものが大きいと思うが、キンキラキンの中を滑っていくと、やがて石部の本陣へ。


 茶店が賑わっているようであった。

「ここでお昼にしましょうか」

「そうね」

 二人も茶店に入っていく。


 中は、これまたキンキラキン。

 床も壁も天井も、机も椅子も全てが金色にカラーリングされていた。

 だが、全く浮ついた雰囲気を感じさせない。


「何だろう。従業員の方たちが、みんな真面目そう」

「本当ね。まるでさっきの像の人みたい」

 さすがは石部の金吉である。

「この辺の名物は……っと、トコロテンなんだ!」

「ここに来る途中の夏見の里というところの、名物だったんですって!」


 他に、名物の豆腐田楽に、いもつぶしをいただいた。

 いもつぶしとは、この辺りの郷土料理。

 元々は、年貢にならないくず米と里芋を混ぜて潰したものを、おにぎりのように固めて焼いて、味噌などで味付けをしたものだ。

 それはどれも大変においしかったのだが。


「うう、食器もキンキラキンなのね」

「ねえ、私の口の中、キンキラキンになってない?」

 そろそろ落ち着いた景色が見たいと店を出た。

 金山の跡を横目に見ながら、次の草津に向かうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ