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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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土山

 峠を下っていくことしばらく。

 道はようやく少し開けた場所に出た。

 街道沿いに昔風の街並みが残る、土山つちやまである。


「ねえ、そろそろお昼にしない?」

「そうよね。とっくに正午は過ぎてるわ」

 時は近未来。

 どんな山奥でも、街中と同じものが食べられる。

 が、せっかくなら、その土地の名物が食べたいものだ。


「この辺りだと、何が食べられるのかしらね?」

「こういう山里だと、山菜そばとか、うどんかしらね?」

「私、豪勢なものが食べたい気分よ」

「さすがにそれはどうかしら?」


 どこか食べられるところはないかと、探しながら街道筋をたどっていくと、やがて土山の本陣が見えてきた。

 何やら、人だかりが出来ている。

「あれ、茶店かしら?」

「並んでるわね。きっと何かおいしい名物でもあるのよ」


 近くまで行くと、人気の理由がわかった。

「か、蟹!?」

「こんな山奥で、蟹!?」

 ミケタマもびっくり。

 なんと、こんなところで蟹料理を出していた。


「どうして蟹なのかしら?」

「サワガニくらいしか、いなさそう」

 実は、この辺りには、蟹の伝説があるのである。

 その昔、鈴鹿山に、大きな蟹の化け物が出て、旅人に悪さをしていた。

 噂を聞きつけた高僧に退治されたということだが、どうして山と大蟹が結びついたのだろう。


 それはともかく、そういう伝説にちなんで、弥次喜多グループはここで蟹が食べられるようにしているのである。

 もちろん、これは近未来だからできることであって、現代ではそんなことはない。

 少し並んで、ようやく蟹にありつく。


「くっ……、山と蟹味噌……。しみる……」

「山を見ながら、炭火で焼いた蟹を頬張る……。幸せが混乱しているわ」

 こんなところで蟹が出てきたら、そうなるかもしれない。

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