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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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四日市

 町屋川まちやがわにかかる橋を渡り、近鉄伊勢朝日駅の手前で、線路を横切る。

 JR関西本線を北に、近鉄名古屋線を南に見て進む。

 しばらく行くと、今度は、近鉄富田駅の手前で、線路が逆転。

 今度は、近鉄線が北、JR線が南に変わる。


 そのまま進んで、三滝川みたきがわを越えたところが、四日市の本陣だ。

「ねえ、そろそろお昼にしない?」

「そうね。四日市の名物って、何かしら?」


 辺りをキョロキョロしていると、ニンニクとソースの、食欲をそそる香りが漂ってくる。

「四日市トンテキ、ですって!」

「それにしましょうよ」


 店に入って注文すると、グローブ状にカットされた、大きな豚肉のソテーが出てきた。

 濃厚なソースがたっぷりの上に、スライスされたニンニクが目を惹いた。

 付け合わせは、刻んだキャベツだ。


「うーん、ジューシー!」

「食べ応えたっぷり、ご飯が進むわあ〜」

 しっかりとしたボリュームの昼食は、旅人のエネルギーを補給してくれる。

「ごちそうさま〜」

「さあ、行きましょうか」


 店を出た二人の前に、大きな人影が立ち塞がった!

「きゃああーっ!!」

「ひえーっ、化け物!?」

 見上げるほどに、巨大な体。

 首がヒュル〜っと、ろくろっ首のように伸びた、大入道が立っていた。

「べろべろべろ〜っ」

 長い首を器用に曲げて、二人の顔を舐めようと、舌を伸ばしてきた。


「ひいっ、お助けーっ」

「やめてーっ」

 二人のあまりの驚きように、入道の顔が困ったように見えた。

「アハハハ、ごめん、ごめん、お二人さん」と、人の声がする。

 入道の脇に、弥次喜多グループのスタッフの人が立っていた。


「これは、四日市の祭りで使われる、大入道おにゅうどう山車だしだよ」と、スタッフの人は説明してくれた。

「じゃあ、これもロボットなの?」

「精巧に出来ているわね」

 と、ミケタマは恐る恐る、大入道に触ってみる。


「そう思うだろう。ところがどっこい、これはロボットじゃなくて、カラクリ細工なんだ。初代のものは、江戸時代に作られたんだよ」と、スタッフの人。

「ええー、そうなの?」

「昔の人って、すごかったのね」

 と、感心する二人である。


 この四日市の大入道山車、現代では、八月第一日曜日に行われる、大四日市祭りで、その姿を拝むことができるが、流石に喋ったりはしない。

 べろべろべろ〜っと、喋るのは、これをモチーフにした、四日市のゆるキャラ、こにゅうどうくんである。

 じゃあ、旅を楽しんでねと、スタッフの人は去っていった。


 さて、今度は四日市あすなろう鉄道、内部線うつべせんに沿って、進んでいく。

 これは元は近鉄線だった。

 終点の内部駅うつべえきで、線路ともお別れである。


 お次に待っているのは、杖衝坂つえつきざかという、急峻な登り坂。

 日本武尊やまとたけるのみことが、剣を杖がわりにして登った、とか、松尾芭蕉が、馬で登ろうとして、落馬してしまった、とかの言い伝えがある。


「えいっ、ひとふんばり!」

「どうってことないわよ!」

 だが、ここまで、道中、さんざん坂を越えてきた二人。

 つちかったテクニックで、難なく越えていった。

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