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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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宮 その7

 急に浮き足立つ、伊賀忍者軍団。

 空を見上げて、騒めいていた。

 いかに任務遂行のために、感情をコントロールする術を身につけている彼らであっても、この事態は予想していなかった。


 そんな彼らを、天守閣の屋根から飛び立った、二匹のシャチホコが襲う。

 カッと口を大きく開いたかと思うと、勢いよく水が放たれた。

 ビュオオオ……!!

「おわー」

「ぐわー」

 水圧で弾き飛ばれて、屋根から転がり落ちていく伊賀忍者たち。

 一網打尽だ。


 シャチホコが城に飾られるようになった由来は、火災が起きたときに、口から水を出して消火してくれるという言い伝えから。

 伝説は本物だったようだ。


「そうか……、そういえば、アレも外来魚であったな」

 とは、物陰から戦況を見つめるユラである。

 術が効くか半信半疑であったが、思った以上の結果をもたらしてくれた。


「それより、この後どうなるんだ?」と、ウスオが聞いた。

「外来魚は、元いた場所に帰る」とユラは答えた。

 彼らが見つめる視線の先で、二匹の金のシャチホコは、ゆっくりと飛翔を続け、やがて堀川に着水した。

 そのまま川の流れに任せて、海へと下っていく。


「あ!ど、どこへ行くんだ、金のシャチホコ〜っ!!」

 と、天守閣の一茶は、慌てふためいていた。

 慌てて下に降りて行こうとする。

「お、お、お二人は、ど、どうか、このまま、お楽しみください!良い旅を〜っ!!」

 血相を変えて、レストランから出ていった。


「あ、待ってください、坊っちゃん〜!?」

 鱒之助もついて出ていく。

「あの二匹だけで、いくらかかったと思っているんだ〜っ!!」

 と、遠くで何やら喚いている声が聞こえた。


「あらあら、一茶さんも大変ね」とミケコ。

「自業自得って言葉が、似合いそうな気もするけどね」とタマコ。

「一茶さんもああ言っていたことだし、私たちの部屋で飲み直さない?」

「そうね。あ、ボーイさん。残った手羽先を部屋に運んでくださらない?」


「厨房にある分も全部」

「それとお酒も」

「厨房にある分も全部ね」

「まあ、飲み過ぎだわ」


 一方、城の外では。

「許したわけではないが、今回ばかりは礼を言う」と、ウスオが言った。

「何、お主の機転がなければ、拙者もやられておったわ」と、ユラは答えた。

 二人の忍者は、多くは語らず、サッと分かれて、闇に消えた。

 辺りには、再び静寂が訪れ、この人の叫び声が響いた。


「のわ〜っ!待ってくれ、金のシャチホコ〜っ!!!」一茶は一匹のシャチホコの背に飛びついた。「爺よ、そちらを頼む!」

 もう片方の背に、鱒之助が飛び乗る。


「坊っちゃん、これはどこに行こうとしているのでしょう!?」

「そんなこと、僕が知るか〜!!??」

 だが、背中の二人には関係なく、金のシャチホコは、悠々と太平洋に出ていくのであった……。


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