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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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宮 その5

「こんなところに、居着いてもらっては、困るからな」

 多羅尾ユラは、城に向けて、大砲を発射していた。

 完全に城を壊すつもりはない。


 もっとも、ユラの大砲ぐらいでは、名古屋城はビクともしないであろうが、少し騒動を起こして、ミケタマに旅を続けてもらう。

 そういう魂胆である。


「よし、このくらいでいいだろう」

 と、ユラが引き上げようとしたときである。

「むっ」

 殺気を感じて、飛び退く。


 さっきまで彼がいた場所には、もうすっかりお馴染みになった十字手裏剣が。

 サッと、お返しの棒手裏剣を放つ、ユラ。

 ドスッと、ターゲットの後ろの木に当たった。

 スラリと刀が鞘走る音が、同時に聞こえた。


 ここに、三度刃を交える、両雄である。

「また、お主か。仕事熱心なことだ」

「こちらのセリフだ」

 甲賀忍者・多羅尾ユラ。

 風魔忍者・日影ウスオ。

 忍者にとっては、瞬きするほどの距離に詰めて、お互いに向かい合った。


「主君を守ろうとするその心掛け、あっぱれである。敵ながら褒めてつかわすぞ。だが、心配するな。城が壊れるまで撃ちはせん」

「主君?」

「弥次喜多グループの坊やがいるだろう」


「あんな奴は、主君ではない」


 意外な回答に、戸惑うユラ。

「お主は、弥次喜多グループに雇われている風魔忍者ではないのか?」

「雇われているといえば、雇われているが、それほど深い関係ではない」

 ウスオは一応、弥次喜多グループの正社員である。

 給料はもらっている。

 だが、一度も仕事をしたことがないから、微妙なところである。


「よく分からんが。そういえば、まだお主の名を聞いていなかったな」と、ユラ。「冥土の土産に置いていくがよい」

「破れ去るものに、語る名など、持ち合わせてはおらぬ」ウスオが答えた。

「ならば、名無しのまま、朽ち果てよ」

「我が趣味の邪魔をする奴は、許してはおけぬ」


「趣味?」と、ユラには理解の出来ない領域だった。

「問答無用!」

 電光石火の速さで、ウスオが斬りかかる。

 ジャキーン!

 ユラが刀で受け止めた、そのとき。


 シュパパ、パ!

「むうっ」

「何だ!?」

 刀を切り合わせたままの姿勢で、飛び退いた二人。

 さっきまで二人がいた場所には、手裏剣が刺さっていた。


 ヒュン、ヒュン!

 二人を追撃が襲う。

 同時に避けて、いったん物陰に隠れた。


「援軍とは、卑怯なり」

「こちらのセリフだ!」

 多羅尾ユラは、一人で仕事をしている。

 ウスオは、援軍を頼もうにも、友達がいない。


「じゃあ、あれは何だ?」

 と、ユラはあれを指差した。

 無表情な殺戮マシーンの集団が、ウスオとユラを取り囲んでいた。

 全員、忍者装束に身を包み、鎖鎌や鉤縄、忍刀などで武装している。

 中には、火縄銃を構えているものまでいた。


「お主の味方ではないのか?」とウスオ。

「知らぬな」とユラ。

 一瞬のうちに状況を察知した、二人の忍者が飛び退ったのと、謎の忍者軍団が、二人に襲いかかったのは、ほとんど同時であった。


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