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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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宮 その4

 一方、テーブルでは。

「ねえ、ミケ。ミケ」と、タマコが相方の目を覚まさせようとしていた。「あなた、さっきからお酒も飲まずにカレーばっかり。どうしちゃったのよ」

 しかしミケコはまだ、どこか時空の狭間に落ち込んでいるようだった。


「綺麗な花火ね。私がこの城のお姫様になったら、領民を楽しませるために、毎日花火大会をやるわ。あ、年貢はカレーで勘弁してあげる」

 

「もう、こうなったら」と、タマコは給仕のスタッフを呼んだ。「この城にある、一番強いお酒を持ってきてちょうだい」

 すぐに酒のボトルが持ってこられた。

「正気を取り戻すのよ」


 問答無用、ボトルを口に突っ込んでやる。


 グビ、グビ、グビ、グビビビ……。

 あっという間に、強いお酒を全て飲み干してしまった。

「ップハア〜、うまい!」

 すっかり正気に戻ったミケコ。

 辺りをキョロキョロ見回した。


「あ、あれ?私の戦国大名様は?」

「もう、とぼけてないで、現実をちゃんと見なさい。戦国大名様って、アレのこと?」と、タマコはミケコの顔を、隅の方で部下と話し込んでいる、一茶にむけさせた。


 何やら、慌てている様子。

 いや、控えめに言って、一茶は取り乱しているように見えた。

 とてもではないが、戦国大名の威厳はない。

「あれ、ただの一茶さん?」

 ようやく、ミケコは幻覚から戻って来れたらしい。


 そのとき。

 ドーン、ドドーン!

 巨大なお城が、振動で揺れるほどの、激しい音が鳴った。

「わ、何、あれ」

「花火じゃないわ。もしかして、砲撃!?」

 石垣の下で、赤い火が噴いているのが見えた。


 ヒューン……、ドッカーン!

 グラグラグラ……!

「わ、わわっ!」

「し、城が攻撃されているの!?」


 そこに一回、地獄に行って戻ってきたみたいな表情の、一茶が戻ってきた。

「ご、ご心配ありません!」

「何が起きたんですか?」とミケコ。

「い、いえ、ご心配ありません!」

「城は大丈夫なの!?」と、タマコにも。

 胸が触れそうなくらいの距離で、美女二人に両側から詰め寄られ、タジタジがさらにドキドキになる、一茶。


「い、いえ、大丈夫、大丈夫。今、部下に情報を収集させているところです!」

 そこに、部下が報告にやってきた。

「ただいま、我が城は、敵の攻撃を受けております。忍者らしきものが、下から大砲で狙い撃っているもよう」

 わかった、というように一茶が頷くと、部下は下がっていった。


「一茶さん!?」

「忍者ですって!?」

 と、さらに詰め寄るミケタマ。

 ギリギリのところで踏みとどまって、一茶は言った。

「だ、大丈夫です!落ち着いて。ほら、あれですよ。これまで、さんざんバグを起こして、僕らの恋路を……、いや、旅路を邪魔してきた、例の風魔忍者の仕業ですよ!」

「風魔忍者……」

「十返舎開発に雇われているという……」

 少し、胸との距離が離れて、落ち着きを取り戻す一茶。


「ですが、ご心配はございません。敵もこの城に攻め込んだことを、後悔することになるでしょう」

 ククク、と不敵に笑った。


 これは小田原城にて、一茶が言った作り話。

 一応、弥次喜多グループのライバル企業、十返舎開発が、風魔忍者を使って、東海道にバグを起こしている、ということになっている。


 だが、実際は、読者の皆さんがご存知の通り、最初の方のバグは、一茶の自作自演。

 途中からは、十返舎開発に雇われた、甲賀忍者、多羅尾ユラの仕業である。


 しかし、一茶は、全てを風魔忍者のせいにして、ミケタマの歓心を買おうとしていた。


 そして、これを、陰からこっそり見つめる、二つの目があったのである!

(一茶のやつめ、また適当なことを言いおって。ミケタマが真に受けたらどうするんだ?これはなんとかする必要があるな……)

 濡れ衣を着せられている、本物の風魔忍者、日影ウスオである。

(しかし、後悔するとは、どういうことだろうな……?)


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