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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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品川 その2

「こ、こんな演出、あったかしら!?」と、二人抱き合って震える。


 そう、こんな演出は普段はない。

 実はこれは、一茶が仕組んだ罠なのだ。

 首なし男の集団は、弥次喜多グループのスタッフだ。

 ここで一茶が颯爽と現れて、歌舞伎の白井権八のように敵を倒し、二人をカッコよく救出する。


 たちまち二人は一茶のとりこ。

 そんな計画でいたのだが。

「お嬢さん方、今、私がお助けします!」

 と、物陰から一茶が出ていこうとした……、のだが、何かにつまづいてしまった。

「おわっ、とっとっ!」

 バランスを崩してよろけてしまう。


 必死に体制を立て直そうとする一茶。

 ところがここはゲレンデ。

 お化け屋敷の中も、もちろん雪が積もっている。

 スキー板を外していた一茶は、滑って転んでしまう。

 ドワッと、首なし男の集団に突っ込んでしまった。


「おわーっ!」

「だああ!」

 ゴロゴロと、団子状態になって転がっていく、一茶と首なし男たち。

 そのまま奥の壁まで行って、ドーンとぶつかると、上からドサーと雪が落ちてきた。


 一方、ミケタマの二人はどうしていたのか。

「きゃああああ!!」

「きゃあー!」

 二人は一斉に悲鳴を上げた。


 物陰から、誰かが出てきたように思う。

 そんな気がした。

 が、次の瞬間、何やら得体の知れない黒いものが、二人に襲いかかってきたのである!

 と、そんな気がしたのである。


 事実は違うかもしれないが、すべては暗がりのことだから、よくわからない。

「ぎゃあああー!」

「ぎゃあー!」

 二人はスキーのエンジンを全開にして、一目散に出口へと向かっていった。

 わけのわからないうちに、明るいところまで出た二人。


「あー、びっくりした。今のは何だったのかしら。新しい演出?」と、まだ動悸が治らないミケコ。

「お、お化けだわ!本物のお化けだった!」と、タマコは息も絶え絶えだ。

 何はともあれ、互いの無事を確認した二人。

 少し休憩して、次の川崎まで向かった。


「だ、大丈夫ですか、坊っちゃん!?」と、心配して一茶を覗き込む、歌井鱒之助である。

「な、なんで、首無し男の集団が、僕に突っ込んでくるのだ!?」

「いいえ、坊っちゃんが首無し男の集団に突っ込まれたのです」

「ええい、どちらでもいいわい!とにかく、残念だが、最初の計画は失敗に終わったようだ。だが、クックック、カッハッハッハッハ!」

 急に笑い出す一茶である。

「坊っちゃん、お気が触れましたか!?」


「そうではない、爺よ。計画とは、頓挫がつきものだ。だが、優秀な策士とは、プランAがうまくいかなければ、プランBを用意しているものだ」

「と、言いますと?」

「次はこうはいかないぞ。待っていてください、ミケコさんにタマコさん!」

 キラーンと、暗闇に一茶の両目は光ったのであった!


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