知立
翌朝、ゆっくり岡崎城を出発した二人は、愛知環状鉄道線を横切り、矢作川を渡った。
ここに架けられているのは、東海道三大橋の一つ、矢作橋だ。
江戸時代には、東海道で最長の木橋である。
橋を渡り終えたところに、当時日吉丸と名乗っていた豊臣秀吉と、蜂須賀小六が出会ったと伝えられる「出会之像」がある。
しかし、史実は、矢作橋が架けられたのは、秀吉が亡くなった後。
これは江戸時代にベストセラーとなった絵本、太閤記の名場面の再現である。
それはそうと、二人は遅い朝食を食べに喫茶店に入ることに。
名古屋地域の喫茶店と言えば、モーニングが有名だ。
ドリンク名の後に続いてモーニングと言えば、他地域で言うところの、モーニングセットになる。
しかもドリンク代のみでだ。
「ホットコーヒー、モーニング」
「私も」
ゆで卵と半切りトーストがついてくるのが、クラシカルな形。
トーストはこの地域らしい、小倉トーストを選んだ。
「トーストにあんことバターの組み合わせって、最強だわ」
「朝から、元気出るわね」
思わず長居をしたくなる雰囲気の喫茶店であったが、まだ旅の途中。
遅めの朝食を終えた二人は、次の知立に向けて、名鉄線沿いをぐんぐん進んだ。
岡崎から知立までは、約15キロ。
東海道の宿と宿の間では、長い方だ。
岡崎を出てからは、基本的に市街地を進む。
名古屋に近づいていくにつれて、だんだんと人も家も多くなる。
名鉄三河線を横切り、知立駅に近付けば、そこは知立の本陣だ。
近未来に復元された知立城が、二人を出迎えてくれた。
「ねえ、そろそろお昼にしない?」
「朝遅かったのに、もう?」
不思議と、時間通りにお腹が空くものである。
しっかりスキーをしてきているということもあって、二人は知立城でお昼ご飯にすることに。
「きしめん、それと、味噌カツ!」
「名古屋の定番よね」
定番、定番と来たら、デザートも定番で攻める。
名古屋名物・ういろうだ。
「ねえ、タマコちゃん。ういろうって、どんな味?名古屋出身の人に聞いても、ういろうとしか言えないって言うのよね」
「うーん、ういろう、としか言えないわね」
知立城を出て、さらに先へ向かうのであった。




