表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/87

岡崎 その3

「すごい、綺麗……」

「でも、こんな真冬に花火大会なんて……?」

 と、目を一茶に向けると、そこには彼の得意げな顔が。


「うふふふふ。東海道ゲレンデも、いつもいつも同じことをやっていたのでは、客足が遠のいてしまうと思いまして。僕の提案で、新しいサービスを始めたんです!僕の提案で!」

 一茶は、僕の提案で、というところに力を込めた。


「さすがは坊っちゃん!」と抜群のタイミングで、鱒之助のヨイショが入る。

 だが、新しいサービスというと、まだ記憶に生々しい、浜名湖での恥ずかしい思いが蘇るミケタマである。

 不吉なものも感じたが、しかし夜空に咲く雄大な花に目を奪われる。


「素晴らしいわ。これが三河花火なのね……」

「お城でお酒を飲みながら花火を見るなんて、素敵ね……」

 ミケタマも、これには感動した。

 うっとりとした表情の女子二人。


 一茶は思った。

 これはチャンス。

 ところが、思い余って、こんな大見得を切ってしまった。

「ふふふふふ、さあ、今夜は素晴らしい三河花火を眺めながら、心ゆくまで美味しいお酒を味わってください!」


「え、本当ですか!?」

「いくらでも飲んでもいいんですか!?」

「え?」

 悲しいかな、一茶の言葉は、お酒と見ると歯止めの効かない女子二人に魔解釈されてしまったらしい。


 だが、いったん広げた風呂敷をしまうわけにもいかない。

「ど、どうぞ、心ゆくまで……。心ゆくまでお飲みください!」

「やったー!」

「飲み放題だって!」

 結局、花火が全て打ち上がるよりも、バーのワインがなくなる方が早かった。


「ぼ、僕は、明日の仕事がありますから、お、お先に失礼します……」

 途中でたまらなくなって、退出する一茶であった。

「坊っちゃん、お気を確かに!」

 そういう鱒之助も、気が遠くなりかけるのを戻すのに必死であった。


 一方、思わぬ行幸を堪能したミケタマ。

 部屋に戻って、先ほどの感動を思い出していた。

「綺麗な花火だったわ」と、トロンとした目でミケコが言った。

「本当ね」と、タマコの頬も上気していた。


「ねえ、タマ。一茶さんって、なかなかやるじゃない」

「あら、ミケったら、どうしちゃったの」

「私、あの人のこと見直しちゃったみたい」

「そうね。でも、ちょっとやりすぎじゃないかしら?」


「そうかな。御曹司なんだし、このくらいはしても構わないんじゃないかしら?」

「うーん、もうちょっと、さりげなくしてくれた方が、女の子としては、いいんじゃなくて?浜名湖みたいなのは、恥ずかしかったわ」

「あれはね。でも、花火のサプライズは、ポイント高いわよ」


「あなた、飲みすぎじゃないの?」

「うふふ……。ちょっと酔っちゃったかも」


 そんな女子二人の会話を、天井裏で耳をそば立てて聞いていた男がいる。

 ご存知、風魔忍者の日影ウスオである。

(そうか、そうか。タマコさんは、地味でさりげなくて、暗がりからじっと見守っているような男が好きなのか……)

 と、今のミケタマの会話を、彼もまた都合良く魔解釈していた。


 人間というのは好きなものを目の前にすると、何でも魔解釈してしまうらしい。

 ミケコが、一茶に好感を持ったのは、意外であったが、名鉄電車の一件以来、彼のハートはタマコ一人で埋め尽くされていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ