表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/88

岡崎 その2

 宮とは、熱田神宮のこと。

 宮の宿は、かつてその門前に広がる宿場町であった。

 しかし、現代では、街はすっかり変わってしまって、その名残を見つけることは難しい。

 近未来では、弥次喜多グループが宿場町を復活させたのだが、この辺りは競合するホテルなども多く、苦境が続いていた。


「出来ることなら、お城がいいんですけど、名古屋城は東海道沿いではないし、急いで桑名城まで行くのもなんですからね。名古屋グルメも堪能したいし」と、ミケコ。

「ああ、そうでしたか。実はそれなんですが」と、一茶は急に深刻な表情に変わった。

「な、何です?」


「お二人もご存知でいらっしゃるかもしれません。宮の宿は、利用客の減少が続いていまして。それでとうとう、閉鎖されるかもしれないということになって、それで僕が行くことになったんです」

「え、じゃあ、私たちが行っても、泊まれるかしら?」

「どこか、シティホテルでも探したほうがいいかしらね?」

「お二人にもご心配をおかけして申し訳ありません。ですが」

 騒めき立つミケタマを制して、一茶は言った。


 その眼差しは、決戦に赴く侍大将のような、強い覚悟を秘めていた。


「僕が行くからには、万事無事に済ませて見せます。大船に乗ったつもりでいてください。いずれにせよ、明日の宿のことは心配なさらなくて結構です。お二人は、安心して宮の宿まで来てください。お二人が到着するまでには、必ず僕がなんとかして見せます!」

「そ、そうですか」

「そ、それは頼もしいですわ」

 と、一茶の迫力に、思わずミケタマもタジタジになった。


 不適に笑う一茶。

 うん、うん、と、主君を信頼して大きく頷く鱒之助。

 だが、霊感の強いタマコは、ゾクッとするものを背筋に感じた。


「それより、今日は岡崎の夜を存分に楽しんでください。ところで、お二人は、ここ岡崎がどんなところか、ご存知ですか?」

「え、それはもう。徳川家康に、八丁味噌」

「岡崎公園の桜に、オカザえもん」


 オカザえもんとは、岡崎市のご当地キャラクター。

 キモかわいい系の、一度見たら忘れないインパクトである。

「さすがはミケコさんにタマコさん。良くご存知でいらっしゃる。ですが、もう一つ、肝心なものをお忘れではないですか?ここ岡崎は、徳川家康の地元。それゆえに、江戸時代にここだけは、あるものの保有が許されていたのです」


「うふふふ、お嬢さん方、それは何だと思われます?」

 何か企んでいそうな顔で、ずいと鱒之助が出てくる。


「さ、さあ?」

「何かしら?」と、タジるミケタマである。

「こんなことが出来るのは、世界広しといえど、ウチの坊っちゃんだけですぞ。ぐふふふふ」

 鱒之助は得意げだが、ミケタマは正直ちょっと気持ち悪いと思ってしまった。


「爺よ。そのくらいにしておけ。それより僕は、早くお二人にこれをご覧になっていただきたいのだ」

 一茶は自信に満ちた表情で、窓の外を見た。

 そして、一言叫んだ。

「ファイヤー!!!」


 え、な、何!?と、ミケタマが思う間もなく、そのとき、にわかに強い音が。

 ドーン、ドーン!バラバラバラ……。

 ミケタマの横顔が、明るい光で照らされる。

「これは、もしかして……!?」

「花火……!?」


 二人が窓の外を見ると、夜空に大輪の花火が打ち上がっていた。

 ドーン、ドーン!バラバラ……。

 ヒュー……、ドッカーン!ドッカーン!

 連発で打ち上がる花火は、冬の夜空を色とりどりに染めた。


 一茶が言ったあるものとは、花火の原料となる硝石のこと。

 火器の原料ともなるため、厳格に管理し、自らの地元に限って許していたのだ。

 そういうことがあって、岡崎では、花火が盛んになった。

 それが今日まで続くのが、三河花火である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ