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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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舞坂 その1

 浜松を出て、一路、舞坂まいさかを目指す。

「ねえ、タマ。舞坂って、どこだっけ?わからなくなっちゃったわ」

「まっ、いっさ〜、か!?」

 などと、道中上機嫌で、くだらない駄洒落も出るものだ。

 なんてことを言いはするものの、ちゃんと道のりはわかっている。


 JR東海道本線と、新幹線の南側に出る。

 あとは、線路と並行する形で真っ直ぐ西へ向かえば、やがて右手に浜名湖の養魚場が見えてくる。

「気持ちのいい潮風!」

「海の近くって、カラッとしていてテンション上がるわね!」

 大きな赤い鳥居が見えてきたら、そこは弁天島海浜公園だ。


 弁天島は、浜名湖の中にある島。

 この辺りは、いつでも観光客で賑わっていて、休憩や食事の場所が豊富だ。

「海鮮が食べられるお茶屋さんがいっぱい!ねえ、よって行かない?」

「あら、さっき食べたばかりじゃない」

 でも、この時期の浜名湖には、この時期ならではの、食べたいものがある。


 二人が入ったのは、牡蠣小屋。

 実は浜名湖の冬の味覚である。

「身がプリップリだわ」

「ふっくら蒸されて美味しいの!」


 二人が牡蠣に舌鼓を打っていると、何やら外が騒がしい。

「今日はイベントでもあるのかしら?」

「ねえ、そういえば、浜名湖って、どうやって渡るの?」

「橋が掛かっていたかしら?」

「もしかして、またドラゴンボート?」


 江戸時代には、浜名湖は船で渡った。

 現代では、鉄道が通っているが、近未来では、そのどちらでもない。

 二人が茶店を出ると、いつでも空気を読まない例の声が聞こえた。


「ミケコさん、タマコさん!お待ちしておりましたよ!」

 不吉な予感に振り返ると、やはりあの人がいた。

「一茶さん!?」

「どうしてここにいるんですか!?」

 外で二人を待っていたのは、一茶であった。

 もちろん鱒之助も側に控えている。


「実はね、お二人さん。本日より、浜名湖を渡る方法がリニューアルされたのです!これから渡り初め式をするのです!」と一茶は言った。

「リ、リニューアル?」

「渡り初め式?」

「はい。そしてその渡り初めを、是非ともお二人にやっていただきたい」


 なんだろう、と二人が浜名湖の方を見ると、そこには一面に広がる白銀の世界が。

「一茶さん……、これは何かしら?」

「湖の水が凍っているように見えますけど?」


「その通りです。旅人の皆様に東海道をより楽しんでいただくために、我が弥次喜多グループの総力を結集して作られた新たなアトラクション。その名も、浜名湖スケートリンクです!」


 流石に近未来の巨大リゾートコンツェルン。

 やることのスケールが違う。

 なんと、浜名湖の水を凍らせて、スケートリンクにしてしまったのだ!


「でも、ちゃんとウナギの養鰻場のところは、凍らせていませんから、その点は、ご心配なく。凍っているのは表面だけですし、その下には、お魚たちが元気よく泳いでいます」

 と、一茶は勝ち誇った。

「くうう、さすが坊っちゃん、お優しすぎて涙が出てきますぞえ」と、鱒之助。


「そうは言ってもねえ」

「私たち、スケート靴なんて用意していないわ」というミケタマである。

 だが、一茶は抜かりがない。


「ジャーン!お二人とも、スキー板の底に、これをお付けください」と、スキー板に取り付けるタイプの、スケートブレードを差し出した。

「私たち、休暇中なのに。恥ずかしい!」

 と、この演出はミケタマには不評であったが、一茶はこれだけで終わらない。


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