表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/52

掛川

 ほうほうの体で、小夜の中山の茶屋を逃げ出した二人。

 暗い山道を急ぐ。


「うう〜、街の明かりが恋しいわ」

「ねえ、あれ何?」

 右手を見ると、山の向こうから巨大な黒い怪物がこちらを見ている。

 ように見えた。


「め、目の錯覚じゃない!?ただの山よ、気のせい、気のせい!」

「誰も化け物だなんて、言ってないわよお〜!」

 冬の山道である。

 気温は氷点下に近いだろうに、スキーウェアの中は、嫌な汗でびっしょりだ。


「あ、あれは、何よお!?」と、ミケコ。

 今度は左手を見る。

 再びさっきのような、黒い巨大な怪物が二人を見下ろしていた。

 ように、やはり二人には見えた。


「い、今はきっと、冬眠中だわよ!?」と、震える声でタマコは言った。

 幽霊の正体見たり枯れ尾花である。

 恐怖に取り憑かれていると、なんでもないものまで恐ろしいものに見えてしまうものだ。


 二人が巨大な怪物に見えたのは、雄鯨山おくじらやま雌鯨山めくじらやまである。

 日坂から掛川へと抜ける東海道を、挟むように聳える二つの山だ。


 心底、恐怖を感じながら、進むことしばらく。

 やがて、ようやく山道は終わり、掛川の街の明かりが見えてきた。


「良かった〜」

「早く暖かい部屋に入りましょうよ」

 都市の住人の営みを感じ、勇気が出て来た。

 今宵の宿、掛川城まで来る頃には、二人は、すっかり落ち着きを取り戻していた。


 チェックインしたら、まずは温かいお風呂に浸かって旅の疲れを癒す。

「ふう、生き返るわ〜」

「あったまるわ」

 風呂上がりには、火照った体に冷たいビールを流し込む。


 ビールとくれば、お共には餃子がいい。

 ここ掛川ではないが、静岡の名物、浜松餃子を味わう。

 円形に盛られた餃子の真ん中には、ゆでたもやし。

「キャベツの甘みがたまらないわ」

「ラードたっぷりだから、ゆでたもやしが合うわね」


 お次も掛川ではないが、富士宮市のB級グルメ・富士宮焼きそばを食す。

「麺のコシが最高!」

「油かすのコクが効いてるわね」


 デザートには、掛川名物・葛湯を一杯。

 素朴な味に心癒される。

 昔から掛川は、奈良の吉野と並ぶ、葛の生産地だ。

 人心地ついた二人。

 その夜は、安心してぐっすり眠った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ