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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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43/52

袋井

 翌朝、掛川城の朝食会場にて。

 二人は不思議なものを目にする。

「うわ、見た目からして、ふわっふわ」

「卵のムースが、お鍋からはみ出しそう」


 まるで鍋の底から、ムクムクと宇宙生物が湧き出してきたような見た目のこの食べ物は、その名も『たまごふわふわ』という。

 なんだか、現代になってから考えだされたスイーツのようにだが、江戸時代からある、れっきとした伝統料理だ。


 袋井宿の名物なのだが、旅の都合上、ここで食べさせることとしよう。

「卵と出し汁のシンプルな美味しさったら、ないわね」

「朝にちょうどいいわ。これなら元気出そう」

 気をよくして、二人は掛川を後にした。


「ねえ、ミケ。今日のお城はどこだったかしら?」とタマコが相方に聞く。

「今日は浜松城よ」と答えるミケコである。

「そんなに遠くはないわよね。今日はゆっくりしていけるわね」

「そうね。楽しんでいきましょう」


 昨日とは違い、道中の景色を楽しみながら、のんびりとスキーを滑らせていく。

 そのうちに袋井宿のあたりに着いた。

 ここ袋井宿は、東海道53次の、ちょうど真ん中の宿である。

 江戸からも京都からも、27番目で中間に当たる。

 古来から、どの旅人も、ここでゆっくり一息ついた。


 そんな旅人のために、ここではちょっとしたアトラクションが用意されていた。

「袋井と言えば、あれじゃない?」

「そうそう、あれよ、あれ」

 ミケタマの言うあれとは、袋井に来たら誰もが食べずにはいられない、名物・マスクメロンである。


 急に脇道から、子どもの背丈ほどのロボットが、何体も現れた。

 平坦な道をスキーで滑っていくミケタマの前を、同じようにスキーを履いて滑っていく。

 その頭は、まんまるで緑色。

 網がけ模様になっている。

 マスクメロンだ。


「出たわね、マスクメロンマン」

「待っててよ、今、捕まえちゃう」

 もしウスオが聞いていたら、感激で卒倒してしまいそうなセリフを言って、二人は前を滑るマスクメロンマンを追いかけていく。

 頭のマスクメロンを開けると、中に本物のマスクメロンが入っているのだ!


「よしっ、捕まえた!」

 ミケコが早速、一体のロボットに追いついた。

 カパッと中を開けて見てみると。

「あ、これは、おみかんだわ」

 入っていたのは、マスクメロンではないのだが、これもこの辺りの名物。

 静岡のみかん。

「モグ、モグ。あま〜い!」


「今度は私よ。ほら、追いついた!」

 次はタマコが、別のマスクメロンマンを捕まえる。

 こちらもカパッと中を開けて見てみると。

「あら、こっちも、おみかんだわ」


 こちらも、みかんだった。

 みかんもおいしいが、やっぱりアレを味わいたい。

「マスクメロンは、どこ〜!?」

「あ、きっと、あれよ!」

 他のものより大きな頭のマスクメロンマンが、さっきからちょこまかと逃げ回っている。


「私、右から行くわ!」と、ミケコ。

「私は、左からね!」と、タマコ。

 息ぴったりの連携プレーで挟み込む。

「それっ、捕まえた!」

「もう、逃さないんだから!」


 マスクメロンマンの逃げ足もなかなかであったが、ミケタマのスキーのテクニックには敵わない。

 とうとう捕まえられてしまった。

 期待して中を開けてみると。

「出たあ!」

「緑色に輝く、マスクメロン!」


 眩いばかりの光。

 芳しき甘い香り。

 くし型にカットされた、マスクメロンが、その神々しい果肉を二人に見せていた。

「いただきま〜す!」

「いただきま〜す!」

 両手で持って、カプリとかぶりつく。


「甘〜い!」

「みずみずし〜い!」

 いい運動をして、気持ちのいい汗をかいたばかりの体に、染み渡る高級感。

「袋井サイコー!」

「マスクメロン、サイコー!」

 今までに食べたメロンの中で、抜群に最高の味であった。

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