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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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38/52

島田 その3

「ふむ、そろそろいいだろう。バグを解除してやるか」と、こっそり川の中から様子を見ていたユラは言った。

 フッと、殺気を感じて、振り向く。

 そこには、霞のような黒い影が。


「我が趣味を邪魔するものは、何人たりとも許すまじ」

 現れたのは、ミケタマをこっそり観察するのが趣味の男、風魔忍者の日影ウスオである。

 彼は持ち前の影の薄さを活かして、水遁の術を使って川の中に隠れていたのだ。

「またお主か。邪魔はさせぬぞ」

「邪魔をしているのは、そちらの方だ。甲賀忍者よ、引っ捕まえて、ミケタマの前で悪事を白状させてやる」


「そう、うまくいくかな?大井川の鮒の餌にでもなるが良い。甲賀忍法・水霞みずがすみの術!」

 モワモワもわ〜ん、と、川面に濃い霧が立ち込める。

 忍者同士、忍術を駆使した戦いが始まってしまった。


 船上のミケタマからは、水面の様子が見えない。

「ねえ、なんか、霧が出てきたんだけど?」と、驚くミケコ。

「大井川はどうなっちゃったの?」タマコも目を丸くする。

「くそっ、早くバグは直らぬか!?」焦る一茶であるが、どうしたものかわからない。


 そんな船の上の三人を無視して、戦いを続ける、忍者二人。

「これでも喰らえ!」

 シュッ!

 ウスオの十字手裏剣が飛ぶ。

 ドスッ!

「おわ〜!」

 しかし、被害にあったのは、人足ロボット。

 頭に手裏剣がつき刺さったまま、川の藻屑と消えていく。


 環境のことを心配なさっている、意識高い系読者の皆さん、心配はいらない。

 この人足ロボットは、100%自然に還る天然素材でできているのだ。

 すぐに溶け出し、鮒の餌となる。


「なんのこれしき!」

 シュパパッ!

 ユラだって負けてはいない。

 棒手裏剣乱れ打ちだ。

 ドス、ドス、ドス、ドスッ!

 狙いは外れ、またしても人足ロボットが犠牲になる。

「おわ〜」

「おわ〜」

 次から次へと、川底に沈んでいくロボットたち。


 さらに。

「忍法鎌ヌンチャク!」ウスオの攻撃。

 スパ、パパパ!

「おわ〜」

「小癪な、こいつはどうだ、忍法真空派!」ユラの反撃だ。

 シュン、シュン!

「おわ〜」


「くそっ、霧で辺りが見えない!人足ロボットはどうなっているんだ!?」

 と、部下を怒鳴りつけた一茶である。

「ロボットの数がどんどん減っています!」と、部下は叫び返した。

「何で、そうなるんだ!?」

「原因不明です!」


「川底の小石は取っておけと、言ってあっただろうが!?」

「川は完璧に綺麗です!座礁の可能性はありません!」

 それ以前に、小石で座礁したりはしないが、一茶はパニックに陥りかけていた。


「一茶さん、この船は大丈夫かしら?」

 流石のミケコもちょっと心配になってきた。


 いや、一茶の船に乗っている時点で心配かもしれないが、船の上から目を凝らし、水面の様子を見ようとする。

 だが、ユラの忍法のせいで、白い霧に包まれて良く見えない。

 時折、猛スピードで影のようなものが飛び回っているようにも見えるが……。


「し、心配いりません!そのときは僕が二人を肩車して、向こう岸までお運びします!」と、一茶はすでに壊れかけている。

「余計心配なんだけど」と、タマコは空になった酒樽を抱きしめた。

 一茶の肩車よりは頼りになりそうだ。


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