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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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36/52

島田 その1

 藤枝から、JR東海道本線と並走する形で、島田へと向かっていく。

 JR六合ろくごう駅を過ぎ、JR島田駅の北へ。

 大井神社のあたりまで差し掛かると、何やら騒がしい。

 大変な人出である。


「今日は何かやっているのかしら?」

「こんな冬の日に、変ねえ?」

 エッサ、エッサの掛け声。

 法被姿の男女が、踊っている。


「鹿島踊り?」

「お祭りなの?」

 お神輿が引かれ、巨大な屋台がやってくる。

 屋台の上で、太鼓を叩いて踊っている人がいる。


「すいませーん、今日はお祭りか何かですか?」と、ミケコは近くにいた地元の人に尋ねた。

 その人は答える。

「大井神社の帯祭おびまつりだよ」

「帯祭り?って、3年に一度あるっていう?普通は秋じゃないの?」と、疑問のタマコ。

「なんでも、弥次喜多グループ主催で、急に今日やることになったんだそうだ」


「弥次喜多グループ?聞いてる、タマ?」

「知らないわ、ミケ。私たちが旅に出てから決まったんじゃないの?」

 島田の帯祭りは、他町村から嫁いできた娘を、大井神社に参詣した後、宿の人々に披露したのが始まりだ。


 可愛らしい子どもたちの踊りが続いて、大奴おおやっこと呼ばれる人たちが、女性ものの着物の帯を体の左右に突き出た大太刀に掛けて、練り歩いていった。

 続いてやって来たのは、大名行列なのであるが……。


「ねえ、タマ。あれ、あの人たちじゃない?」

「もしかして、もしかしなくても、あの人たちね。本来は、子どもがやるんじゃなかったかしら?」

 ミケタマの二人が絶望的な視線を向けるその先には、大名に扮した一茶がいた。

 鱒之助も、ちゃんと爺やの役を与えられている。


「やあ、ミケコさんにタマコさん。旅は楽しんでいますか?」

 と、一茶はにこやかに手を振った。

「一茶さん」

「何をやっているんですか」


「いつもお世話になっている住民の人たちを楽しませようと、季節外れの帯祭りを催してみたのです。たまには良いでしょう、こういうのも」

 と、得意げに笑った一茶である。

 一応の理屈をつけてみたが、実は、ミケタマの二人の気を惹こうと、急遽思いついたものである。


「ミケタマのお二人も、どうぞ楽しんでくだされよ」と、鱒之助も得意げだ。

「楽しむって言われても」

「面食らうって言った方がいいわ」

 しかし、かえって逆効果、白けているミケタマであった。


「それより、早く大井川を渡っちゃいましょうよ」

「そうよね、行きましょう」

 と、大井川のほとりに出てみると。

「うわあ、すごーい」

「大井川って、こんなに広かったのね」

 と、実物を見て、驚く二人。


 現代では、陸地が多く、それほどでもないが、ここ近未来では、大井川は、中国の黄河や長江も真っ青の、大河に魔改造されていた。

「で、どうやってここを渡るのかしら?」

「まさか、江戸時代みたいに、川越人足に肩車されてってことじゃないわよね?」


 二人が呆気に取られていると、一茶が鱒之助を伴ってやってきた。

「ご心配は無用ですよ、お二人さん。こちらをご覧ください」

 ジャーン、と示したのは、なんと竜頭を持つ、豪華客船である。

 あっけに取られている二人に、一茶は自慢げに言った。


「どうです、驚きましたか。これは祭りのときだけ運行する、特別な船。その名も、弥次喜多グループが誇る豪華客船・越すに越されぬドラゴンボート号です。こちらに、お二人をご招待します!」

「ドラゴンボートって、あの、アジアで盛んな、みんなで一斉にオールを漕ぐやつ?」

「弥次喜多グループの誇りは、私たちだと思っていたわ」


 状況を信じられないが、乗船する二人。

 他にないのなら、しようがない。

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