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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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31/52

府中 その1

 稚児橋を渡った後、いったん東海道本線の南に出て、JR草薙駅の前を通っていく。

 それから再び線路の北側に出て、東海道本線と静岡鉄道の間を通り、府中宿へ。

 府中と言うと聞き馴染みがないが、ここはご存知、静岡のこと。人口約80万の大都市だ。


「あ〜、久しぶりに嗅ぐわ、この懐かしい空気!」

「東京の匂いとは違うけど、都会の空気よね」

 都会育ちのミケタマの二人。

 久しぶりに街の空気を吸って、心を落ち着かせる。


 ここ府中は、徳川家康が少年時代と晩年を過ごしたところ。

 そして、『東海道中膝栗毛』の作者、十返舎一九の生誕地でもあるのだ!


「来たわよ、来たわよ、来たわよ〜!」

 歴史マニアのミケコは、大興奮である。

 その理由は、近代的なビルとビルの上に、今夜の宿がその姿を見せていたからだ。


「見てよ、あの美しい天守閣!これが神君家康公が愛した、駿府城よ!」

 ミケコが示した先には、青い空に悠然と映える、駿府城の天守閣があった。

 現代では駿府城天守閣は現存しておらず、跡地が駿府城公園として、市民の憩いの場になっている。


 が、近未来では、弥次喜多グループの力によって復元され、ファミリーホテルへと変貌を遂げていた。


「きゃー、かっこいい!駿府城様〜!」

 パシャパシャと、圧倒的に写真を撮りまくるミケコであった。

「富士山がくっきり見えて、素敵だわ」

 と、歴史には興味のないタマコは別の方角を見ている。

 それでも、美しい城と富士山の組み合わせには、感動を覚えた。


 夕食には、静岡ちらしに舌鼓を打った。

 これは、マグロ、桜エビ、〆もの、わさび、お茶の5つの食材に加えて、様々な静岡県産の食材を使ったちらし寿司。

 海の幸にも山の幸にも恵まれた、静岡のいいとこ取りである。


 お風呂の後、二人は駿府城天守閣の最上階にあるバーで、静岡の夜景を見ながら、カクテルを楽しんでいた。

「綺麗だわ。ホント、旅に出てよかった」

「お酒も美味しいわね。今夜は酔っちゃいそう」

 なんともリラックスした、旅の一場面である。


 だが、二人が眺めている静岡の街の闇の部分では、人知れず戦いが繰り広げられていた。

「うぬう、お主、なかなかやりおるな」

 と、声の主は、甲賀忍者の多羅尾ユラである。


 彼と対峙しているのは、風魔忍者の日影ウスオだ。


「その腕、敵にしておくには勿体無い。できれば味方として会いたかったが、致し方なし。我が仕事を邪魔する奴は何人たりとも許さぬ」

 一方、ウスオは。

「どういう事情があるかは知らぬが、我が趣味を邪魔する輩は、ここで始末する。覚悟なされよ」

 と、闇から答えた。


 シャキーン、シャキーン!

 闇の中、白刃が煌めく。

 人気のない路地裏で斬り結んだかと思いきや、次の瞬間、ビルの上にいる。

 静岡のビルには防火帯が設けられている。


 長屋のようなその上を、二つの影が走っていく。

 シュタタッ、タスッ!

 バッ、ババッ。

 さっきまでコウガがいたところに、十字手裏剣が突き刺さった。


 ドスッ!

 かと思いきや、ビルの陰にいたウスオを、棒手裏剣が襲う。

「覚悟!」

 ウスオを一刀両断すべく、刀を大上段に振り翳したユラ。

 ビルの上から降ってくる。

 その瞬間。


 ボフッ!

 モクモクと白い煙が上がった。

「むう、煙幕か、小癪な真似を」

 ウスオは再び防火帯の上だ。

 すぐさま追いかけて、防火帯の上に飛び上がるユラ。それをウスオが待っていた。


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