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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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江尻 その1

 江尻は、かつて静岡で二番目に大きな宿であった。

 だが、今は江尻と言うより、清水と言った方がわかりやすいだろう。

 Jリーグの清水エスパルスで有名な、あの清水である。


「ねえ、タマ。他に清水と言えば何を思い出す?」

「そうね、やっぱり清水の次郎長かしら?」

「でも、清水の次郎長は食べられないわよ」

「そうね。だったら、久能山くのうざんのいちごで決まりね」

 ということで、お茶屋に寄って、名物を食べる。


「おいし〜い!みずみずし〜い!」

「こんなおいしいもの食べたら、悩みなんか吹き飛んじゃうわね」

「悩みがないのに久能山とはこれいかに?」

「次郎長一家は心は一つなれど、志三つ(しみず)と言うがごとし」

「きゃ、私たち、史跡になっちゃう」

 詳しくは品川の項を参考にされたし。


 お茶屋を出て、スキーを再開した二人。

 街中を滔々と流れる川に掛かる、橋に差し掛かった。

「これが巴川ともえがわ!」と、ミケコ。

 歴史にちなんだこんな言い伝えを披露した。


「巴川にかかる稚児橋ちごばしは、徳川家康によってかけられたんだけど、『わたりぞめ』のときに、川からおかっぱ頭の稚児が現れて、橋を渡ったという言い伝えがあるわ」

「だから橋の欄干に、カッパのオブジェがあるのね…って、動いた!」

 と、タマコは驚いた。


 オブジェのカッパが、二人を見てケラケラ笑っていたのである。

「カッパのロボットだわ」

「何か、アトラクションが始まるのかしら?」

 こちら側にある、二体のカッパが、橋の欄干からピョンと飛び降りた。

 仲良く手を繋いで、橋の向こう側に歩いていく。


「今から、渡り初め式をやろうというのね」

「なるほどね」

 ところがカッパは、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ。

 足取りがおぼつかない。


「あれじゃ、千鳥足だわ」

「お酒でも、飲んじゃったのかしら?」

 そのうちに、橋から落っこちてしまった。

 そのまま、流されて行ってしまう。


「あらあら、失敗ね」

「これが本当のカッパの川流れだわ」

「ここにもバグが発生しているのね」

「一茶さんはどうしているのかしら?」

「姿を現さないところを見ると、まだなんじゃない?」

「やっぱり私たちが京都まで行かないことには、ダメなのね」


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