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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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吉原 その2


「実は、この一連のバグの原因が、三条大橋の擬宝珠にあることが判明したのです」とオヤジは言った。

「擬宝珠が?あんなの、ただの飾りじゃないの?」とタマコ。

 だが、ミケコは、あることを思い出した。


「そういえば、弥次喜多グループが三条大橋を今の形に建て直したときに、擬宝珠をどうするかっていう話があったわね」

「なにぶん、入社前のことだわ」とタマコ。

「老朽化が進んでいるからって、最初は全ての擬宝珠を変えるつもりだったんだけど、一つだけ、やっぱりこれは残しておこうっていうことになったのよね。それが、幕末に新撰組が刀傷をつけたという、例の擬宝珠よ」


「そうです、そうです。さすがはミケコさん」と、オヤジが割って入ってきた。「ご存知のように、その擬宝珠だけが、今も残っています」

「でも、何かあったときに、いつでも取り替えられるようにって、ねじ式になっているのよね」とミケコ。


「そうなのです。ですが、それが古いままになっているせいで、東海道ゲレンデ全体との調和が取れなくなっているのです」とオヤジ。


「そういえば、今まででもちょくちょく小さなバグは発生していたわね」とタマコ。


「そこで、擬宝珠を新しいものと取り替えると同時に、バグを解消しようという、こういうわけです。これはただの擬宝珠ではありません。この中には、バグを治すプログラムが入っているのです。この擬宝珠を、お二人に京都まで持っていって、三条大橋にセットしていただく。そうすれば、東海道全域に影響を及ぼしていたバグが、一気に解消されるのです」

 と、オヤジは新しい擬宝珠をミケコに渡した。


 まじまじとそれを点検するミケコ。

「ふーん、これにも刀傷がついているわね」

「そうです、そうです。一見して新しいものとはわからないようになっております。まさか古い擬宝珠が原因で、バグが発生しているということが世間に知られれば、会社の一大事。このことは極秘に進めねばなりません。本来であれば、専門のスタッフの仕事ですが、公式にやってしまうと世間にバレてしまいます。そこで、現在休暇中のお二人には大変申し訳ないのですが、他にできる人がいないのです。というわけですので、くれぐれも頼み申しますぞ」


 それだけ言うと、怪しげなオヤジは一目散に去って行った。


「行っちゃった。何だったのかしら、あの人」

 タマコは今し方オヤジが去っていった方を眺めたが、もうどこにも彼の姿は見当たらなかった。


「要するに、京都に行ったら、この擬宝珠をはめ替えればいいってことよね?」

 と、ミケコはもらったばかりの擬宝珠をリュックに入れた。

「よくわかんないけど」

「とりあえず、行きましょうか」

 何事もなかったかのように、旅路を再開する、ミケタマである。


 ところが、これが実は、東海道と弥次喜多グループすべてをひっくり返す、恐るべき陰謀だったのである!


 その頃、例の怪しげなオヤジは。

 ベリベリっと、顔にかぶっていたマスクを剥いだ。

「ふう、よし、成功だな」

 中から現れたのは、甲賀忍者の末裔、多羅尾たらおユラであった!


 なぜ、甲賀忍者の彼がここにいるのか。

 それは、弥次喜多グループのライバル企業、十返舎開発が、彼を雇っていたからである。

 何を隠そう、東海道49番目の宿、土山と、50番目の宿、水口みなくちは、滋賀県甲賀市にあるのだ!


 そこで、十返舎開発は、甲賀忍者を使って、ある計画を実行しようとしていた。

 それはなんと、東海道のシステムを変更し、ゲレンデを一気にゴルフカントリーにしてしまおうというものである!


 ミケコが受け取った擬宝珠には、そのためのプログラムが入っていた。

 彼女が京の三条大橋にセットすると、プログラムが発動するようになっているのだ。

 ここで恐るべき偶然が。


 小田原城で、一茶は口から出まかせを言った。

 それは、十返舎開発が風魔忍者を雇って、東海道にバグを起こしていると。

 だが実際は、一茶も知らないことだが、真実は、十返舎開発が甲賀忍者を雇って、一気にプログラムを書き換えようとしていたのだ!


「しめしめ。あとは言ったことが怪しまれないように、適当にバグを起こせばいいだけだ」と、多羅尾ユラ。

 煙のように消えていった。

 それを陰から見ていたのは、日影ウスオである。


「まずいな。このままだと、風魔忍者のせいになってしまう」

 おまけに、弥次喜多グループが倒産してしまえば、彼の唯一の趣味である、ミケタマの観察もできなくなってしまう。

「なんとかせねば…」

 こっそり、ユラの様子を見張ることにした。


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