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東海道五十三次美人OLスキー旅ミケタマ珍道中  作者: いもたると


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19/26

箱根 その1

 翌朝、小田原城の朝食会場で、モーニングを堪能した二人。

 もう一つの小田原名物・梅干しで白いご飯をいただく。

 小田原で梅干し作りが盛んになったのは、戦国時代のこと。その薬効と食べ物の防腐効能に目を付けた北条早雲が、奨励してからだ。


 その早雲の居城で食べる梅干しの味は、格別である。

「あー、日本人で良かったわ」

「朝は、やっぱり、白いご飯と梅干しよね」

 昨夜のお酒が残る胃腸にも嬉しい。


「あれ、今朝は一茶さんたちは、いないのね」

「仕事に行ったんじゃないの?」

「そっか、あの人たちは、私たちと違って休暇じゃなかったわね」

「そうそう」


 そんなこんなで、城を出立した二人。

 本日は、東海道一の難所、箱根越えである。

 だが、急いで越すのではなく、箱根を登ったところにある、芦ノ湖畔で温泉にでも浸かって、ゆっくりして行こうという計画だ。


「さあ、行くわよ、箱根八里!」

「休養しっかり、充電もたっぷりだわ」

 昨夜は旅先で社長の息子に遭遇するというハプニングがあったが、おかげで高級シャンパンをたらふく飲むことができた。

 お酒はミケタマのガソリンである。

 エンジン全開だ。


 小田原城を出て、小田原宿の高札場こうさつばへ。

 実はここが箱根八里の起点である。

 ちなみに高札場とは、幕府が発した法令などを記した高札(立て札のこと)が立てられていた場所のことだ。


 天気は良好、二人は順調に滑り出した。

 箱根登山鉄道の線路に沿って西進、箱根湯本はこねゆもとへ。

 ちなみに芦ノ湖畔までの登りを、箱根東坂はこねひがしざか、下りを箱根西坂はこねにしざかという。


 箱根の登りは、箱根駅伝でも山場としておなじみであるが、もちろんここも近未来的なゲレンデへと変貌を遂げている。

「エンジン全開!」

 と、ミケコはフルパワーで、曲がりくねった山道を登っていった。

「登りじゃ、負けないわよ」

 と、タマコも負けじとフルパワーだ。


「あら、ちょっと太ったんじゃないの?」

「そちらこそ、昨日飲み過ぎたんじゃなくって?」

 どちらも真理を突いているが、心配ご無用である。

 弥次喜多グループが誇るジェットスキー板のパワーは、たとえお相撲さんであっても軽々運ぶ。


 クネクネと続くつづら折りの道を、あっちへターン、こっちへターン、山道大回転で登っていく。

「私、登り大好き!」

「私もよ」

「でも、下りも好き!」

「私もよ!」


 坂を登った先は、少しゆるやかなおいたいら。ここはモーグル地帯になっていた。

「私、モーグル大好き!」

「ジャーンプ!パーフェクトテン!」

 見事にひねりを加えてジャンプを決める。


 モーグル地帯の先には、峠の甘酒茶屋があった。

 箱根の甘酒茶屋といえば、江戸の頃より、峠を越える旅人たちの憩いの場。

 力餅と一緒にいただくのが、箱根八里の旅人の風景だ。

「甘ーい。ほっとするわ」

「温かくて、力が出るわ」


 エネルギーを得て、もう一踏ん張りである。

「さあ、あとちょっとよ!」

「ねえ、どっちが先に着くか競争しない?」

 最後の直線的な坂。

 ゼロヨンレースのように、同時にスタート!


「負けた方は、勝った方の背中を流すっていうのはどう?」

「いいわね。私のきれいな背中を流させてあげるわ!」

 結局、二人仲良く同時にゴールインした。


 そんな二人に、自然がプレゼントを用意して待っていた。

「きゃあー、きれいー!」

「感動だわ。心が洗われるわね」

 芦ノ湖には、見事な逆さ富士が映っていた。



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