第三十六話
ジャックとアルバン遂に決着(なお、因縁があると思ってるのはアルバンだけ)
戦場に現れた赤い機影。
それはアルビオン星系の武の象徴“ハングドマン”である。
「生きてますか?サリヴァン総司令官」
『ああ、なんとかな』
ジャックの問いにサリヴァンは疲れを滲ませながら答えた。
「では、俺がこいつの相手をします…サリヴァン総司令官は、今のうちに第9SAF中隊と共に友軍の援護に向かってください」
そう言った彼の目線の先には、今にも襲い掛かってきそうな“コンフィデンス”の姿がある。
ジャックは、“ケントゥリオⅡ”の状態を鑑みて、これ以上“コンフィデンス”と戦うのは危険だと判断したのだ。
『な、なにを言っている!相手はあの“百舌鳥”だぞ!?一人でなんて無茶だ!』
当然、サリヴァンはそんなジャックを説得しようとする。
トップランカーが相手に、一対一の戦いを挑むのはかなりの無謀なのだから、彼を説得しようとするのも当然である。
「勝算はあります。まず、私は第五世代機に乗っているので、機体の性能差という点では有利です。また、相手は連戦で消耗しています。なにより、防衛軍の総司令官である貴方を失う方がよほど不味い」
しかし、ジャックも頑として譲らない。
彼はサリヴァンの言葉に理路整然と反論した。
(ヤベェ…“百舌鳥”アルバン・ファビウスって、アンジェラちゃん誘拐事件の時に出て来た、なんか俺の宿敵っぽい奴じゃん!?俺、あいつの胴体に大穴開けたから確実に殺したと思ったのに!これじゃあ、俺があの時アルバンの全身を粉々に砕いてたら、こんな被害出なかったとか遺族に言われちゃうじゃん!普通、相手の腹に大穴開けて向こう側が見えた状態で、血吐いて倒れたら殺したと思うじゃん!…こいつが全方位通信で余計なこと言う前に口封じしなきゃ!!!)
そんな彼の脳内にあるのは保身の事だけである。
そうとも知らずに、サリヴァンは最も信頼する腹心の部下の言葉を苦々しい表情で受け止める。
(…今の俺の立場では、かつてのようにジャックと肩を並べて強敵に挑むわけにはいかないか…それも当然だな…今の俺は一介の大隊長ではなく、防衛軍全体を統括する総司令官だからなぁ…)
『わかった…お前の言う通りだ……だが、お前も絶対に死ぬなよ!いいな!』
サリヴァンは、死地に一人残さざるを得ない戦友に向けてそう言うと、第9SAF中隊と共に離脱していった。
「ええ、死ぬつもりはありませんよ!」
(生身で戦った時は雑魚だったんだし、SAFで戦っても楽勝でしょ!…つーか、なんであいつまだ攻撃仕掛けてこないわけ?)
ジャックは、目の前にいる自分やここから離脱して行くサリヴァンたちに対し、なんのアクションも起こさない“コンフィデンス”を訝し気な表情で見つめる。
「なんだ…?ジェネレーターのエネルギー充填待ちか?だったら容赦なく攻撃するけど…あ?…通信?相手は…unknown?」
そんな中、コックピット内の機器に不明な相手からの通信が届いていると表示された。
本来、事前に友軍として登録したものであれば、そんな表示が出る前に通信が繋がるようになっている。
したがって、自動的にスピーカーから相手の声が聞こえてこない時点で、明らかに防衛軍やレギュレーターズからのものではなかった。
「十中八九目の前にいる宿敵気取りだろうな…」
ジャックは嫌そうな顔でその通信を繋いだ。
『やあ、ジャック…お仲間とのお別れは済んだか?』
その相手は案の定、目の前にいるアルバンであった。
「ああ、おかげさまでな…お前こそ良かったのか?今のうちに家族や友人にお別れを言わなくて…今なら待っていてやるぞ?」
(なんだこいつ?随分余裕ぶっこいてるな…まあいいや、お前にはここで確実に死んでもらう…絶対に俺がお前を討ち漏らしたという事実は今ここで葬り去る!顔も名前も知らん相手が死んだ責任なんぞ問われてたまるか!)
そんなジャックの殺意(保身)に対し、アルバンは冷たい笑みを浮かべながら応じる。
『ククク…相も変わらず口の減らない男だ…貴様こそ恋人に…ヒルデ・ブランデンブルクに最期の別れを告げなくて良いのか?貴様は今日ここで死ぬのだ…その時間ぐらいはくれてやるぞ?』
「その必要はない…お別れならお前を倒してから自分で言うさ」
(ヒルデが俺の恋人とかどこ情報?よくそんな情報リテラシーの無さで裏社会を生き抜けたね?まあ、お前は今ここで死ぬんだけどね?)
“コンフィデンス”と“ハングドマン”が、向かい合いながら互いに円を描くように動き始める。
『その減らず口もここまでだ!これからは…貴様のそのお喋りな口は地獄の亡者共相手に使うのだなッ!』
「さあて…地獄にはお喋りが得意な亡者がいるのか…先に行って見てきてくれよッ!」
二機はほぼ同時にレーザーライフルを撃ち、どちらも更に機体を加速してそれを避けた。
『サリヴァンたちを帰したのは大きな間違いだったなぁ…ジャック!』
アルバンは右肩の誘導ミサイルを撃ちながら、不規則な曲線機動を描きながらレーザーライフルを発砲。
「そうかな?お前如き俺一人で十分だろ?」
(…なんだこいつの機動?第五世代機じゃねぇのに第五世代機に乗ってるみたいな動きしてやがる…しかも、あの頭…見たことないパーツだ。未だ世に出回ってない第五世代機の試作パーツでも仕入れたか?それなら侮れないな…)
ジャックは、ブースターを吹かしてミサイルを振り切りつつ、撃ち漏らした二発を一発のレーザーでまとめて爆散させる。
それと同時に、右肩の三連装プラズマミサイル“AE-PM-03-TRIGLAV”を、不規則な機動で“コンフィデンス”に近づきながら放つ。
「さて、プラズマミサイルの使い心地はどうかな…?」
アルバンは、放たれた三発のプラズマミサイルを潜り抜けるように躱しながら、牽制でレーザーライフルを撃ちながら左肩のレールキャノンを発射。
『このプラズマミサイルは追尾性がない…お得意の誘導ミサイル有りきの戦法は使えんぞ?』
「随分と俺に詳しいな!こんな厄介なファンがいるなんて人気者は辛いな!」
ジャックは、牽制のレーザーを最低限の動きで躱し、レールキャノンをバレルロールで躱しながら“コンフィデンス”の両肩の武装や複眼目掛けてレーザーライフルを撃つ。
『流石に…動きが良い!』
「性能差があってすぐに墜ちないとは…流石にトップランカーといったところか!」
アルバンは、最低限の動きでレーザーを躱していくが、右肩のミサイルポッド狙いの一発を躱し切れずに右肩を掠め、当たった箇所の装甲が溶解する。
『チッ!躱し切れんか…!』
(ジャックめ…既に俺の動きに慣れ始めたか…!相変わらず異常な学習能力だ…それに、機体の性能差がある…腕に然程開きが無いならば、機体の性能差が勝敗に直結し得る!俺の“コンフィデンス”は奴の“ハングドマン”に加速力以外では劣るッ!これ以上時間をかけるのは拙いッ!)
時間をかければかけるほど自分が不利なのだと悟るアルバン。
「今のを避けるか…!確実に当てたと思ったが…」
(え?なにこいつ?グレイブス大尉と違って、第五世代機でもねぇのに滅茶苦茶食らいついて来るんだけど!?生身じゃあんなザコいのに、SAFに乗るとこんな強いのかよぉ!?しかし、なんか動きが変だよなぁ…あの機体の機動性が第五世代機並みなら、今のはもらわなかった筈なんだが…?)
舐めていた相手が強敵で驚愕しつつも、相手の動きに感じた違和感を冷静に分析するジャック。
『ならば、性能差が現れる前に…速攻で潰すッ!』
今までの均衡がアルバンの手によって破られる。
アルバンは右肩のミサイルを連射すると、レーザーライフルを撃ちながらレールキャノンを発射。鋭い機動で“ハングドマン”へ肉薄する。
「ん?左右から挟み込むようにミサイルを…それにあの動きは…ミサイルとレーザーでレールキャノンの弾道に追い込む気か…?いや、違う!」
相手の狙いを理解したジャックは、レーザーを躱しながらグレネードランチャーを発射してレールキャノンの弾頭に当て、更に三連プラズマミサイルを連射した後それを自らレーザーライフルで撃ち抜く。
すると、グレネードの爆発によってレールキャノンは相殺され、撃ち抜かれた六発のプラズマミサイルが起こすプラズマ爆発に巻き込まれてミサイルが誘爆した。
「なんて無茶苦茶な機動だ…!こいつ…速攻で決めるつもりか!」
ジャックは、自機の足元からレーザーライフルを発砲しながら、無茶苦茶な機動でプラズマ爆発を躱して迫ってきた“コンフィデンス”を見てそう言った。
『ジャック…!貴様にだけは…貴様にだけは負けて堪るものかッ!』
アルバンは、無茶苦茶な機動を取った負荷で吐血しながら、不規則な機動でレーザーを躱す“ハングドマン”を睨みつける。
『ジャックゥゥゥ!!!』
「おいおい…しつこい男は女に嫌われるぞッ!」
“ハングドマン”と“コンフィデンス”…二機は絡み合うように曲線軌道を描く。
“コンフィデンス”がレーザーライフルを撃ちながらミサイルを放てば、“ハングドマン”がミサイルをプラズマミサイルで相殺しながらレーザーを躱す。
“ハングドマン”が、プラズマミサイルとグレネードランチャーを撃ちながらレーザーライフルを撃てば、“コンフィデンス”はプラズマミサイルを撃ち抜きグレネードを誘爆させてレーザーを躱す。
そんな応酬が幾度か続いた。
「凄まじいな…一体なにがここまで貴様を駆り立てる!?アルバン!」
(お前本当に人間!?こんなG掛けまくったら俺でも何回か気絶しそうになったんだが…お前マジなんなん?体の大部分機械化したとか言ってたけど…なんでそこまでするんだ?)
不規則な機動でレーザーやレールキャノンを躱しながら、レーザーライフルでミサイルを迎撃しつつ、プラズマミサイルを相手に向けて放つ“ハングドマン”。
ジャックは、そんな風に戦闘機動を取りながらも、尚も追いすがるアルバンに対して思わずそう問いかけた。
『黙れ!貴様にはわかるまい!』
アルバンは、プラズマミサイルをレーザーライフルで迎撃し、レールキャノンとミサイルを“ハングドマン”に向けて放つ。
『突如として現れた貴様に…初陣の小僧にッ!銀河最強の殺し屋とまで謳われたこの俺が…左目を奪われたのだッ!おかげでこの“百舌鳥”…アルバン・ファビウスが良い笑いものだ!』
ジャックの“ハングドマン”は、レールキャノンを躱してレーザーライフルでミサイルを叩き墜とす。
「それじゃあ、お前は片目を失った恨みで全身を改造しやがったってのか!?おいおい!片目を失った恨みを晴らすために、生身の体の大部分を失うなんぞ本末転倒にも程があるだろ!」
(なんだこいつ頭おかしいんか?いや、殺し屋なんて糞みてぇな仕事に誇りを持ってる奴がまともな筈ねぇわ。反社だよ反社!ところで、体の大部分改造してるって言ってるけど、こいつの股間の方は本当に金属の玉がついてんのかな?)
そこへすかさず、ブースターを全開にした“コンフィデンス”が、迎撃されたミサイルの爆炎を切り裂き現れる。
『俺がお前に奪われたのは…誇りだ!ジャック!標的を仕留め、依頼を達成できるならば左目など惜しくはない!だが、貴様は…俺の左目を奪うだけでなく…剰え依頼を失敗に追い込んだ!』
“コンフィデンス”がブースターを全開にしたまま“ハングドマン”に蹴りを放つ。
「何が誇りだ!貴様は金さえ貰えれば無力な女子供も殺す単なる腐れ外道だ!そんな外道に誇りも糞もあるものかッ!」
(知らねぇよ!そんな危ない仕事選んでおいてなに言ってんだてめぇは!戦場でかち合ったのかどうかは知らんが、どうせ俺の事も殺そうとしてたんだろ?だったら生きてるだけ有難く思えや!カス!)
“ハングドマン”は、“コンフィデンス”の蹴りを紙一重で躱しながら、左腕のレーザーブレード発振器から光刃を伸ばす。
そして、蹴りを外してバランスを崩した“コンフィデンス”へ、半円の軌道を描くように光刃を振るった。
『ッ!?ま…だだァ!!!』
ブースターを全開にした無茶な動きで光刃を躱すも、右肩のミサイルポッドを斬りつけられ、それが誘爆する前にパージしたアルバン。
次の瞬間、斬りつけられたミサイルの爆炎に視界が奪われる。
「チィ!レーダーを頼りに動くしかないか!…そこッ!」
『ハズレだッ!ゴボッ!…ハァハァ…死ねぇ!ジャック!』
「なにぃ!?」
爆炎によって奪われた視界、ジャックはレーダーの反応を頼りに“コンフィデンス”へ斬りかかるが躱された。
アルバンは、卓越した操縦技術と体の大部分を機械に置き換えた事で得たG耐性により、“コンフィデンス”のブースターを全開にして旋回し、ジャックのレーザーブレードによる斬撃を紙一重で躱したのだ。
『舐めるなよ…!ゴフッ…俺は…俺はまだ戦えるッ!』
アルバンは血反吐を吐きながら、左腕のパイルバンカーを振りかぶり、“ハングドマン”へ叩き込もうとした。
「ぐっ…!同じことが俺にできないとでも?」
しかし、そのパイルバンカーによる一撃は、ジャックがアルバンと同じような動きで躱して見せる。
ジャックの乗る第五世代機は、非常に高い機動性と高Gに耐えられる耐G装備がある。
しかし、アルバンの機体は言わば第四世代機と第五世代機のパッチワークであり、加速力だけは第五世代機並みだが小回りは利かず、尚且つ耐G装備も第五世代機に劣る。
そのため、ジャックはアルバンとは違い無事だった。
『なんだと!?グハァッ!』
“コンフィデンス”に“ハングドマン”の蹴りが容赦なく突き刺さる。
『ぐぅ…機体は…操縦不能か…』
“コンフィデンス”は、度重なる機体への多大な負荷や蓄積していたダメージにより、姿勢制御装置が一時的に硬直する。
『まだ…まだだ!俺は…奴を……ジャックを乗り越えるッ!』
アルバンはコックピットのコンソールへコマンドを入力。
姿勢制御装置をオフにしてマニュアルで機体を動かし、レーザーライフルを“ハングドマン”の向けようとする。
「無駄だ」
次の瞬間、ジャックの早撃ちで“コンフィデンス”の右手のマニピュレーターごと、レーザーライフルが吹き飛んだ。
『なんだと!?』
そして、次は頭部の複眼やレールキャノン、パイルバンカーを撃ち抜かれる。
「終わりだ…アルバン!」
『おのれ…おのれぇぇぇ!!!』
ジャックは、ブースターを全開にして“コンフィデンス”に接近しながら、容赦なくレーザーライフルで機体を蜂の巣にする。
『なぜだ…なぜ俺は……ジャックに勝てない──』
“ハングドマン”が相手のコックピットブロックにレーザーブレードを突き立てた。
“コンフィデンス”は爆発四散。
ジャックとアルバンの因縁は今日ここで終止符を打たれた。
「こちら、ギャレット最先任上級曹長。Bランク帯9位、アルバン・ファビウスを撃破した…ああ、本当だ俺は無事だ…ふぅ…」
(滅茶苦茶な動きしちまったせいで機体にガタが来たか?後でおやっさんに滅茶苦茶怒られそうだ…)
「あー…疲れた」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
第4SAF中隊の通信が途絶した宙域。
特別志願SAF中隊と呼ばれる部隊が、小型の輸送艇と救助艇と共に友軍の救助を行っていた。
「パーシヴァル少尉、こちらは全員の収容が完了しました」
『わかった。では、移動して引き続き捜索と救助を行う』
「了解」
彼ら特別志願SAF中隊は各コロニーから志願者を募り、臨時で編成したSAF部隊である。
彼らは今サリヴァンからの命令で、壊滅した第5パトロール艦隊や第7SAF中隊、第6SAF中隊の救助に回っている。
その中にはユーマ・シドウ軍曹やコールリッジ軍曹の姿もあった。
「酷い…第5パトロール艦隊は、航行不能になった艦にいた人たち以外ほぼ全員手遅れだ…」
ユーマは、別の小隊によって死体袋に入れられ遺体用の輸送艇に運ばれていく、第4パトロール艦隊の人員と思しき者たちを見て呟いた。
「ん?この周波数は…こちらシドウ軍曹!救難信号を探知しました!」
付近の艦の残骸からの救難信号をキャッチしたユーマ機。
その残骸は千切れ飛んだと思しき艦の一部だが、扉などのロックにより完全に密閉されており、それなりの大きさがある事から内部に人がいる可能性が大きい。
救難信号に気がついたユーマが通信で報告する。
『こちら、パーシヴァル。了解した、すぐにそちらへ向かう』
『こちらコールリッジ軍曹!今救助した人たちを救助艇に収容次第、そちらに向かいます!』
隊長機であるパーシヴァル機が、ユーマ機の隣に来ると艦の残骸を見て言う。
『まだなにもしてはいないな?』
「はい、接触はまだです」
『ああ、それでいい。下手に触れば、内部の生存者が宇宙に生身で投げ出される事になる…』
パーシヴァルは艦の残骸を見て唸る。
この手の残骸は、まともな通信設備が無く内部との連絡が困難な上に、そのまま輸送艇や救助艇に積み込むには大きく、内部にいる人間が宇宙服を着ているとも限らないため残骸を切断する事もできない。
しかも、問題はそれだけではない。
『センサーは…内部に動く人型のものを確認できたか…だが、どれだけ酸素が残っているか…』
彼は残骸に接近すると、SAFのセンサーが艦の残骸内部の生体反応を検知する。
その場合、内部や宇宙服の酸素がどれだけ持つかが問題となる。
「こ、これをそのまま母艦に持っていけませんか?え、えーとその…ギリギリハンガーに入りそうじゃないですか?」
ユーマの提案を聞き、パーシヴァルは思案する。
『母艦のハンガーか…ブリストル級のハンガーに収まるか…?いや、確か…大型救助船が来ていたか…そこへ持って行けば、母艦に持って行かずともなんとかなるか?だが…』
彼の懸念事項は、サリヴァンらが束になっても敵わず、今もジャックと激闘を繰り広げているであろうトップランカー“百舌鳥”の存在だ。
(この残骸を運びながら奴と遭遇すればこれを守り切れる自信はない…それどころか…逃げ切る事すら…)
そんな中、ある一つの知らせが母艦から舞い込む。
『こちら“アバディーン”!特別志願SAF中隊各機へ!ギャレット最先任上級曹長が敵ランカー…アルバン・ファビウスを撃破!トップランカーが撃破されたぞ!』
それを聞いた中隊の皆は大いに奮い立つ。
最大の脅威が英雄の手で除かれたのだ。
『おお!ギャレット最先任上級曹長がやってくれたぞ!』
『サリヴァン総司令官も健在で、ギャレット最先任上級曹長が援軍と共に戻った…!勝てるぞ!』
『これでこの戦いの趨勢は決まったも同然だ!』
『アルビオン防衛軍万歳!ギャレット最先任上級曹長万歳!』
パーシヴァルはユーマに通信で言った。
『ギャレット最先任上級曹長がやってくれたな。よし、こいつを大型救助船へ持って行くぞ』
状況が変わり、艦の残骸を運ぶことが不可能ではなくなったのだ。
『遅れて申し訳ありません!コールリッジ軍曹、要救助者の移送完了しました!』
そこへ、コールリッジ軍曹が戻ってくる。
パーシヴァルは、彼女に対し一言労いの言葉を掛けると艦の残骸を運ぶ算段を付け始める。
『いや、救助者の移送ご苦労だった。こいつを救助船まで移送する。シドウ軍曹並びにコールリッジ軍曹は、片方が直掩についてくれ。もう片方は俺とこいつを運ぶぞ』
「了解!」
『了解です!』
ユーマたちは艦の残骸を運んで救助船に移送していく。
その後、残骸は救助船内の気密ブロックで歪んでこじ開けられ、中にいた要救助者は無事保護されることになる。
「ギャレット最先任上級曹長が来てくれたおかげだ…これで、この戦いも終わるかな…」
ユーマはコックピット内でそう呟いた。
戦いは佳境に差し掛かっている。
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