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第三十三話

主人公不在だと途端にシリアスに…

 冷たい宇宙空間、編隊を組んで突き進む第4SAF中隊。


「間もなく第5パトロール艦隊が通信途絶した地点に到着する!相手は正真正銘のバケモンだ!全員身を守ることだけ考えろ!」

『『『『『了解!』』』』』


 警戒を厳にして進む彼らの周りには、撃沈された艦や撃墜されたSAFの残骸が浮かんでいる。


『薄気味悪いな…レーダーは……ノイズがあるがこの宙域ではまだ使えるッ!?散開しろ!』

『あ──』

『畜生!一人やられた!』


 最後尾にいた小隊、その隊長機がなにか遠くで光る点のような物を見つけ、それは遠くから巡洋艦以下の艦が主砲を撃つ光景に似ていると気が付き自身の小隊を散開させる。

 その直後、彼らのいた地点を目掛け高出力のレーザーが飛来。

 反応の遅れた一機が消し飛ばされる。


「こちら、リカルド!どうした!?そちらで何があった!」

『長距離からの狙撃です!一機やられました!この威力…SAF用のレーザー兵器じゃない…巡洋艦の主砲並の威力だ!』

「なんだと!?」


 後方で鋭い閃光が迸ったと思えば爆発が起き、リカルドは最後尾にいた小隊に報告を求める。その結果、返ってきたのは艦砲射撃並の威力の攻撃で、小隊の内一機が墜とされたという衝撃的な知らせであった。


「攻撃が来た方向にレーダーからの反応は?」

『ありません。しかし…こんな事が可能なのでしょうか…艦船でもないのに巡洋艦並みの威力の攻撃を行うなんて…』

「ジャミングしている可能性があるな…だが、これが巡洋艦の攻撃だとしたら…この距離で届くならそう遠くからではない筈…よし!攻撃が来た方向へ向かうぞ。原因を排除しなければ…我々は、最悪化け物を相手にしながら、背後からの狙撃を気にして戦う羽目になる」


 リカルドは、何らかの方法で艦砲射撃並の威力の狙撃を行ってくる相手を無視するのは極めて危険だと判断、その原因を排除する必要があると確信した。


「まずは、周辺の艦残骸などに隠れつつ狙撃手を排除しに行くぞ!あれだけの威力のレーザーを撃つんだ。そう簡単には持ち運びできるサイズじゃない…ある程度の距離までくれば正体もわかる筈だ!」

『『『『『了解!』』』』』


 第4SAF中隊は、“百舌鳥”の前に姿の見えない狙撃手を排除するため行動を開始。


(仮に狙撃地点からすでに相手が移動しているとして…この場に留まり続けるのも危険だ…それに、全滅するとしても少しでも多くの情報を味方に齎さなくては…仮に、ジャミングの影響で通信が出来なくなっていた場合、何機か離脱させて友軍に情報を流す。そうすれば…サリヴァン総司令官がやってくれる筈だ!)


 リカルドは、自分たちの生存は絶望的と判断した上で、脅威の排除が叶わずとも友軍に情報を齎せるようにすると決意する。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 艦の残骸に隠れつつ進んで行く第4SAF中隊。

 それを遠くから狙う者たちがいた。


『ふむ…外したか…』

『一機は墜としていたと思うが?』

『小隊ごと片づけるつもりだったんだ…』


 それは、巡洋艦から取り外した主砲と思しき物にスコープと旧式のSAF用ブースターをつけ、小型艦用ジェネレーターに直接接続してエネルギーを供給できるようにし、SAFで引き金を引けるように改造した代物。

 しばし傭兵たちが用いる、ブースターで砲の向きを変えて小型艦用ジェネレーターのエネルギーで砲を撃つ、巡洋艦を保有できない規模の傭兵でも巡洋艦の主砲並の火力を叩き出せるという兵器だ。


 そんな物が二基、第4SAF中隊を狙っていた。


『そんじゃあ、“百舌鳥”が来る前に精々稼がせてもらおうか…』

『お?ファビウスの旦那は来ないのか?』

『艦隊一個潰して前金分は働いたから、後は腕利きが出るまで待つんだと…お!そろそろだな!』


 艦の残骸に隠れながら進む第4SAF中隊だったが、途中で盾にできそうな艦の残骸が途切れている。盾にできそうな残骸はいくつかあるものの、少し離れているためその間機体を晒すことになる。

 まず、先頭のリカルドがブースターを全開にして、次の残骸の元へ行こうとする。


『よーし!まずは一機!』


 リカルドは攻撃が来る予兆を察知し、飛んで来たレーザーを見事躱して見せた。


『避けた!?』

『あーあー…外しちゃってまぁ…次は俺だ』


 リカルドに続いて飛び出した二機。

 一機は躱して見せるも、もう一機は片足を吹き飛ばされる。


『あークッソ…外した』

『よーし…丁度こいつのクールタイムが終わった所だ…とどめを刺して…お!』


 片足を失った機体も体勢を立て直し、先行した二機同様撃沈艦の残骸の陰に飛び込んだ。


『マジか…あそこから姿勢を立て直せるんだな…』

『下手くそのてめぇじゃ無理だな』

『うるせぇ!それより…今回は数が多い!』


 狙撃手の数が少ないと見た第4SAF中隊は、一気に二個小隊が別々の方向へ飛び出す。

 彼らは同時にそれぞれ別方向へレーザーを放つ。


『あっ!クッソ!外しただと!?』

『よし!二機撃墜!…どこ狙ってんだヘタクソ!』


 すかさず、残りの二小隊も間を置かずに残骸の陰に飛び込んで行った。


『畜生…!こいつら…!』

『既に俺たちの発射間隔は読まれているか…近づかれると不味い…!今のうちに前衛を呼ぶぞ』

『チッ!しょうがねぇか…おい、聞こえるか…』


 二人は増援を呼びつつ狙撃を続ける。


『クソ!こいつら完全に発射間隔を把握していやがるッ!多分数もバレた!』

『試しに間を置かずに俺たち二人同時に狙撃したり、一人を狙い撃ちにしたが…先頭の機体はそれらすべてすり抜けやがる…何者だ?』


 彼らはなんとか狙撃を当てようと苦心するも、リカルドらには大して被害を与えられずに終わった。


『よぉ!随分手子摺ってるみたいだな?』

『ま、てめぇらの腕じゃそんなもんだよな』

『屑共め…邪魔だからとっとと下がれ』


 そこへ丁度増援のSAFが数機やって来る。


『んだとてめぇ!』

『おい、やめろ!この数相手に勝てる訳ねぇだろ!それに…あいつ、ランカーだ』


 そう言った彼のコックピットのモニターには、Fランク帯50位ダンカン・ウィルソンという文字列。

 ランカーの識別反応を機体が探知したのだ。


『チッ!…引き上げるか』

『ああ、奴らはもう終わりだろう…』


 そう言って狙撃手たちは引き上げていった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「そろそろ艦の残骸の点在する宙域を抜ける…ここからは盾になる物が無い!各員、決して油断するな!」

『『『『『了解!』』』』』


 第4SAF中隊はその数を減らしつつも、未だ戦闘能力を維持していた。


(スナイパーに構っていたのは失策だったか…?あれを排除するためだけに二機も失ってしまった!完全に俺のミスだ!判断を誤った!)


 リカルドは内心で自分の判断が誤りだったと考え、自責の念に駆られていた。

 しかし、敵はそんな暇など与えてはくれない。


『ほう、あれがあの屑共が仕留めそこなった獲物か…まあ、獲物を誘い込む役目を果たした事は褒めてやるか』

「識別反応、Fランク帯50位ダンカン・ウィルソン…機体名“ワスプ”!誘い込まれていたのか!」


 現れたのは数機のコグネイト。

 だが、その内の一機は機体の所々を黄色と黒の警戒色塗られた機体、“ワスプ”が混ざっていた。

 “ワスプ”は、右肩に六連誘導ミサイルを装備し、両手にバズーカを装備している。


「お前ら!最下位とはいこいつはランカーだ!気を抜けば墜とされるぞ!」

『屑共!それなりにやりそうな上等な獲物だ!喰い尽くすぞ!』


 双方の指揮官の号令と共に、双方のSAF同士が激突する。


「こいつ…ランカーってだけはある!」

『ランカーでないとはいえ…動きが良いじゃないか』


 リカルドは、敵の誘導ミサイルをバズーカで吹き飛ばしつつ、右肩の誘導ミサイルを放つ。

 しかし、“ワスプ”は右手のバズーカでミサイルを吹き飛ばしながら、更にミサイルを撃ちつつ左のバズーカで攻撃する。


「こいつ…武装を三つに制限してる代わりに、完全に使いこなしてやがる…最下位っつってもランカーってだけあるな…」


 強敵を相手にリカルドは冷や汗を掻く。

 そこへ、第4SAF中隊のSAF二機が援護に回る。


『隊長!援護します!』

『流石に一対一危険です!』

「おう、頼むわ!意地張ってられる相手じゃなさそうだからなぁ!」


 支援に入った二機の武装は、一機は両手マシンガンに左肩に誘導ミサイル、もう片方は右手にレーザーハンドガンで左手にバズーカである。


(援護に来たのはアランとカールの二人。カールはレーザーハンドガンを持っているか…相手はコグネイトのフルセット…当然、エネルギー耐性は低い…俺とアランで足を止めてカールに仕留めさせる!)


 リカルドは僚機の装備を見て瞬時に作戦を組み立てる。


「よし!アラン!俺と二人でこいつの足を止めるぞ!カール!足を止めたらレーザーハンドガンとバズーカを叩き込め!」

『『了解!』』


 彼の指示を聞いて、アランはリカルド機の横へ、カールは二人よりやや後方で機会を伺う。


「アラン!二人でミサイルをぶっ放してバズーカとマシンガン、グレネードの雨を降らしてやるぞ!カール!イケそうだと思ったら合図するからいつでも狙える位置にいろ!」

『『了解!』』


 リカルドは指示を飛ばすと、アラン機と共にミサイルを発射。


『チッ!これ全部誘導ミサイルかッ!雑魚が二匹増えただけかと思ったら…それなりに良い動きしやがる…!』


 12発の誘導ミサイルをダンカンは鋭い軌道で振り切ろうとしつつ、それら全てをバズーカで吹き飛ばす。

 爆炎で隠れた彼を目掛け、アランのマシンガンとリカルドのバズーカの弾が飛んでくるが、それらは“ワスプ”には当たらず空を切る。


『ふん、爆炎に隠されれば当てては来れんか…今度はこっちの番だッ!』


 “ワスプ”は、えぐり込むような軌道でリカルドたちの元へ回り込み、ミサイルを撃ちながらバズーカを放つ。


「アラン!」

『ミサイルは任せてください!』


 アランは素早く両手のマシンガンでミサイルを迎撃しながらバズーカの弾を躱す。


「今ッ!がッ!…ハハハ!バズーカ一発じゃこいつは墜ちねぇよ!」

『ぐふッ!?こいつ…相打ちに持ち込む気か!?』


 リカルドは被弾覚悟で足を止め、左肩のグレネードランチャーによる偏差射撃を行う。

 そして、自機へバズーカの弾が直撃することと引き換えに、“ワスプ”へ見事グレネードを命中させる。


 本来ならば、ミサイルやもう片方のバズーカによる追撃を恐れ、決してできないであろう荒業。

 しかし、アランによりミサイルが排除されたことで、今この瞬間リカルドが食らう可能性のある攻撃はアランを狙っていない方のバズーカだけであった。

 その限定的な条件が揃った事で、リカルドはこのような荒業を行う事が出来た。


『うぐぅ…屑が…調子に乗るなァ!』

「やれ!カール!」


 呻きながらもなんとか機体の姿勢を立て直すダンカン。

 だが、それは相手の隙を突こうと虎視眈々と待ち構えていた者からすれば、あまりにも緩慢な動きである。


『そこッ!』

『がぁッ!?…右腕が!?』


 カールのレーザーハンドガンの連射が“ワスプ”の右腕に当たる。

 連射されたレーザーによって、右腕の内部機構は破損し、一発がバズーカに当たって誘爆する。


『操縦不能!?クッソ!姿勢制御装置がイカレやがった!』


 更に容赦なく放たれたバズーカにより、姿勢制御装置が一時的に硬直。

 残念ながら、彼にはジャックの様に姿勢制御装置をオフにして戦う技量はない。


『この俺が!?こんな屑に──』


 カールによるレーザーハンドガンとバズーカの連射を受け“ワスプ”は爆発四散。

 ダンカン・ウィルソンは乗機と運命を共にする。

 ランク外の相手を侮りあっさりと殺される…

 正に、典型的なFランク帯ランカーの死に様であった。


「ふぅ…一時はどうなる事かと思ったが…いやぁ、優秀な部下がいて助かったぜ!」

『隊長!ご無事ですか!機体の状態は!?』

『無茶苦茶ですよ!?なに捨て身で相打ちみたいな事してるんですか!』


 自身を心配して近づく部下たちに対し、リカルドは軽い調子で告げた。


「おお!悪い悪い!コグネイト譲りの頑強さを持つウォーバディならバズーカの一発は食らっても大丈夫だと思ってよ!ま、お前らがいるから出来た無茶だ!そうそうやらねぇから安心しろって!」

『そうですが…心臓に悪いですって…』

『俺らを信頼してるからって無茶しないでくださいよ…』


 恨みがましそうな部下たちの言葉に謝りつつ、リカルドは部隊との通信を行う。


「こちら、リカルド!ランカーは俺とアランにカールの三人で片づけた!そっちはどうだ?」

『こちら、ルパート少尉。全機健在!』

『こちら、ゴードン中尉!今度はフレッドの馬鹿が肩のミサイルポッドを吹っ飛ばされやがった!それ以外に損害はありません!』

『こちら、トーマス少尉!現在…あ、丁度終わりました。全機健在です』

『こちら!ヘンダーソン中尉!被弾した機体はありますが戦闘に支障はありませんよ!』


 ランカーが率いる部隊を相手に被撃墜数0。

 これは、アルビオン星系のような中小規模の星系では本来あり得ない事だった。

 そんな頼れる部下たちの声を聞き、リカルドは笑みを浮かべる。


(こいつらとなら…トップランカーが相手でも生きて帰れるかもしれねぇ!)

「よし!それじゃあ…お!?」


 彼はふとコックピット内の計器を見て気が付く。

 レーダーにノイズが走っていないのだ。


「レーダーのノイズがねぇ…どこかの部隊がやったか!?」

『こちら“プリマス”聞こえるか!』

「こちら第4SAF中隊!どうぞ!」


 そこへ母艦である“プリマス”から通信が来た。

 リカルドはそれにすぐに応じた。


『良いニュースだ!第7SAF中隊が妨害電波の発生源を潰した!そして、現在そちらへ合流しようとしている。更に、後十分ほどでサリヴァン総司令官率いる増援が到着するそうだ!』

「おお!そいつは良いニュースだ!最近あまりいいニュースが無かったんで嬉しいねぇ!それより…報告することがある」


 リカルドは母艦に現在の状況を報告する。


「第4SAF中隊は現在、敵の長距離狙撃によって三機を喪失、一機片足を吹っ飛ばされている。だが、敵ランカーのFランク帯50位ダンカン・ウィルソンを撃墜した」

『そうか…だが、ランカーを墜とせた事は大きい!現在そちらの宙域のこの地点に第6SAF中隊と第7SAF中隊が向かっている。彼らと合流して事に当たれ!勝てるぞ!この戦いに!』

「ああ!勝って必ずこの星系を守り抜いて見せる!」


 彼は通信を終えると、送られてきた味方との合流地点の座標へ向かおうとする。


「あ?なんだこの反応…」


 しかし、レーダーに妙な反応がある事に気が付いた。


「んー?こいつは…船にしちゃ小さいなぁ…んで、SAFにしちゃ遅いしデケェなぁ…もしかして…狙撃手の正体か?」


 リカルドはこれが狙撃手の正体であると当たりをつける。


「ふーむ…そうなると…また、あの狙撃を食らうのは面倒だな…よし!各機へ通達!この妙な反応の正体を探りに行くぞ!もし、この反応があの狙撃手の正体だったら、バケモンの相手しながら撃たれるなんぞ勘弁だからな!」

『『『『『了解!』』』』』



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



『クッソ!想定外だぞ!』

『ダンカンの野郎…俺たちを屑呼ばわりしといて一機も墜とせてねぇじゃねぇか!』


 先ほど第4SAF中隊を狙撃していた二機は、他の数機のSAFと共にレーザー砲を牽引して必死に逃げていた。


『お、おい!こいつ捨てて逃げねぇとヤベェって!』

『そうだ!こんなの捨てて逃げようぜ!』

『命あっての物種だろ!?』

『お、俺はもう一人で逃げるぞ!いいな!?』


 好き放題言う他のSAF。

 それに対し、苛立ったのか狙撃手の片割れが声を荒げて言う。


『無理だ馬鹿野郎!捨てられるなら俺だってとっくに捨てて逃げている!ボス気取りのあのクソったれが必ず持ち帰れ!もし、捨てて逃げかえったら殺してやるって宣ってんだぞ!』


 それを聞いたもう片方の狙撃手は言う。


『じゃあ、もういっそ全員で逃げるか?どうせあのクソったれは死ぬだろ…アルバンを騙した時点でお陀仏確定みたいなもんだし』


 それを聞いて狙撃手は黙り込んだ。

 逃げなきゃ死ぬが、仮に逃げても上役がここで死んでくれなければ、面子のために命を狙われるだろうからだ。


 だが、もうそんな事で悩む必要はない。

 時間切れだ。


「ビンゴぉ!連中が狙撃手だな?あのレーザー砲は…スクラップになった巡洋艦からレストアしたのか?隠れられてたのは、上手ーくジャミングの傘の中ギリギリから、狙ってやがったからなんだろうな…よし!お前ら!仲間の仇討ちだ!」

『『『『『了解!』』』』』


『て、敵!?迎撃するぞ!』

『おい!このデカ物ならあいつら全員薙ぎ払えるだろ!』

『馬鹿!この近距離で動き回るSAFに当てられるか!』

『ち、畜生!死んでたまるか!』

『糞!糞!糞ォ!』


 距離という壁と圧倒的な火力を失った彼らは、為す術もなく第4SAF中隊に蹂躙されることとなった。


「一機撃墜!」

『あ──』


『や、やめったす──』

『墜ちろ!』


『い、嫌だ死にたくね──』

『死ねぇ!この薄汚い侵略者!』


『た、頼む!降伏する!もうやめてくれ!』

『いいだろう、では武装解除を…』

『かかったな間抜け──』

『ハァ…そんなとこだろうと思ったぞ…』


 数十秒後、そこには第4SAF中隊に撃破されたSAFの残骸だけが残った。


「この程度の連中に戦友を三人も死なせるとは…不甲斐ない…」


 リカルドはレーザー砲に向けてバズーカを放った。

 レーザー砲は破壊され、二度と使えない完全なスクラップになった。


「放っておいて回収されるわけにもいかん…こちらで鹵獲したかったが…生憎そんな時間も余裕もない…各機へ、合流地点へ急ぐぞ」

『『『『『了解!』』』』』


 彼ら第4SAF中隊は合流地点へ向かって行く。

 だが、その途中で再び事態が急変する。


『こ、こちら第7SAF──』

「どうした!?なにがあった!?」


 合流予定の第7SAF中隊から、切羽詰まった声の通信が届いたと思いきやそれが爆発音と共に途切れた。

 明らかに尋常な事態ではない。


(まさか…また“百舌鳥”が!?)


 リカルドの額に冷や汗が浮かび上がる。

 そこへ今度は第6SAF中隊から通信が入る。


『こちら第6SAF中隊!合流地点へ向かう途上で襲撃を受けた!救援を!』

「こちら第4SAF中隊!すぐに向かう!お前ら!予定変更!友軍を助けに行くぞ!」

『『『『『了解!』』』』』


 第4SAF中隊は第6SAF中隊の元へ急行する。

 しかし、そこで待っていたのは助けを待つ友軍ではなかった。


『ほう、新手か…』

「こ、こいつが…」


 そこには、第6SAF中隊の物と思われるSAFの残骸と、まるで蜘蛛を思わせる頭部パーツの全身が青緑に塗られた、左胸に“左の眼孔を枝に貫かれた頭蓋骨”のエンブレムをつけたSAF…“コンフィデンス”の姿があった。


「Bランク帯9位…アルバン・ファビウス…!」

『その不死鳥のエンブレムは…そうか、お前たちがウィルソンを殺ったか…ククク…』


「いいか…全員生き残る事だけ考えろ!回避に全神経を注げ!」

『本当はギャレットが見出したという連中…“ギャレットの置き土産”と殺り合いたかったんだがなぁ…』


「あと数分…あと数分で必ずサリヴァン総司令官が来る!」

『まぁいい…最下位のゴミとはいえランカーを殺ったんだ』


「絶対に…絶対に全員で生き延びるぞッ!」

『サリヴァンや“ギャレットの置き土産”が来るまで…退屈させてくれるなよ?』


 絶望を前に、震える声で気炎を上げるリカルドたち。

 果たして不死鳥は死神の魔の手から逃れ得るのか…


高評価とブックマークありがとうございます!

これを励みにこれからも投稿を続けていきますので宜しくお願い申し上げます!

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