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第二十四話

ジャック視点じゃないと途端にシリアスになるな…

 AL4αコロニー下士官養成所。

 候補生寮。


 人工物の空から降り注ぐ、偽物の月明かりが差し込む部屋。

 同室の者たちが寝息を立てている中、未だ眠る事ができない者がいた。

 レン・アサクラである。


 彼はジャックの推薦により、AL4αコロニーの下士官養成所に入る事となった。

 時折やって来る、ジャックやOBのシドウ軍曹らによって、彼の操縦技術は半強制的に大きく成長することとなった。

 それだけでなく、彼は同期にも恵まれ友人たちと共に、養成所にて充実した日々を送っている。


 しかし、それでも胸中に燻る物が消えることは無い。


「嫌な晩だな…今日は月が三つの日なのか…」


 コロニー内では日々の天候は事前に予定されているものであり、日によって晴れや雨、曇りなどが決まっている。

 もちろん、それは夜空も同じだ。

 日替わりでどこの星のいつの夜空かが変わる。


 その日は丁度…彼の故郷と月の数が同じ日だった。

 そのせいで、彼は失った故郷の事を思い出す。


(あの日の惨劇も…こんな月夜の晩だったな)

(忘れもしない…俺の故郷は…家族は……企業に…その走狗であるGISDFに奪われたんだ)



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 彼の故郷…ルガルバンダ星系は大企業によって分割統治されていた。

 星系内では企業同士の小競り合いで、半ば鉄砲玉のように現地の住民は使い潰されていた。


 やがて、大企業の圧政に耐えかねたルガルバンダ星系の民は、ルガルバンダ独立戦線を結成。

 政府や企業に対し独立戦争を仕掛けた。

 ルガルバンダ戦役の勃発である。


 対する企業側は、100隻以上に及ぶ大艦隊でそれを鎮圧しようとした。

 当然、誰もがそれで終わるものだと思っていた。

 だが、そうはならなかった。

 レンの兄である、当時のBランク帯9位“告死鳥”キョウヤ・アサクラが、ルガルバンダ独立戦線の側に立ったのだ。

 キョウヤは圧倒的な戦闘能力で瞬く間に企業の艦隊を殲滅して見せた。


 しかし、それまでだった。

 地方星系の独立という事態を重く見た元老院が、遂にGISDFを出動させたのだ。

 GISDFはその企業を上回る圧倒的な物量で攻め寄せた。


 ルガルバンダの人々は必死に戦った。

 だが、GISDF圧倒的な物量の前にどんどん追いつめられていった。

 そんな中でもキョウヤはルガルバンダ星系の希望であり続けた。

 彼は多くのGISDFの部隊を撃滅。

 彼のスコアはこの時点で、SAF108機、艦艇57隻、車両91台を記録していた。

 GISDFの軍人たちからすれば、彼は正しく“死神”であった。


『流石キョウヤ兄ちゃん!』


 レンにとってキョウヤは自慢の兄であり、将来はこうなりたいと思う憧れであり、この星系の皆を守る“英雄”であった。

 そんな彼が大戦果を引っ提げて帰って来る度に、レンは羨望の眼差しとともに賞賛した。


 その度に、彼は何も言わずに困ったような表情で、レンの頭を優しく撫でた。


 ある日、キョウヤにレンは言った。


『俺も大きくなったら、キョウヤ兄ちゃんみたいにSAFに乗って戦うよ!そんでもって兄ちゃんみたいにみんなを守るんだ!』


 すると、キョウヤは一瞬哀しそうな顔をした後笑って言った。


『いや、その必要はない。戦争は私たちが終わらせるから…レン、お前たち次の世代は世の中を…その……もっと良くするのを手伝ってくれ』


 レンはよくわからないと言った顔で尋ねた。


『えー?世の中をよくするってどうするの?』


 キョウヤは苦しそうな顔で最愛の弟に言った。


『それは…わからない……私にはできなかった…すまない…すまないッ!』


 すると、彼はレンを抱きしめ涙を流しながら何度も“すまない”と言う。

 そんな見た事もない様子の兄をレンは励まそうとした。


『キョウヤ兄ちゃん…大丈夫だよ!きっとみんなで考えたらわかるよ!父さんと母さんにサブロウおじさん…えーと…とにかくみんなで力を合わせたらできる筈だよ!』

『それに、わからない事は勉強して、わかる事にすればいいって学校で先生が言ってた!俺も頑張って勉強するから…キョウヤ兄ちゃんもいっしょに勉強しようよ!兄ちゃんは頭が良いし、一緒に勉強したらわかるようになるって!』


 そんな弟の言葉を聞き、キョウヤは嗚咽を漏らす。

 数分ほど経った後、彼は涙を拭って弟の目を見て言う。


『そうだな…レン、お前の言う通りだ!こんな争い合うばかりではなく…一緒に勉強して、みんなのためになる事をしよう』

『うん!約束だよ兄ちゃん!』


 キョウヤは弟の目を見て決意する。


(俺たちが…必ずこの星系を独立させる!そして…いずれはルガルバンダ星系だけでなく…この銀河中の人々が笑って生きていける世界を……レンたち未来の世代のために作って見せる!)


 しかし、それは果たされることは無かった。

 彼が上げてきた大戦果はGISDFを本気にさせたのだ。

 大企業でさえ、この銀河を支配する星間国家の暴力装置を本気にさせないように立ち回る。

 その暴威がルガルバンダ星系に解き放たれた。


 数千隻の大艦隊がルガルバンダ星系に押し寄せた。

 ルガルバンダ独立戦線の艦隊は瞬く間に呑み込まれ、跡形もなく消え去った。

 そして、ついにはレンたちの住む惑星まで艦隊が押し寄せた。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 その晩、レンたちは鳴り響くサイレンの音で目を覚ました。


『先に行け!私たちは後から行く!』


 キョウヤはそう言って、愛機のあるハンガーへ走って行った。

 そして、レンは避難民でごった返す避難船に押し込まれる。


『おい…嘘だろ…?こりゃあ悪い夢か?』

『西の空を覆いつくしてんのは…あれ全部GISDFの艦なのかよ…』

『おしまいじゃあ…おしまいじゃああ!!!』

『こわいよぉ…おかあさん…』

『大丈夫!大丈夫よ!私たちにはキョウヤさんがついてるから!』


 船の中は女子供に老人、怪我人たちが溢れかえらんばかりにひしめき合っていた。

 皆、恐怖の中絶望に打ちひしがれていた。


(キョウヤ兄ちゃん…)


 レンは兄が何とかしてくれるのを祈るしかなかった。


 避難船団は離陸し、近くの星系に向かって飛び立つ。

 大気圏を抜けると、レンは避難船の窓から信じ難い物を目にした、


『なんだよ…あれ…』


 それは別方向からやって来たGISDFの艦隊だった。

 キョウヤが迎撃に向かったのとは別方向から艦隊がやって来ていたのだ。


『お、おい!あっちにもいるぞ!』


 レンが声のした方を振り向くと、別方向にある窓からその方向から向かって来るGISDFの艦隊が見えた。

 GISDFはこの惑星を取り囲むかのように、何百隻もの艦隊を別々の方向から向かわせ、ルガルバンダ独立戦線の戦力を蟻の子一匹逃さず刈り取った。


(…こんなの…勝てるわけない…)


 レンは心からの絶望を味わった。

 だが、絶望はそれだけでは終わらなかった。


『ひぃ!隣の避難船が沈められたぞ!』

『いやああああ!!!!』

『助けてくれえええ!!!!』


 別の避難船がGISDFによって沈められたのだ。

 レンの船にもGISDFのSAFが近づいて撃沈しようと武器を構える。


『ま、待ってくれ!この船は非武装の避難船だ!沈めないでくれ!それに、避難船を狙うのは条約違反の筈だ!』


 船長は必死に訴える。

 しかし、返答は無情な嘲笑であった。


『条約だぁ?知らねぇよ!流れ弾が当たったって事にすりゃいいだろうが!そんなもん態々守る訳ねぇだろォが!』


 誰もが死を覚悟したその瞬間、そこに赤いSAFが現れた。


『こちらは第3独立機動遊撃大隊所属、ジャック・ギャレット曹長である。貴官の行いは軍規に違反している。繰り返す、貴官の行いは軍規に違反している』

『あぁん?第3独立機動遊撃大隊だァ?ムテキのブレイカースクワッドねぇ?…おっとぉ!手が滑ったァ!』


 GISDFのSAFは現れた赤いSAFに発砲した。


『…サリヴァン少佐、対象は軍規違反の未遂に加え味方への発砲を行いました。…了解、軍規違反者を処分します』


 赤いSAFは反撃すら許さず、瞬く間にそのSAFを撃墜した。


『こ、こちら…ルガルバンダ星系避難船四号…』

『こちら第3独立機動遊撃大隊所属、ジャック・ギャレット曹長である…非武装の民間船である事を確認する』


 その後、臨検が終わると避難船は再び出発した。


『さっきの赤いSAFは…一体…?』

『あのエンブレムは…ブレイカースクワッドか?』

『ブレイカースクワッド!?実在したのか!』


 皆口々に先ほどの赤いSAFの事を話していた。


(ブレイカースクワッド…?なんで俺たちを助けたんだ?)


 この頃の彼はまだ戦争にもルールがあるという事を知らなかった。

 しかし、一難去ってまた一難。今度は別の艦隊が避難船団を待ち受けていた。


『こちらはルガルバンダ星系避難船四号!非武装の避難船でッ!?撃ってきた!』


 その艦隊は微塵も容赦なく避難船団に砲撃を加える。

 母艦から出撃したSAFが避難船に襲い掛かる。

 避難船はなすすべもなく次々と沈められていく。


『もう駄目だァ!!!』

『助けてぇぇぇ!!!』

『いやだ!いやだあああ!!!!』

『おかあさあああん!!!』


 船内は阿鼻叫喚であった。

 その時、彼の心に希望の光が差し込んだ。


『キョウヤ兄ちゃん…!』


 キョウヤの機体“フッケバイン”が駆けつけたのだ。

 それだけではない、ルガルバンダ独立戦線の残存勢力が避難船団の救援にやって来たのだ。


『あれは…フッケバインだ!』

『おお!キョウヤさんだ!』

『来てくれたんだ!』

『やっつけてくれぇ!キョウヤさぁん!』


 “フッケバイン”は次々とSAFを撃墜し、敵艦を沈めていく。

 ルガルバンダ独立戦線残存艦隊も負けじとGISDFの艦隊を蹴散らす。


『キョウヤ兄ちゃんはやっぱりすごいや…!』


 しかし、そんな彼らの奮闘もそう長くは続かなかった。


『目標を確認…間違いない、ランク9位のキョウヤ・アサクラだ。全員油断はするな…相手はトップランカーだ』

『『『『了解!』』』』


 第3独立機動遊撃大隊…ブレイカースクワッドがやって来たのだ。

 彼らは常に不利な局面に投入される。

 故に、局所的優勢を作り出すキョウヤが、彼らとぶつかるのは必然であった。


 次々と刈り取られていくルガルバンダ独立戦線。

 それを尻目に避難船は急いで逃げ出す。


『おい…あれ…さっきの赤いSAFだろ?』

『ブレイカースクワッドだ…』

『キョウヤさん勝てるよな!?』

『あ、当たり前だろ!あの人が負ける筈ねぇ!』


 皆一様に、不安そうな面持ちでキョウヤの勝利を祈る。


(兄ちゃん…!どうか…どうか…無事に帰って来て!)


 レンは窓から兄の戦いを見ながら必死に祈った。

 窓の外では、先ほど自分たちを助けた赤いSAFと兄が壮絶な戦いを繰り広げていた。


 赤いSAFの腕から伸びる光刃を“フッケバイン”が躱し、“フッケバイン”の放つ火線を赤いSAFは潜り抜ける。

 何度も攻守が入れ替わる壮絶な戦い。


 だが、決着は一瞬だった。

 被弾して、僅かに体勢を崩す“フッケバイン”、その隙を赤いSAFは見逃さなかった。

 冷たい宇宙空間に閃光が奔り、“フッケバイン”を貫いた。

 次の瞬間、彼は乗機諸共火球と化して消え去った。

 ルガルバンダの英雄は、最愛の弟の前で遺言すら残せず散っていった。


『え…兄ちゃん…?』


 唖然とするレン。

 だが、そんな彼の声は阿鼻叫喚にかき消された。


『いやああああ!!!!キョウヤさああああん!!!!』

『嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だあああ!!!!』

『なんで?なんでなんでなんでなんでえええええ!!!!』

『あははははは!!!!こりゃ夢だ!!!夢に決まってる!!!!』


(うそだ…キョウヤ兄ちゃん……あいつ…赤い奴が…兄ちゃんを……)

(…でも……なんで?……なんで俺たちを助けたんだ?)


 そんな彼の疑問に答える者は誰もいなかった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 避難船は隣の星系のとあるコロニーにたどり着いた。

 当然、反乱を起こした彼らは歓迎されることは無く、常に事件が起きる度に彼らが疑われ、まともな仕事に就くこともできず、皆スラムで貧苦に喘ぎながら生きていた。


 レンは今まで何度も飢えに苦しみ、死にたいとすら考えたことがあった。

 しかし、スラムでできた仲間たちの助けもあり、日々をなんとか生きていた。

 ジョン・ドゥによってコロニーが襲撃されるまでは…


『うん!スラムに来てみたが…薄汚くて痩せてるけど、素材は良さそうなのが揃ってるじゃないか!彼らは拉致して残りは生きたまま切り刻んで殺して遊ぼう!』


 ジョン・ドゥはそう言ってレンたちを誘拐し、闇医者によって麻酔無しの強化人間手術を受けさせる。

 それでもレンは運がいいのか悪いのか死ななかった。


『レン!おいレン!起きろよ!』

『レックス…?』

『起きたわね!逃げるわよ』

『僕たちきっとこれから売り飛ばされるんだ!』


 救出後、彼は生き残った仲間たちと、売り飛ばされると勘違いして医務室を逃げ出した。


『こっちは不味い!誰か来るわ!』

『ああ、三人向こうから来る…その部屋は鍵も開いてるし、内側から鍵を掛けられる。あそこへ隠れよう』

『あ、ああ』

『二人とも…一体どうしたんだ?』


 その際に、新しい力が目覚めた事を自覚する。

 そして理解する。


(こいつら…海賊じゃない…なんだ?どこかの警備隊か?)


 今自分たちがいるのは海賊の船でも拠点でもないことを…

 そして、彼は見つけた。

 通信室へ入って行く美青年と壮年の姿を…


(あいつだ…あの時の……赤いSAFのパイロットだ!)


 彼は強化人間となり、強化された直感で理解する。

 あの青年こそが兄の仇であると。


『こいつら海賊じゃない…』

『え?』

『なんですって!』

『じゃあ、なんなんだ?』


『これから確かめる。あそこで会話を盗み聞きする』

『マジかよ…』

『いいわね!やりましょ!』

『ば、ばれないよね…』


 レンは知りたかった。

 兄を殺した男がどんな人間なのかを…

 自分たちに慈悲を掛けながら、兄たちを殺した男の本当の姿を…


(お前が…本当はどんな人間なのか…この目で確かめてやる!)


 彼は自身の能力を総動員して扉の中を探る。


『……ギャレット最……上級…長の提言…り、ジョン・……から保護した強化人間を防衛軍などで使う代わりに戸籍を与えたいのです。閣下にも是非お力添えを頂きたく存じます』

『なるほど…しかし、全員が全員、軍人に適性があるとも限らんしな…非戦闘員として雇用する者もいるだろうし…一先ず参謀本部にも話を通しておく』

『ありがとうございます、閣下』


 すると、男二人がモニターの前に立って、画面に映った人物と会話をしている姿が徐々に見えてきた。


(これは…喋ってるのは…赤いSAFの奴じゃない…)

(……ッ!この人…今…こっちを!俺たちに気がついてる!?)


 ジャックが自身の方に目を向け、その後もチラチラとこちらを伺うような目線を向けて来ることに気がつく。


『なにからなにまで…ありがとうございます!』

『気にすることはない!これは我が軍にとっても必要な事だ!しかし、お前たちからこういう提案をしてくれたことを嬉しく思うぞ!』

『は、ありがとうございます。サリヴァン総司令官のおかげで、彼らに少しでも救いの手を差し伸べることができました』


 すると、サリヴァンが自分たちを保護するよう進言した二人を褒め、ジャックが自分たちに救いの手を差し伸べることができた事を喜んでいる姿を見た。


(え?な…え?今なんて…?)


 それは彼にとっては信じ難い事であった。

 兄の仇は残忍な悪党でもなんでもなく、誰かに救いの手を差し伸べられたことを心から安堵する…そういう人間だったのだ。

 彼はスラムで泥水を啜ってでも生き延びてきた経験から、他人が嘘を吐いているか否かをなんとなく理解できるが、この男…ジャック・ギャレットは微塵も嘘など吐いていなかった。


『保護した強化人間か…ここでなにをしている?』

『本来なら、スパイの可能性も考慮して拘束すべきなのでしょうが…相手が相手で事情が事情です…どうしましょう?』


 通信室を出た後、ジャックが放った言葉には彼らへの思いやりが込められているようだった。


(そんなの…ありえない…これは……なにかの…間違いだ…)

(それじゃあ…まるで……他人を思いやれる人同士で殺し合ってたみたいじゃないか!?)


 レンの中で兄の姿と兄の仇の姿が重なる。


(兄さんはそれでずっと…?)


 彼は兄が活躍を褒められても、ちっとも嬉しそうにしていなかった理由を理解した。


(そうか……兄さんは…悪人だけじゃなくて…自分と変わらない、他人を思いやれる人とも殺し合ってたのか…それで…)


 しかし、そう簡単に感情という者は割り切れない。


(でも…なんで…キョウヤ兄さんが…)


 目の前の男が兄の仇である事には変わりがないからだ。


 その後、彼はその後防衛軍に志願した。

 担当者にはまだ十代だから、年齢を誤魔化して戸籍を得ることができると言われたが、それでも彼の決意は固かった。

 全ては、あの日から…故郷を失った日からずっと知りたかった事を知るため。


 バレット中尉に尋ねた。


『俺の戦う理由…?まぁ、一言で言えば…故郷のためだな。俺はアルビオン星系で生まれ育ったんだ。ここには家族や友人なんかの…守りたい人たちがたくさんいる』

『だから、このアルビオン星系をこの手で守りたいんだ』


(かつての俺たちと同じだ…)


 シドウ軍曹に尋ねた。


『僕の…戦う理由?うーん、色々あるけど…家族のためかな!亡くなった両親の代わりに、僕が弟妹を養って、みんなを学校に行かせたいんだよ。それで、僕に就ける仕事で一番お給料が良かったのは防衛軍だったんだ!』


(家族のためか…やはり、かつての俺たちと同じ…)


 コールリッジ軍曹に尋ねた。


『私が戦う理由?うん、大切な人を守りたいからかな。ここってさ、昔はよく海賊に襲われてたの。警備隊が来るまで、ここの人たちを殺して奪って…もう最悪!』

『でも、最近になって警備隊が防衛軍に変わったの。そしたら、海賊共をサリヴァン総司令官がみんなやっつけてくれたの!それに、後からギャレット最先任上級曹長も来て、悪い奴みんなやっけてくれるようになった!』

『でも、私は忘れられないの。防衛軍になる前を…二人が来る前を…だから、私も戦う事にした。見てるしかできないなんてまっぴらごめんだもの』

『うん?死ぬのは怖くないのって?そりゃあ怖いわよ?でも…サリヴァン総司令官とギャレット最先任上級曹長がいれば、私が死んでもそれを無駄にしたりはしないでしょ?』


(皆、あの二人を信じている…俺たちにとっての……かつてのルガルバンダ星系にとっての兄さんみたいに…)


 彼ら以外に、養成所の候補生たちに尋ねたが皆似たような回答だった。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 皆が寝静まった寮の部屋。

 レンはベッドの上で独り言ちる。


「そう言えば…まだあの人には聞けてないな…」


 彼は自身の兄を殺した、兄と似通った男…ジャック・ギャレットの顔を思い浮かべる。


「あの人に聞かなきゃ…俺の目的は果たせないかもしれない」


 彼の目的はただ一つ…兄と出せなかった答えを出す事。

 兄が本当にやりたかったであろうことは、一体なんだったのか知る事。

 どうすればそれが叶ったのかを知る事。


「なぁ…ジャック・ギャレット最先任上級曹長……」

「貴方なら…知っているのか?兄さんに似た…貴方なら……」


 兄を殺しながら兄と似通った部分があり、GISDFの一員だったにもかかわらず自分たちを殺さずに地獄へ突き落とし、企業に支配された自分たちを救わなかったにもかかわらずこの星系を支配しようとする企業の魔の手から守る男…

 彼はジャックに対して、恨みとも違った複雑な感情を抱いている。


(俺は最初…俺たちを地獄に突き落とした…兄さんを殺した貴方を殺したいとすら思っていた……)

(ああ…思っていたんだ……なんでもっと悪辣であってくれなかったんだ?…なんで兄さんに似通っているんだ?)

(兄さんを殺して…俺たちの故郷を奪った貴方の……戦う理由は?)

(どうして……貴方たちが肩を並べているのはキョウヤ兄さんじゃなかったんだ?)

(なぜ…あの時生き地獄を味わうであろう俺たちを…避難船で殺してくれなかった……?)


 ジャックはいずれ、否応なく自身の過去の亡霊と向き合わされることになるだろう。


「世の中を…世界をより良くするにはどうすればいいと思いますか?」


 ジャック、お前はどんな気持ちで兄を殺した?

 ジャック、お前はどんな気持ちで彼らを生き地獄に墜とした?

 ジャック、お前はどんな気持ちで今も戦っている?

 彼の過去の清算は間近に迫っている。


Q&Aコーナー!

Q. ジャック、お前はどんな気持ちで兄を殺した?

A. あー強かった…


Q. ジャック、お前はどんな気持ちで彼らを生き地獄に墜とした?

A. なんだ完全非武装の民間船か…どうぞお通りください。


Q. ジャック、お前はどんな気持ちで今も戦っている?

A. えー…屑ども嬲りまくりゲームのお時間です。



高評価とブックマークありがとうございます!

これを励みにこれからも投稿を続けていきますので宜しくお願い申し上げます!

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え?誰?ランカー?あ!食玩のオマケとかか!レアモン盗られたら戦争だよな!スーパーレアは献上したけど、涙涙で、兄さんの為に泣いている!なんて。
Q&Aコーナーの温度差ァ...
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