第十四話
ヒロイン登場回。
やったねジャックくん!
俺は超低練度低体力ゴミカスう〇ちパイロットを鍛えている。
貴重な教官やってた経験のあるベテランってことで、あちこち飛び回って酷使させられてます(泣)
で、今は惑星AL3のサウスポート基地ってとこに来てる。
この惑星はAL2より恒星から離れてるからか結構寒いんだよな…
「さっさと走れ屑どもぉぉぉ!!!」
いやぁ…マジで質の低下が著しいな…
「サーイエッサー!」
「へーい」
「おえ…もう無理ぃ…」
「なんだよあの鬼教官…ようやく辺境から本土に栄転できたってのに…」
「はぁ…はぁ…ギャレット最先任上級曹長…♡」
なんで毎回一人はおかしなやつ混じるの?
女なら兎も角、俺は男を抱く趣味はねーよ!
マジで次やったら負けるんじゃね?
それこそ俺やサリヴァン総司令官がどっかの企業の最新鋭機にでも乗らないと…
そういや、SAFの第五世代機って定義が曖昧で、各企業がそれぞれ別々の定義で作ってるから、共通してるのはなんかよくわかんねーけど高性能って事だけらしいね。
SAFって戦闘機程世代間に違いがないし、共通規格のおかげで操縦系統にそんな違いが無いんだよね。
共通規格があるから、ロボゲーにありがちなミキシングビルドとかできるって凄いよな…
あれ、前世で言ったら各国の兵器を部位ごとに組み合わせて、性能の保証はないけどとりあえずは動くってやってるようなもんだろ?
ヤバいよな…
この前、気晴らしに海賊を血祭りに上げてたら、重量級機の上半身に軽量級機の下半身のSAF出てきて笑ったわ。
普通逆だろ!
「五分休憩!息を整え水分を補給しろ!」
さっきから現実逃避してたけど…
えー…酷いな。
この前の戦いで、ここら辺の艦隊が結構な打撃を受けたんで、まともな奴のほとんどは死んだか病院のベッドの上なんだよね。
はぁ…マジでどっかから覚醒済み主人公来ねぇかな…
そんくらい手が足りねぇ…
ユーマ・シドウはさっさと覚醒しろよ!
もしかして…ユリウス戦が覚醒イベ?
俺やっちまった?
「ふん…この程度で根を上げるとは…相変わらず口先だけの連中だ…それになんか気持ち悪い奴がいる」
おん?なんだあの典型的な絵にかいたようなクールキャラ?
ノルマ倍にされたいんか?
…もしやこいつライバルキャラ的なの?
なんか髪の色も銀髪だし、顔も美形だし…
こいつ育てなきゃシドウくんは覚醒しなさげ?
なのに、俺とサリヴァン総司令官がハッスルして無双しちゃったから、こいつらがなんか前線に駆り出されて、試作機乗せられて戦うみたいな展開潰しちゃった?
ヤバい?このままじゃ俺が主人公代わりにこき使われるの?
「なんだとてめぇ!」
「スカしてんじゃねぇぞ!」
「ここで騒ぎ起こしたら最先任上級曹長にお仕置きして貰える!!!」
「「お前はさっきからなに言ってんの?」」
なんか喧嘩になりかけ…さっきからなんだよオメェは!!!
「フッ…俺は事実を言ったまでだ。お前たち二人は口先だけ、他の奴らは俺に反論する事もできぬほど怠惰」
おー…煽るねぇ!
お前ら全員ノルマ三倍決定な?
「俺たちは口先だけだと!」
「じゃあこいつはどうなんだ!」
絡んできたチンピラっぽいのが指差した先には…
「はぁ…♡はぁ…♡冷たい目で見てる…♡最先任上級曹長が…私を…♡」
変態がいた。
怖いんだけど…
「あれは…その……わかるだろ?」
クールキャラが困ってる!?
そりゃあそうだよなぁ!
「あー…うん、悪かった」
「俺いつも教官のおかげで俺らの方に飛び火してねぇと思ってんだ」
なんかほっといてもよさげ?
それとお前、俺を生贄扱いしたな?
ぜってぇ許さんからな?
「……えっと…まぁ、その…文句があるならかかって来るがいい」
あー…こいつ不器用でコミュ障で他人との距離感わかんねーんだな?
そういうタイプのクールキャラなん?
孤高じゃなくて友だちいないだけじゃねーか!
消えそうな火を煽ってんだよ!!!
こういうときはうやむやにして、なんやかんや馴れ合ってちょっとずつ距離を詰めるって、下士官養成所で同室だったアダムが言ってた。
「なんだとぉ!テメェ…調子に乗りやがって!…あの、一旦はぁはぁ言うのやめてくれないか?」
「兄貴…俺コイツ怖いんですけど」
「はぁ♡はぁ♡はぁ♡」
俺ここに割って入るの?
うわ、五分休憩そろそろ終わるじゃん…
周りの連中も何とかしろって顔してるし…
「お前たち…訓練中だぞ」
嫌だけど行くか…
「教官…俺はこんなレベルの低い事はやりたくありませんよ。せめて、こんな奴らと一緒の訓練はやめてもらいたいものだ」
お前生意気だぞ。
俺は最先任上級曹長だぞ?
偉いんだぞ?
序列的には大将と同格なんだぞ?
敬えやゴミカス!
「てめぇ!スカしたこと言いやがって!」
「本当はあれと一緒にいるくらいなら、独房ぶち込まれた方がマシだと思ってんだろ!」
「ああああああ!!!!ギャレット最先任上級曹長おおおおお!!!!!」
再燃…してるの?
つーか怖いんだけど…
なにあれは…
アステリアが送り込んだ新兵器?
「……」
おう、クールキャラくん…確か…
そう、クロード・グレイブ・パーシヴァル少尉。
パーシヴァル少尉めっちゃ目が泳いでる…嫌なんだね?
俺も嫌だよ。
「ハッ!図星か!まぁ気持ちはわかるぜ…」
「ゲイの俺からしてもあれは無理」
なんか突然のカミングアウト…
周りは驚いて…ない。
知ってたのか?俺が新任で知らなかっただけ?
「ッ!?」
おい、パーシヴァル!
なんでお前はそんなに驚いてんだよ!
しかし、パーシヴァルってどっかで聞いた名前だな…
「兄貴♡」
「シモン♡」
なんか俺らそっちのけでいちゃついてるんだけど!?
兄貴ってそういう!?
まぁ…でも
「今は訓練中だ。三人ともノルマ三周追加!」
リア充死ね(怨嗟)
俺がリア充じゃないのになんでお前らがリア充で許されると思ってんの?(屑)
彼氏がいるとか、彼女がいるとか関係ない!
異性愛も同性愛もリア充には変わりねぇんだよ!死ねや!!!(屑)
ついでにこれを見せつけられる原因のパーシヴァルも同罪じゃあ!!!
「私はあああああ?????なにかないんですかあああああ!!!!????」
このモンスターキモいから無視していい?
駄目?そっか…
「お前は百周な」
「ぶひいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!」
え…怖…
「「「えぇ…」」」
「…何してるんだ!お前ら!もう休憩は終わりだ!さっさと走れ!!!」
とりあえず訓練に集中しよ。
俺はあの後、こいつらを追い立てながら一緒に走り、三周くらい先行した。
「……」
「はぁ♡はぁ♡はぁ♡はぁ♡最先任上級曹長ぉぉぉ…」
後ろにぴったりつけて来る怪異は無視して。
上官へのセクハラって射殺していいんだっけ?
真面目になんとかして排除しなきゃ(確信)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
俺は今兵舎の将官だけに与えられるVIPルームで休んでいる。
最近の主な仕事はう〇こたちをゴミカスにランクアップさせることだ。
どいつもこいつも酷いのなんの…
マシなのはパーシヴァル少尉とあのゲイカップルくらいか…
あの二人は文句は、多いけどきちんとついて来れるのがいいよね!
そして、あの怪異は始末する。
必ずな。
大将クラスにセクハラすることの意味を身をもって教えてやるよ。
ん?なんか…郵便受けから音がしたな…
「ガスマスクはどこだっけ?あと耐刃グローブと…」
暗殺かもしれないから万全の防備で行くわ。
ブレイカースクワッド時代になんどか暗殺されかけたしな。
意味わかんないときは“よくも私のお姉様を誑かしましたわね!”とか何とか言われて襲われたっけ…
きっと俺がイケメン過ぎて無意識にお姉様?とやらを墜としちまったんだな!
さて、郵便受けの中身は…
「げっ!?怪異からのラブレター!?」
ゲロきしょいから捨てる…いや、憲兵隊に提出して逮捕してもらうか。
最悪、俺の命令で無理やり逮捕させる。
俺は階級的にこの基地の司令官より偉いんだ。大将と同等だもんね!
防衛軍で俺に逆らえるのはサリヴァン総司令官とマクドナルド副司令官だけだぜぇ!
「お次は…げぇ!?“ワルキューレ”からの手紙!?」
な、なに…!?怖いんだけど!
さっきの怪異はその気になればぶっ殺せるけど、こいつは殺しても記憶引き継いだクローンが何事もなかったかのように出てきそうで怖い!!!
拝啓とか敬具とか季節の挨拶とかあるのが却って怖い!
要約するとこうか…
1.アステリアと揉めて大変みたいね?
2.いろいろ条件付きだけど“ヴァルハラ・サイバネティクス”が味方になってあげてもよろしくてよ?
3.強化人間になりませんこと?
4.どうして我が社に入社されなかったの?
5.またお会いしましょう“赤い人”♡
6.追伸“強化人間になりませんか? by ヴァルハラの技術者たち”
「すっげぇ処分してええええええ!!!!!」
でも、この星系の未来に関することだからできねぇええええ!!!!
助けてサリヴァン総司令官!!!!
「なんだよもおおおお!!!!処分できねぇから怪異より性質悪いじゃんかあああああ!!!!」
あれか?GISDF時代にそうとは知らずに逆ナンされて、面倒だからその辺にあったタンポポ引き抜いてプレゼントしたのが不味かった!?
普通の美人だと思って、デートしてカフェ行ったりクレープ屋行ったりしたのが不味かった!?
舐められてると思われた!?ガキ扱いされてると思った!?
もしかして食玩あげたのがやばかったかああああ!!!!????
ああ、これだわ…
間違いなくこれだわ…
これだけが一番不味かったわ…
あの時は、丁度朝までブレイカースクワッドの戦友と飲みまくってて、前後不覚の状態でスーパーへ行って食玩買ってみんなで開封してたんだった…
「できる事なら…過去に戻ってやり直し……たくねぇな!普通に地獄だったし」
なんか扉がどんどん叩かれてるんだけど!?
怪異かッ!
「大丈夫かッ!最先任上級曹長ぉ!!!」
あっ、隣の部屋の基地司令だった。
煩かった?
ごめんね。
とりあえずドア開けるわ。
すると、白髪をオールバックにした、顔に大きな傷のある屈強な壮年の男性が立っていた。
よかった…怪異の声真似じゃない…
「大丈夫です閣下!」
「そ、そうかぁ…なら、どうして騒いでたんだ?」
とりあえず怪異からの手紙を渡す。
戦乙女からの手紙はこの人に見せて良いかもわからん劇物だしな。
まずはサリヴァン総司令官に事情を説明するわ。
「これを…」
「え…なんだこれは…」
司令が青ざめてる。
事情を説明するか。
「実は……」
「え?は?…我が軍の英雄に……なんという…早急に対応する!」
「一先ずは憲兵隊の所へ行くぞ!」
「はい!」
やっぱ我が軍の上層部はまともなんだよなぁ…
末端から毒が回り始めてるだけで…
これもう次アステリアが来たら勝てねぇって…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
アルビオン星系から遠く離れた星系。
その星系にあるコロニー。
一等地にあるお屋敷の中庭。
そこは花々が咲き乱れ、蝶の舞う美しい庭園であった。
庭園の中にあるアンティーク調のテーブルで、ドレスを着た美しい美女たちが優雅にお茶会をしていた。
彼女たちは皆プラチナブロンドの髪で、それぞれ髪型やドレスの色や意匠は違うもどことなく似通った顔立ちをしていた。
和やかにお茶会をする姿は“まるで”仲のいい姉妹たちのようである。
「お姉様、今日はとてもご機嫌がよろしいのですね?」
「なにか良いことでも御座いましたのですか?」
彼女たちの中でも年長に見える美女が、目の前でニコニコ笑っている白いドレスの美女にそう尋ねた。
すると、年少の美少女たちが口々に言った、
「あっ!わかった!きっとお姉さまがいつも言ってる“赤い人”のことね!」
「知ってる!ジャック・ギャレットでしょ!あの人俳優さんみたいでかっこいいよね!でもあの人まだランクは低いんだよね?」
「バカね!強化人間になればあっという間にトップランカーよ!」
お姉様、そう呼ばれた美女はにこやかに微笑みながら言う。
「ええ、そうよ。今日はあの方にお手紙を書いたの」
「ふふふ…あの方はここへいらしてくれるかしら」
その微笑みは誰もが魅了される程美しく、同時に底冷えするほど恐ろしいものだった。
「“お父様”もあの方には関心を持たれているようですもの…」
それを聞いた美少女たちは皆黄色い声を上げる。
「きゃー!やっぱりそうなのね!」
「やっぱりお姉さまの想い人はジャック・ギャレットで間違いないのよ!」
「だから、お姉さまはまだ“エインヘリヤル”を連れていないのですね!本命の殿方がいらっしゃったのですね!」
彼女はそんな“妹”たちを見て、優し気な微笑みを浮かべる。
そのまなざしはどこまでも優しい慈愛に満ちたものだ。
しかし、それを見て年長の美女は面白くなさそうに言った。
「お姉様…あまり入れ込み過ぎない方がよろしいかと…男は野蛮で下劣…」
「私たち“ワルキューレ”に傅く者たちですら、私たちを情欲の籠った下卑た目を向けてくるのですよ?」
「そもそも…お姉様はそのあたりに頓着が無さすぎます!なんですかグラビアって!お姉様の水着姿を…不潔ですわ!!!」
「男は皆私たちをそう言う目で見ているのです!お姉様はもっとそう言う目で見られている自覚をお持ちください!」
彼女は自分を案じて怒る年長の妹に、困ったように笑って言った。
「カミラ…そうは言うけど、あれはお父様のためでもあるのよ?」
「お父様は、“ヴァルハラ・サイバネティクス”の内外で、私たちが役に立つという事を示し続けなければならいお立場なのですから…」
「そのためにも、私は“ワルキューレ”の長女としてそれをお手伝いしなきゃ」
カミラ…そう呼ばれた彼女は、姉に対してバツが悪そうに言った。
「それは…そうですが…」
「このジャックという男は、お姉様がそこまでするほどの価値があるのですか?」
「その辺のタンポポや食玩をプレゼントしたりする男ですのよ?」
こればかりは正論であった。
明らかにまともな男ではない事は確かだ。
ジャックが聞いていれば「いや、もう仰る通りです!」と全力で肯定していたことだろう。
「カミラ…贈り物とは心がこもっている事が大事なのよ?見た目は関係ないの」
「私を自分のものにしようと色々な殿方が贈り物をくれたわ…」
「けど、私の心はどんな地位のある方でも…どんなに価値のある贈り物でも動かなった…」
「そこに現れたのが…彼だったのよ」
彼女はまるで花が咲いたかのように笑った。
それは見るものすべてが魅了される程美しく、可憐な笑みであった。
ジャックが聞いたら「なんで俺はあの時無視して通り過ぎなかったんだああああ!!!」と泣き叫ぶことだろう。
「えぇ…あの…お姉様?流石に…タンポポと食玩を…大の男が贈るのは…ちょっと…」
「あの…顔の良さに騙されてません?…いや、確かにハンサムですが……」
「この顔でもその辺のタンポポと食玩は…ダメでは?」
正論である。
ジャックも全力で頷くだろう。
それを聞いて、年少の妹たちは口々に言う。
「え?私もお姉様みたいにあの小っちゃいおもちゃ欲しい!」
「ジャックさんが来たらわたしたちにもくれるかしら?」
「あの顔ならタンポポでもOKですわ!!!」
彼女たちは真面目に食玩を貰ったら喜びそうである。
一人はもうジャックが渡せばその辺の石や雑草でも喜びそうだ。
お姉様はそれを聞いて妹たちを指差して言った。
「はら!カミラ!食玩やタンポポもありじゃない!全然いけるわよ!」
「嘘でしょ!?あなたたち!?」
カミラは思わず驚愕した。
そして、一番近くにいた妹の肩を掴んで揺する。
「落ち着いて考えなさい!大人の男からの贈り物がタンポポと食玩なのよ!もっとよく考えなさい!!!」
「や!」
「や!じゃなくて!大人ならもうちょっとロマンチックなのがいいでしょ!この前寝る前にお姫様の話を読み聞かせたわよね!?」
「白馬の王子様からならなんでもいい!」
「あなた本気で将来結婚詐欺に遭うわよ!?」
彼女は本気で妹たちの将来を危惧した。
「ほら!この娘たちも言ってるじゃない!やっぱありなのよ!」
「なしに決まってるでしょう!?お姉様は精神年齢小学生かなにかですの!?」
そしてお姉様はそれを見て「イケる!」と確信したようだ。
カミラはそれを半泣きで止めようとしている。
「なに言ってるのカミラ…私たちの“造られた”年を考えたらそのくらいよ?」
「そうですけど!?そうじゃなくて!!!」
なおも食い下がろうとするカミラ。
それも虚しくお姉様はジャックのことしか頭にないようだ。
「ああ…ジャック…あなたが来るのが待ち遠しいわ」
彼女は空を見上げ、今怪異を鎮圧すべく憲兵隊と共に銃撃戦を行っているジャックのことを想う。
「もし来てくれなかったら…どうしましょうか?」
彼女…Aランク帯5位ヒルデ・ブランデンブルクは、美しくもぞっとするような微笑みを浮かべる。
ジャックにまともなヒロインができるわけねぇだろ!
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