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綴じ穴に綴じ紐

寝台のサイドテーブルにランタンを置く。


(目眩がしそうだ。)


とにかく、寝台にドルチェを座らせようと、フィーネがドルチェの腕を掴んだ瞬間、

フィーネの目は天井を向いていた。


フィーネを押し倒したドルチェは、

フィーネの身体をまさぐりながら両手を顔に持って行く。

そして、その長い指でゆっくりと、

フィーネの髪、額、鼻、口を確認するように撫でていく。


「眼鏡を外せ。」


盲目のこの美しい男は、深い森の奥へ、自分を連れて行こうとしている……

その迷いのない力強さが、たまらなく嬉しい。


フィーネが眼鏡を外すと、ドルチェは顔を近づけて、フィーネの睫毛や瞼を甘く口で掠る。

想像とは全く違うこの状況に、

――そして、予想もしなかった快感に、フィーネは慄いた。


(なんだ?……なんだ、これ……?)


堪え切れずにフィーネは声を上げた。


「ドルチェ、なあ、チューしねェの?」


「どうした……?」


ドルチェはフィーネの顔に唇を這わせ、耳元で囁いた。


「キスが欲しいのか?」


フィーネは自分が汗ばんでいくのを感じる。


「だって……我慢できねェ……」


「まだだ。」


「ま……だ!!」


急にフィーネはのけぞった。

耳たぶを甘く噛まれたのだ。


「なにすんだ!いてェだろ!……んん……」


待ち焦がれたドルチェの厚い唇が押し付けられ、フィーネの心は……

心臓がない左胸が、悦びで沸き立つ。


ドルチェは、フィーネの反応を確かめるように、

唇を押し付けては離し、離しては押し付ける。

フィーネの全身がドルチェの唇を激しく求め、冷たい肌が汗ばんでいく。

その鋼のような腕が、もがくようにドルチェの首に回される。


ドルチェは、片手をゆっくりとフィーネの腰の下に伸ばすと、

唇が触れ合う距離で尋ねた。


「ここを触りたい。」


フィーネは唾を飲み込む。

しかし、小さく、何度も頷く。

ドルチェはサイドテーブルに手を伸ばすと、手探りで瓶をとる。


「お、オメェ……いつの間に……」


ドルチェはそれには答えずに、フィーネの唇を柔らかく吸う。

ドルチェの首に回したフィーネの腕は汗ばみ、力が自然とこもる。


その瞬間に、ドルチェの指が、フィーネの腰の下で動いた。

思わずフィーネが声を上げる。


「え、あ、あれ?指?

アレじゃ……ねェ……の?」


「アレじゃない。」


「ジュンカツユーを使えば……綴じ穴は綴じ穴のままじゃ……ねェ……の?」


「潤滑油は、必要条件に過ぎない。」


「え?どういう……ああ、何すんだ!ドルチェ!」


フィーネは、ドルチェの首に顔を埋める。


ドルチェは熱い吐息で語り掛ける。


「書類の綴じ穴を……十分にほぐすと、綴じ穴が破れにくいんだ。

それに、書類の中身を確認できる。」


「な、中身……?」


ドルチェはフィーネの唇を甘く吸って、甘く囁く。


「そうだ、フィーネ。

何もかも忘れて悦べる……幸せの一ページだ。」


「でも、ドルチェ……」


フィーネはドルチェの首に顔を埋めたまま小さな声で言う。


「俺、俺……もう、十分……


幸せだ。」


一瞬、ドルチェの動きが止まる。

そして、そっと指を抜くと、腕一杯でフィーネを抱き締める。


「私も……私もだ、フィーネ。

――夢みたいに……」


「待て、なあ!」


腕の中でフィーネが動く。


「夢じゃないよな?

待てよ、今、これは夢?」


ドルチェはフッと笑うと瓶を手に取る。


「幸せのページを確認したら、綴じ穴に綴じ紐を通していいか?

それで……

お互い、今この時が、夢じゃないって……確認しよう。」


青く輝く目はうっとりとドルチェを見つめた。


しかし、次の瞬間、声にならない声を上げてフィーネは身をよじる。


「フィーネ、よく聞け。」


ドルチェは低く優しい声で言う。


「痛いときに、私に言うのは当然だ。

でも、気持ちが良いときも必ず言ってほしい。

――まず、これは、私の願い……聞いたな?」


急にドルチェは大きく顔をずり下げ、フィーネの左胸を吸い上げる。


「私の従者(マイン・ディーナー)よ、


痛いときも気持ち良いときも、私に伝えろ。


――必ず大事にして、


――必ず幸せにする。」


フィーネは陶酔したように呟いた。


「はい(Ja)、私のご主人様(マイン・ヘア)……」








※ここでは終わりません。明日も二人の時間は続きます。

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