↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/133

■第86話 黒猫の耳寄り情報と、お姫様抱っこの快進撃

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


ギルドでの換金を終えた僕たちは、その足で裏通りにある『黒猫の宝箱・天空支店』へと向かった。


「お姉さん、約束通り、中層の魔石の余りを持ってきたよ」


僕がカウンターに麻袋をドンッと置くと、黒猫のお姉さんは袋の中を覗き込み、目を丸くして猫耳をピンと立てた。


「にゃっ!? これ、ストーム・イーグルの魔石じゃない! しかもこんなにたくさん……! あんたたち、本当に中層の乱気流の中でこれを狩ってきたの!?」

「まあね。魔法少女ちゃんの完璧なバフ(追い風)のおかげで、さくさく狩れたよ」


僕が隣の小さな相棒の頭を撫でると、彼女は「えへへ……」と照れくさそうに笑った。


極上の素材を前にして、黒猫のお姉さんはホクホク顔で尻尾を揺らしていたが、やがて何かを思い出したようにニヤリと意味深な笑みを浮かべ、カウンターから身を乗り出してきた。


「ねえ、お兄さん。こんな上等な魔石を大量に回してくれたお礼に、とっておきの『耳寄り情報』を教えてあげるわ」

「耳寄り情報?」

「ええ。中層のずっと奥の方……乱気流が特に激しいエリアに、さらに『珍しい魔物』が棲み着いてるらしいのよ。そいつの魔石は、ため息が出るほど綺麗でね。王都の貴族やコレクターの間で、目玉が飛び出るくらいの超高額で取引されてるわ」

「へえ……! それはすごいな」


一攫千金の匂いに、僕の冒険者ゲーマーとしての血が騒ぎ始める。


「ただ、気をつけてね。その魔物は、本来なら中層にいるべき難易度のヤツじゃないらしいわ。完全にイレギュラーな存在よ。お兄さんの腕と魔法少女ちゃんへのバフがあっても、油断したら吹き飛ばされるわよ」

「中層の基準を外れた、イレギュラーな強敵か……」


僕は腕を組み、口角を上げた。

最高級に綺麗で高額なレア魔石と、本来ならそこにいるはずのない強敵。

そんなRPGの隠しボスのようなロマンあふれる話を聞かされて、狙わないわけにはいかない。


「ありがとう、お姉さん。絶対に見つけて、その綺麗な魔石を拝んでやるよ!」

「にゃふふっ、期待して待ってるわよ!」


黒猫の支店を後にした僕たちは、高級宿へと戻った。

明日からの本格的な「レア魔物探索」に備え、美味しい夕食でお腹を満たし、含有率100パーセントの雲ベッドの無重力空間でゆっくりと体を休めた。

翌日からも、僕たちの中層階マッピングは続いた。


「魔法少女ちゃん、しっかり掴まってて!」

「はいっ、お兄さん!」


移動手段はすっかり定着した『お姫様抱っこ(米俵ホールド)』での大跳躍だ。

いちいち風の切れ目を待つのは面倒だし、何よりこの方法なら乱気流に巻き込まれても彼女と離れ離れになる心配がない。


タァァァンッ!!

「きゃああああっ!!」


僕のバケモノ筋力で浮島を蹴り飛ばし、強風を無理やり突き破って一直線に次の島へと着地する。最初は目を回していた魔法少女ちゃんも、数日繰り返すうちにすっかりこのアトラクションじみた移動に慣れてきたようで、僕の首に腕を回してしっかりとしがみついていた。


「お兄さん、左からストーム・イーグル来ます!」

「よし、バフお願い!」

「はいっ! 『テイル・ウインド』!!」


ドワァァァッ!

彼女の追い風魔法で僕の跳躍スピードがミサイルのように加速し、怪鳥の懐へ一気に潜り込む。そのまま『雲海の剣』を一閃して両断し、高級魔石をさくさくと回収していく。


もはや中層の通常魔物は、僕たちコンビの敵ではなかった。


しかし――天空ダンジョンの中層は、とにかく広かった。

動く島雲や、高低差の激しい浮島が果てしなく続いており、マッピングをしながら進むとなかなか終わりが見えてこない。黒猫のお姉さんが言っていた「珍しい魔物」の気配も、まだ全く感じられなかった。


「ふぅ、今日はこのへんにしておこうか。中層、想像以上に広いな」

「はいっ。お疲れ様です、お兄さん!」


夕暮れ時、空がオレンジ色に染まり始めた頃。

僕たちはダンジョンを抜け出し、街の冒険者ギルドへと帰還した。


「すいません、今日も換金お願いします」


カウンターに麻袋を置くと、受付の職員さんは「今日もストーム・イーグルの魔石がこんなに……」と、もはや呆れを通り越して悟りを開いたような顔で処理を進めてくれた。僕たちが無事に、しかも大量の高級魔石を抱えて帰還するのが、酒場の連中にとってもすっかり見慣れた(しかし未だに驚愕の)日常風景になりつつある。


「あ、それと。魔法少女ちゃんのレベルを確認してもらえますか?」

「はい、かしこまりました。こちらの測定板へどうぞ」


魔法少女ちゃんが、期待に胸を膨らませながらステータス測定板に手を置く。

淡い光が文字を形作っていくのを、僕たちは並んで覗き込んだ。


【レベル:6】

【筋力:18】

【魔力:26】

【体力:16】

【敏捷:21】


「わぁっ……! お兄さん、レベル6です! また上がりました!」

「おおおっ! すごいじゃないか、魔法少女ちゃん!」


ついこの間レベル3になったばかりだと思っていたが、中層の強力な魔物(経験値が多い)を連日討伐し続けていたおかげで、彼女のレベルも凄まじいスピードで跳ね上がっていたのだ。


「魔力も随分上がってきたね。これなら、バフの風ももっと強くなりそうだ」

「えへへ……! わたし、もっともっと頑張ります!」


自分の成長が目に見える数字となって表れ、彼女は杖をギュッと抱きしめて満面の笑みを浮かべた。


「よし! それじゃあ今日は、レベル6到達のお祝いだ! 食堂で一番高い『天空牛の極上ステーキ』を食べよう!」

「わぁぁっ、ステーキ! ありがとうございます!」


ギルドでの換金を終えた僕たちは、高級宿のレストランで豪華なお祝いご飯を堪能した。

美味しいお肉でお腹をパンパンに満たし、部屋に戻る。


「明日こそ、お姉さんが言ってたレア魔物、見つけようね」

「はいっ! どんな魔物でも、お兄さんと一緒なら絶対に倒せます!」


含有率100パーセントのフワフワの雲ベッドに潜り込むと、重力から解放された極上の心地よさが、一日の疲労を優しく溶かしていく。

明日への期待と、頼もしい相棒の成長の余韻に包まれながら、僕たちはその夜も深く、穏やかな眠りへと落ちていくのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、毎日の執筆(解体作業)のモチベーションが爆上がりします!


ブックマーク登録も、ぜひよろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。