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■第81話 秘密の作戦会議と、抱っこの雲ベッド

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


浮島のダンジョンで悔し涙を流しきった魔法少女ちゃんを連れ、僕たちはその日の探索を早々に切り上げて街へと戻った。


夕食を済ませ、高級宿の部屋に戻った僕たちは、含有率100パーセントの雲ベッドに腰を下ろし、約束の『作戦会議』を開くことにした。


「さて。それじゃあ、明日からの僕たちの『役割分担』について決めようか」


僕が切り出すと、泣き腫らして少し目の赤い魔法少女ちゃんが、杖を膝に置いて真剣な顔でコクンと頷いた。


「僕の強みは、異常な筋力と体力を使った近接戦闘だ。でも、空飛ぶ魔物や遠距離から攻撃してくる敵に対しては、剣が届かないからどうしても手数が減る。だから、魔法少女ちゃんには『後衛からの遠距離魔法による牽制と撃墜』をお願いしたい」


僕は真面目な顔をして、彼女に明確な『役割』を与えた。

……もちろん、これは半分嘘だ。僕には、空飛ぶ魔物相手に何千回と素振りをして習得した、ご都合クオリティの『飛ぶ斬撃』という強力な遠距離(中距離)攻撃手段がある。

しかし、今はそのことを黙っておくべきだと思った。


「僕は何でも一人でできる」と見せつけるのではなく、彼女に「パーティにとって絶対に必要なポジション」を与えること。それが、今の彼女の自信を取り戻すための特効薬になるはずだからだ。


「私が……遠距離からの牽制と、撃墜」

「そう。君が魔法で魔物の動きを止めたり、空から落としてくれたりすれば、僕がすぐに踏み込んで一撃で倒せる。魔法の威力が足りなくても問題ない。タイミングを合わせるだけで、戦闘の効率は爆発的に上がるはずだ」


僕の言葉を聞いて、魔法少女ちゃんの顔にパッと明るい光が灯った。


「はいっ! わたし、一生懸命魔法を当てます! お兄さんが戦いやすいように、絶対にサポートしてみせます!」

「うん、よろしく頼むよ。僕の背中は任せたからね」


作戦会議が終わり、部屋の明かりを消す。

含有率100パーセントの巨大な雲ベッドに身を沈めると、無重力の極上の柔らかさが体を包み込んだ。

しかし、今日は隣のベッドから寝息が聞こえてこない。

暗闇の中、モゾモゾと寝返りを打つ音がしたかと思うと、「……あの、お兄さん」と消え入りそうな声が聞こえた。


「ん? どうしたの?」

「その……昨日からずっと緊張してて、今日はいっぱい泣いちゃって……なんだか、一人でこのフワフワのベッドにいると、フワフワしすぎて不安になっちゃって……」


無理もない。駆け出しの彼女にとって、心無い言葉をぶつけられ、格上の魔物に恐怖し、自分の無力さを思い知った激動の二日間だったのだ。

僕は苦笑いしながら、自分のベッドの布団(雲)を少しだけめくった。


「おいで」

「……えっ?」

「不安なら、こっちで一緒に寝よう。抱っこされてれば、少しは安心するだろ?」


僕が言うと、魔法少女ちゃんはパタパタと足音を立てて僕のベッドに潜り込んできた。

含有率100パーセントの雲の中で、小さな体をすっぽりと腕の中に抱きしめる。温かい体温と、安心したように「ふにゃぁ……」と吐き出される甘い吐息。


「あったかいです……お兄さん、本当に大きくて、強いんですね……」

「そうでもないさ。ほら、もう何も考えずに寝なよ」


背中をポンポンと優しく叩いてやると、彼女は僕の胸に顔を埋め、数分も経たないうちにスゥスゥと安心しきった寝息を立て始めた。

誰かの温もりを感じながら眠る。それは、張り詰めた彼女の心を癒やすための、何よりの処方箋だった。


翌日。

天空ダンジョンの低層階で、僕たちは作戦会議通りの『役割分担』を実践していた。


「お兄さん、あそこに魔物が! いきます、『ファイアボルト』!」


魔法少女ちゃんが気合十分に杖を振りかぶって魔法を放つ。

しかし。


「――って、ちょっと早い! 僕がまだ前に出てない!」

「あわわっ! ごめんなさい!」


魔法が魔物に当たり、怒った魔物が猛烈なスピードでこちらに突進してくる。僕は慌てて間に入り、なんとか剣で受け止めて討伐した。


「ご、ごめんなさいお兄さん! タイミング間違えちゃいました……」

「ははは、大丈夫大丈夫! 次は僕が『今だ』って合図を出すから、それに合わせてみて!」


また次の浮島。


「今だ、撃って!」

「はいっ! えいっ!」


今度はタイミングはバッチリだった。……が、気合が入りすぎた僕が魔物に向かって猛ダッシュしてしまったせいで、魔法少女ちゃんの放った火の玉が、僕の背中(純白の雲海アーマー)にポムッと直撃してしまった。


「あっちぃっ!?」

「ひぃぃぃっ! お兄さんを燃やしちゃったぁぁっ! ごめんなさいごめんなさい!」

「あははは! 僕が前に出すぎた! 射線を塞いじゃダメだな、こりゃ!」


昨日までの悲壮感と空回りは嘘のように消え去っていた。

連携はぎこちなく、失敗ばかりだ。けれど、失敗するたびに僕たちは笑い合い、お互いの反省点を共有して「次はこうしよう」とまた挑戦を続けた。


「よし、今度こそ! 魔法少女ちゃん、右からくるぞ!」

「はいっ! 『ファイアボルト』!」


ポンッ! と放たれた魔法が、空を飛ぶ鳥の魔物の翼にクリーンヒットし、体勢を崩して高度を下げる。


「ナイス! そぉいっ!」


僕はすかさず踏み込み、落ちてきた魔物を一刀両断した。


「やりました! 完璧です、お兄さん!」

「お見事! さすが僕の相棒だ!」


二人でハイタッチを交わし、ドロップした魔石を一緒に拾い集める。

昨日までの「お守り」と「足手まとい」という関係ではない。失敗と挑戦を繰り返し、笑い合いながら、僕たちは少しずつ、確実に『パーティとしての息』を合わせ始めていた。


果てしない青空の迷宮で、僕たちの本当の冒険が、ようやく爽やかな風に乗り始めていた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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