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■第134話 甘い気だるさと、まったり街の食べ歩きショッピング

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


チュン、チュン……。

窓の外から聞こえる小鳥のさえずりと、カーテンの隙間から差し込む眩しい陽の光で、僕はゆっくりと目を覚ました。


「んんっ……ふわぁ……」


体を起こそうとしたが、全身がとろけるように重く、ひどく気だるい。


戦闘で限界まで体力を消耗した時の筋肉痛とは全く違う。昨夜、ピンク色のネオンが輝く歓楽街で、サキュバス風のお姉さんたちから一晩中たっぷりと受けた『大人のまったりオーラ(接待)』による、極上の疲労感だ。


「はは……ダメだ、こりゃ。骨抜きにされるって、こういうことを言うんだな」


ダンジョン内だけでなく、夜の街でも冒険者をダメにする。この『まったりの街』、ある意味でどんな凶悪な魔物の巣窟よりも恐ろしい場所かもしれない。


「今日はもう、午前中は諦めよう……」


僕は無理に活動することをやめ、ふかふかの枕に顔を沈めて、お昼過ぎまで微睡みの海へと再びダイブした。


午後。

たっぷり睡眠をとってようやく重い体を起こし、シャワーを浴びてさっぱりした僕は、私服に着替えて街の散策へと出かけた。


昨夜の歓楽街はもうお腹いっぱい(物理的にも体力的にも)なので、足を踏み入れないようにのどかな大通りを選んで歩く。


「たまにはこうやって、純粋にショッピングで時間を潰すのもいいもんだな」


ポーションをガブ飲みして戦い続ける毎日から離れ、完全なオフの日を満喫する。

街の商業エリアには、ダンジョンで採れる珍しい鉱石や植物を使った、この街ならではの特産品や土産物がずらりと並んでいた。


『月下香の香水』や、ダンジョンの蔦で編まれた丈夫なカゴ。色鮮やかな鉱石をあしらった装飾品など、見ているだけで飽きない。

そんな中、ふと立ち寄ったアンティーク調の雑貨屋で、僕の視線はある一つの商品に釘付けになった。


「おや、お客さん。お目が高いね。それはこの街の特産品、『星明かりのランタン』だよ」


店主の恰幅の良い女性が、ニコニコと話しかけてくる。

僕が手に取ったのは、透き通るような青いガラスで覆われた、手のひらサイズの可愛らしいランタンだった。


「これ、中に魔法の石が入ってるんですか?」

「そうさ。ダンジョンの浅い階層で採れる『月光石』の欠片を特殊な製法で磨き上げてね。暗い部屋で灯すと、天井いっぱいにゆっくりと回る星空を映し出してくれるんだよ。寝る前に眺めると、スッといい夢の世界に入れるって評判でね」


僕はその説明を聞いて、たまらなく物欲が刺激された。

部屋を暗くして、天井に広がる穏やかな星空をのんびりと眺めながら過ごす時間。激しい冒険の合間に心を落ち着かせるには、最高のアイテムだ。


「店主さん、これ買います!」

「毎度あり! 夜になったら、ぜひ試してみておくれ」


ホクホク顔でランタンを紙袋に入れ、店を出たところで、急にお腹の虫が「ぐぅ〜っ」と大きく鳴った。


「そういえば、昨日からまともにご飯を食べてなかったぞ……」


食欲を刺激する香ばしい匂いに誘われ、僕は大通りから少し外れた『屋台通り』へと足を踏み入れた。そこには、地元の人たちや冒険者で賑わう活気ある食のストリートが広がっていた。


「いらっしゃい、お兄さん! 腹ペコかい? この街名物『まったり牛の厚切り串』はどうだい!」


ジュージューと豪快な音を立てて肉を焼く屋台の親父さんに声をかけられ、たまらず一本買ってみる。

顔の大きさほどもある分厚い肉塊の串焼き。溢れ出す肉汁に火傷しないよう気をつけながらガブリとかじりつくと、僕は信じられない感触に目を見開いた。


「うまっ!? なんだこれ、分厚いのに口の中でとろける……!」

「ははは! この街の『まったりオーラ』をたっぷり浴びてのんびり育った牛だからな。ストレスゼロで、肉質が信じられないくらい柔らかくて脂が甘いんだよ!」


特製の甘辛いタレと、とろけるような肉の旨味が口いっぱいに広がり、あっという間に巨大な串を平らげてしまった。


「よし、次はデザートだ!」


すっかり食欲に火がついた僕は、屋台通りをさらに進み、可愛らしいパラソルが出ているオープンテラスのカフェに陣取った。

注文したのは、雑貨屋の女将さんが教えてくれたこの街の名物『微睡みベリーのタルト』と、温かいハーブティーだ。


「お待たせいたしましたー」


運ばれてきたのは、宝石のようにキラキラと輝く真っ赤なベリーがふんだんに乗った、サクサクのタルト。

フォークを入れて一口食べると、ベリーのキュッとした甘酸っぱさと、濃厚で滑らかなカスタードクリームが絶妙に絡み合った。


「ん〜っ……最高だ。肉の後の甘いものはたまらないな」


爽やかな風が吹き抜けるテラス席で、美味しいタルトを味わい、温かいハーブティーで一息つく。

街を行き交うのんびりとした人々の様子を眺めながら、僕は心の底からリラックスしていくのを感じていた。


「ふぅ……すっかり満喫したな」


夕暮れ時。

手にはお土産の紙袋、お腹には絶品のグルメをたっぷりと詰め込んで宿屋に戻る頃には、昨夜の甘い気だるさもすっかり抜け、心身ともに完全なリフレッシュを果たしていた。


戦闘も、泥まみれの土掘りもない、完全な休息日。たまにはこうして、街の空気に身を任せてのんびりと食べ歩きやショッピングを楽しむのも、冒険という長い旅路の中では絶対に必要な「経験」なのだ。


「明日はちゃんと新しいスコップを持って、またダンジョンでレア素材探しを頑張るか」


宿の部屋を暗くして買ってきた『星明かりのランタン』を灯し、天井に広がるゆっくりとした星の瞬きを眺めながら、僕は明日の探索へ向けて静かに気力を養っていくのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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