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■第128話 まったりの街と、黒猫の魔道具屋

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


なだらかな街道をのんびりと数日歩き続け、僕はついに次なる目的地へと到着した。

木造の温かみのある家々が立ち並び、町を行き交う人々の歩くスピードもどこかゆっくりとしている。町全体を包み込む空気が、春の陽だまりのようにポカポカとして心地よい。


「ここが『まったりの街』か。確かに、すごく平和そうなところだな」


僕はまず、この街の『補給所』へと向かうことにした。

大通りを少し外れた静かな場所にあるその建物の看板には、『平和な寺院』と書かれている。

カラン……とベルを鳴らして中に入ると、ふわりと心を落ち着かせるようなカモミールの香りが漂ってきた。


「ふわぁ……いらっしゃいませぇ……」


出迎えてくれたのは、修道服を着たおっとりとしたタレ目の神官ちゃんだった。彼女は少し眠そうに目をこすりながら、僕に小瓶を差し出した。


「一般人様ですねぇ……お待ちしておりましたぁ。女神様からの、この街での支給品ですぅ」

「ありがとう。……ん? これ、『体力回復ポーション』じゃないぞ?」


受け取った小瓶の中には、ミントグリーンのような鮮やかな色の液体が入っていた。ラベルには『気付けのポーション』と書かれている。


「気付けのポーション? 毒や麻痺の治療薬かな?」

「いえぇ……それは、その名の通り『目を覚ますため』のお薬ですぅ。ダンジョンの中で、どうしても我慢できなくなったら飲んでくださいねぇ……ふわぁ」


神官ちゃんはこくりこくりと舟を漕ぎ始めている。

一体どういうことだろう? 睡眠魔法を使ってくる魔物でもいるのだろうか。首を傾げながらも、僕はポーションをポーチにしまい、次は冒険者ギルドへと足を向けた。


ギルドの中も、これまでの街のような殺伐とした空気や熱気はなく、冒険者たちがテーブルでお茶を飲みながら談笑する、カフェのような穏やかな空間だった。


「ようこそ、まったりの街のギルドへ!」


カウンターの受付ちゃんも、笑顔がふんわりと柔らかい。


「ここのダンジョンについて教えてほしいんだけど。どんな魔物が出るの?」

「はい! この街の『まったりダンジョン』は、これまで銀騎士様が経験されたような戦闘メインの迷宮とは少し違います。ここでは魔物から魔石を回収するのではなく、ダンジョン内に自生する珍しい『植物』や『鉱石』を採取してきていただくのが主なお仕事になります」

「採取メインのダンジョン? じゃあ、魔物はいないのか?」

「いえ、魔物自体はたくさん生息していますよ。ただ……『討伐する必要がない』んです。危険もほとんどありませんから」

「討伐する必要がない? どういうこと?」


僕が尋ねると、受付ちゃんはフフッと笑ってウインクをした。


「それは、実際に行ってみればすぐに分かりますよ。というわけで、まずは植物を採取するためのナイフや、鉱石を掘るための『ツルハシ』などの道具を先に入手されることをお勧めします」

「なるほど。じゃあ、さっそく道具屋に行ってくるよ」

「あ、お待ちください!」


受付ちゃんが呼び止める。


「普通の道具屋さんでも買えますが、銀騎士様ほどの資産がおありなら、裏通りにある『魔道具屋』さんに行かれるのがおすすめです! きっと、探索がもっと便利になる『いい魔道具』が揃っていますよ」

「魔道具屋……まさか」


受付ちゃんに教えられた裏通りの路地へ向かうと、そこには見覚えのある黒塗りのシックな店構えと、黒猫の看板が掲げられていた。


『黒猫の宝箱・まったり支店』

「やっぱりここにもあったか!」


カランコロンとドアを開けて中に入ると、カウンターの奥から「にゃあ!」という元気な声が響いた。


「いらっしゃいませー! って、あら!? あんた、もしかして天空支店や第一部の街で噂になってる『銀の鎧の常連さん』じゃないかい!?」


そこにいたのは、猫耳と尻尾を生やした、黒猫のお姉さん(のそっくりさん)だった。天空の時とは少し髪型が違うが、商魂たくましいキラキラした瞳は完全に同じだ。


「ここにも支店があったんだね。鉱石を掘るためのいいツルハシとか、採取用の魔道具を探してるんだけど」

「にゃふふ、もちろん最高の品が揃ってるわよ! さすがは銀騎士のお兄さん、お目が高い! まったりダンジョンを快適に攻略するための、とっておきの魔道具をたくさん見せてあげるわ!」


黒猫のお姉さんは尻尾をピンと立てて、カウンターの上に次々と珍しい魔道具を並べ始めた。


『気付けのポーション』の謎、討伐不要の魔物、そして新たな魔道具。

戦わない迷宮『まったりダンジョン』での新たな冒険の準備が、ワクワクと共に着々と整っていくのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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