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■第126話 心優しきギガントと、まったりダンジョンへの誘い

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


気絶した野盗たちの身柄と事後処理は、合流したギルドの職員と警備兵たちにすべて丸投げし、僕はその足で再び『はじまりの迷宮』へと舞い戻っていた。


「今度こそ、寄り道はなしだ。一気に最奥まで行くぞ」


過酷な集団戦も、上位種たちの猛攻も、今の僕にはもはや障害ではない。

無駄な力みを一切なくした『脱力と受け流し』の技術をもってすれば、どんな強敵も最小限の動きで自滅していく。サクサクと群れを無力化し、僕はついに迷宮の最深部にそびえ立つ、重厚な両開きの扉の前に辿り着いた。


「ついに来た……。この過酷な集団戦の迷宮を束ねる、真のボス部屋」


僕はゴクリと唾を飲み込み、重い扉を両手で押し開けた。

ギィィィ……と重い音を立てて開かれた先には、広大なドーム状の空間が広がっていた。

そして、その部屋の中心にドスンと腰を下ろし、静かにこちらを見つめていたのは――見上げるほど巨大な体躯を持つ、岩のような巨人『ギガント』だった。


「……!」


僕は即座に『雲海の剣』を抜き、自然体でスッと身構えた。

これまでのセオリーなら、ここで百体以上の取り巻きが湧き出し、大乱戦になるはずだ。ボスのギガントが巨大な鉄槌でも振り下ろしてくれば、いかにパリングしようともただでは済まないだろう。

だが――。


「……待ってくれ、小さき戦士よ。武器を収めてはくれないか」


ギガントは立ち上がることも、武器を構えることもなく、ひどく穏やかで温かみのある声で語りかけてきた。


「えっ?」

「我は、争いを好まない」


巨大なギガントは、まるで慈愛に満ちた老人のように目を細め、僕を静かに見下ろした。


「お前が身にまとうその強大な力、そして何より、一切の無駄を削ぎ落としたその『脱力』の構え。それを見れば、お前がどれほどの死線を潜り抜け、実力を高めてきたか……戦うまでもなく理解できる」

「戦わなくて、いいのか……?」

「うむ。我が全力で挑もうと、お前を止めることはできまい。無益な争いで血を流す必要はどこにもない」


そう言うと、心優しき巨大なボスは、岩のように分厚く大きな手のひらをゆっくりと僕の前に差し出した。

その中央には、虹色に輝く美しいクリスタル――『迷宮踏破の証明』が、コロンと置かれていた。


「あっさりとくれるの!?」


僕は拍子抜けして、思わず素頓狂な声を上げてしまった。

過酷な集団戦、泥臭い解体地獄、道場での無茶な特訓。そのすべてを乗り越えた先の最終ボス戦が、まさかの『戦わずしてクリア(話し合い)』だとは。


「お前がこの迷宮で何を学び、どう成長したか……迷宮の主である我にはすべて分かっている。お前はもう、この『はじまりの迷宮』で学ぶべきことをすべて終えたのだ。胸を張って受け取るがいい」

「……ありがとう、ギガント」


僕は剣を鞘に収め、その巨大な温かい手から、そっと『証明』を受け取った。


『ポーン! はじまりの迷宮を完全クリアしました!』


脳内に心地よいファンファーレが鳴り響き、これで本当に、苦労の連続だったこの迷宮ともお別れだ。


「さて、次はどこへ行こうか。また別の平凡なところを探すか……」


僕がクリスタルを見つめながら独りごちていると、ギガントが静かに言葉を紡いだ。


「小さき戦士よ。お前が次なる試練を求めているのなら……次は『まったりダンジョン』へ向かうといい」

「まったりダンジョン? なんだか、すごく平和そうな名前だけど」

「うむ。常に限界まで自分を追い込み、強敵と戦い、力を求め続けるお前にとって、そこは非常に『いい経験』になるはずだ」


ギガントは優しく微笑んだ。


「戦い、打ち倒すことだけが冒険ではない。それを学ぶ、良い機会となるだろう。……道中、気をつけてな」


まったりダンジョン。

バケモノステータスでゴリ押しし、さらに洗練された剣技を手に入れた僕に、次なるステージとして提示されたのは、名前からして一切の殺伐さを感じさせない未知の迷宮だった。


「なるほど……戦うだけが冒険じゃない、いい経験か」


僕は手の中の虹色のクリスタルをギュッと握りしめ、ニヤリと笑った。


「教えてくれてありがとう! 行ってみるよ、その『まったりダンジョン』ってところに!」


こうして、数々の出会いと学びを得た『はじまりの迷宮』での泥臭い原点回帰の冒険は、心優しき巨人との平和的な対話をもって、驚くほど穏やかに幕を下ろした。


果たして、次なる目的地『まったりダンジョン』とは一体どんな場所で、僕にどんな経験をもたらしてくれるのか。

期待とワクワクを胸に、僕の次なる新たな旅が、静かに始まろうとしていた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

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