↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/136

■第111話 上位種の影と、ふとよぎる相棒の記憶

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


四人組のパーティを『解体地獄』で解散させてから数日。

完全に一人ソロの気楽な探索へと原点回帰した僕は、『はじまりの迷宮』のさらに奥深くへと歩みを進めていた。


「よし、今日も順調だな」


階層を降りるにつれて、洞窟の壁はただの岩肌から、人工的なレンガ造りのような規則正しい構造へと変化してきている。

そして、環境の変化に伴って、当然ながら出現する魔物たちにも明らかな『変化』が表れ始めていた。


「ギガァァァァッ!!」


広間に足を踏み入れた僕を待ち構えていたのは、いつものゴブリンやオークの群れ……ではない。

体格が一回り大きく、緑色の肌がどす黒く変色した『ホブゴブリン』や、錆びた鉄ではなく分厚い鋼の胸当てを装備した『ハイオーク』の軍勢だった。


「なるほど、上位種のお出ましってわけか!」


僕は『体力回復ポーション』の小瓶を口にくわえて栓を飛ばし、一気に呷った。

スタミナを常に限界突破状態に保ち、迷いなく敵陣の中央へと飛び込む。


「そぉいっ!!」


『雲海の剣』を大上段から振り下ろし、渾身の『飛ぶ斬撃』を放つ。

これまでは、この一撃で前衛の肉の壁が数十体まとめてミンチになっていた。

だが――ガギィィィンッ!!


「なっ……!?」


先頭にいたハイオークたちが、巨大な鋼の盾を構え、なんと僕の飛ぶ斬撃を正面から受け止めたのだ。

もちろん、バケモノ級の筋力が乗った一撃を完全に防ぎきれるわけはなく、盾ごとハイオークたちは吹き飛ばされて絶命した。しかし、これまでは『豆腐』のように通り抜けていた斬撃の威力が、鋼の装備と上位種の分厚い筋肉によって、確実に減衰させられていた。


「マジか! 一振りで薙ぎ払える数が減ってる!」


一撃で二十体倒せていたのが、十体、あるいは五体で斬撃が止まってしまう。

倒しきれないわけではない。だが、群れを殲滅するまでに剣を振るう『回数』が、これまでの倍近く必要になってきているのだ。


「なら、手数を増やすまでだ! はぁぁぁっ!!」


僕は『飛竜の雲海鎧』で敵の反撃を強引に弾き返し、ひたすらに剣を振り続けた。

スタミナが減ればポーションを飲み、また斬る。物理的な疲労はリセットできても、鋼の鎧を斬り裂くたびに手に伝わる重い衝撃は、確実に僕の神経を削っていった。


数十分後。

広間を埋め尽くしていた上位種の群れをすべて死体の山に変え、僕は剣の血糊を払って大きく息を吐き出した。


「ふぅ……っ、さっきより時間がかかったな」


静まり返った広間で、僕はそのまま『解体用ナイフ』を取り出し、山積みの死体へと向かった。

上位種は魔石の質が良いが、その分、皮膚や筋肉が異常に硬い。ナイフを入れるだけでも一苦労だ。

ブチッ、ゴリッ……。


「硬っ……! 関節外すのも一苦労じゃないか……」


血と泥にまみれながら、一人黙々と硬い死体を解体していく。

その単調で過酷な作業の中、僕はふと、小さくため息を漏らしてしまった。


(……こんな時、肩を並べて戦ってくれる仲間がいたら、もっと楽なんだろうな)

先日お試しで組んだ四人組のような『後方での解体アシスタント』のことではない。

僕の背中を預けられ、硬い敵の陣形を魔法で崩し、共に前線で戦ってくれる『本当の意味での相棒』のことだ。

脳裏に、かつて天空の浮島で共に戦った、小さな魔法少女ちゃんの姿がよぎった。


『お兄さん、右から来ます!』

『テイル・ウインド!』


彼女は僕の足手まといにならないよう必死に魔法の腕を磨き、絶妙なタイミングでバフをかけ、敵の軌道を炎で誘導してくれた。彼女のサポートがあったからこそ、僕は最大の火力を一点に集中させることができたのだ。


「……あの子とのコンビネーションは、本当に完璧だったな」


一人で何十体もの硬い死体を解体しながら、僕は少しだけ自嘲気味に笑った。

ソロの気楽さを選んだのは自分だ。他人に自分の異常なペースを強要して潰してしまったのも自分だ。

今さら「肩を並べる仲間が欲しい」だなんて、虫が良すぎるにもほどがある。


「よし、感傷に浸ってる暇はないぞ。僕は僕のやり方で、この迷宮を制覇するって決めたんだ」


僕はナイフを持つ手に力を込め、ハイオークの胸から極上の魔石をえぐり出した。

ポーションの力で無限のスタミナを得たとはいえ、敵が強くなればなるほど、戦闘も解体も泥臭さと過酷さを増していく。


「上位種が束になってこようが、全部力でねじ伏せてやるさ」


一人きりの薄暗い迷宮で、僕は血まみれの魔石をポーチに放り込み、再び前を向いた。

どれほど過酷になろうとも、立ち止まるという選択肢は今の僕にはない。強くなる魔物の群れを前に、僕は自らの意志をさらに強く固め、ダンジョンのさらに深部へと足を進めていくのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白い!」「次も読みたい!」「ヒョロガリ頑張れ!」と思っていただけましたら、

下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、毎日の執筆(解体作業)のモチベーションが爆上がりします!


ブックマーク登録も、ぜひよろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。