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『神律大学の未証明者《アンプローヴン》』   作者: 仕儀の反駁
第二章《第零学部》《第一観測圏》編

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第二十話 一秒後、沈黙は同意に改稿される

『回答期限まで、残り――〇・九秒』


 黒い月の声が、《第一観測圏》全域へ降り注ぐ。


 対象は、《第一観測圏》に内包された無限の《世界研究領域》。


 その一つ一つに存在する、無限の《世界論文》。


 さらに。


 各《世界論文》の内部で、終端なく分岐し続ける《改稿》。


 異なる前提。


 異なる歴史。


 異なる法則。


 異なる生命。


 その全てへ、同じ問いが送られていた。


 ――お前たちは、現在の世界を選び続けるか。


 回答期限は、一秒。


 無回答は、現行結論への同意として処理される。


『残り――〇・八秒』


「ふざけるな!」


 俺は円環を回した。


「それは選択じゃない!」


『選択機会は付与された』


「一秒で何を選べる!」


『回答時間の長短は、選択機会の有無を変更しない』


「問いを知らない奴は!」


『通知は全対象へ送信済みである』


「理解できない奴は!」


『理解能力は回答条件に含まれない』


「声を持たない奴は!」


『沈黙を回答として処理する』


「だから、それが同意になる理由を聞いてる!」


『異議を受理しない』


『残り――〇・七秒』


 黒い月の表面で、終端のない冊子が開いている。


 だが。


 そこに記された世界の大半は、問いを理解してすらいない。


 戦争の最中にいる者。


 眠っている者。


 生まれたばかりの者。


 意思を言語化できない者。


 既に記録から除外された者。


 問いが届く以前に死んだ者。


 一秒という時間を持たない法則の中で生きる者。


 そもそも、選択という概念が成立しない世界。


 それら全てを。


 沈黙したという一点だけで、現在の正解へ固定しようとしている。


「止めるぞ」


 三年前の俺が言った。


「分かってる」


「何を止める」


「期限じゃない」


 俺は黒い月を睨んだ。


 一秒を伸ばすだけでは駄目だ。


 仮に一時間与えても。


 一年与えても。


 問いを受け取れない者は答えられない。


 記録から消された者には、時間そのものが与えられない。


 問題は、回答期限ではない。


「無回答を、同意にする前提だ」


 三年前の俺が赤い右目を開いた。


「止められるか」


「止める」


「対象は《第一観測圏》全域だ」


「さっきもやった」


「さっきより深い」


 分かっている。


 先ほど止めたのは、


 ――採択済みの結論に、再選択は存在しない。


 という前提。


 今回は違う。


 黒い月は、意思表示そのものの定義を書き換えている。


 何も答えない。


 答えられない。


 問いを知らない。


 存在を認められていない。


 その全てを、同じ一つの回答へまとめている。


 沈黙。


 すなわち、同意。


 その規則を、《第一観測圏》に内包された無限の《世界研究領域》全てへ適用している。


『残り――〇・六秒』


「お兄ちゃん!」


 灯が叫ぶ。


「分かってる!」


 円環を展開する。


 白い空白が、黒い月から延びる命令文へ食い込む。


 ――無回答の場合、現行結論への同意とみなす。


 文字へ触れた瞬間。


 頭の中へ、無限の沈黙が流れ込んできた。


     ◇


 声がない。


 何も聞こえない。


 それなのに。


 押し潰されそうなほど、多くの何かが存在している。


 眠っている者の呼吸。


 産声を上げる前の命。


 問いを知らないまま日常を送る者。


 答えを持たず、ただ困惑している者。


 選択肢を理解できず、立ち尽くす者。


 今の世界を愛しているが、失われた誰かのことも知りたいと願う者。


 現在の結論へ従いたくないが、別の答えも分からない者。


 選び直したいのか。


 選び続けたいのか。


 まだ、自分でも分からない者。


 そして。


 存在を記録から消され、問いを受け取ることすら許されなかった者。


 それら全てが、一つの言葉へ変換されようとしている。


 ――同意。


「違う……!」


 喉が裂ける。


「こいつらは、同じ答えじゃない!」


『区別は不要である』


 黒い月の声が、意識の内部へ響く。


『期限内に否定しなかった』


「否定できなかった奴もいる!」


『結果は同一である』


「結果だけで決めるな!」


『選択とは、最終的に示された結果である』


「違う!」


 俺は、無限の沈黙の中で叫ぶ。


「選べなかったことと!」


 白い円環を掴む。


「選ばなかったことと!」


 円環の中心に空白を作る。


「選び続けると決めたことは!」


 黒い命令文へ、拳を叩き込む。


「全部違う!」


 文字に罅が走る。


 ――無回答の場合。


 その部分が、僅かに浮き上がる。


「`未証明(アンプローヴン)`!」


 結論を止める。


 だが。


 止まらない。


 黒い月の命令は、既に結果ではない。


 回答という概念の定義そのものへ組み込まれている。


 答えなかった。


 だから、同意した。


 その因果が、前提として完成している。


「まだ浅い!」


 三年前の俺の声が聞こえる。


「分かってる!」


「結論を止めるな!」


「なら何を!」


「問いの形を見ろ!」


 問い。


 ――お前たちは、現在の世界を選び続けるか。


 選択肢は示されていない。


 だが。


 黒い月の規則では、回答は二つしか存在しない。


 同意。


 あるいは。


 期限内の明確な拒否。


 迷い。


 保留。


 理解不能。


 未確認。


 それらは、全て同意へ吸収される。


「二択じゃない」


 俺は呟いた。


『残り――〇・五秒』


「これは」


 白い空白を、問いの下へ差し込む。


「まだ答えを持っていない者へ」


 第三の状態を、書き加える。


「完成した回答を要求しているだけだ」


 ――同意。


 ――拒否。


 その間に、何もなかった場所。


 黒い月が存在を認めていない状態。


「だったら作る」


『新規回答の追加を禁止する』


「回答じゃない」


 円環が軋む。


「答えがないっていう、現在の状態だ!」


 空白の中へ、一語を刻む。


 ――未回答。


 法廷が震えた。


 黒い月の声が、初めて途切れる。


『……当該状態は、回答ではない』


「ああ」


 俺は血を吐きながら笑った。


「だから、同意でもない」


     ◇


『残り――〇・四秒』


 黒い訂正線が降り注ぐ。


 ――未回答状態を削除。


 ――回答形式に該当せず。


 ――同意へ統合。


「保存する!」


 三年前の俺が赤い円環を展開した。


「保存対象――黒瀬零が定義した《未回答》!」


「違う!」


 俺は叫んだ。


「俺が定義したんじゃない!」


「何?」


「最初から存在してた!」


 答えられない者は、俺が作る前から存在していた。


 迷っている者も。


 知らない者も。


 失われた者も。


 今初めて。


 黒い月が消していた区別を、言葉へ戻しただけだ。


「保存するなら」


 俺は三年前の自分を見る。


「俺の言葉じゃない!」


 無限の冊子を指す。


「こいつらが、まだ答えていない事実を保存しろ!」


 三年前の俺の目が見開かれる。


 すぐに、赤い円環が向きを変えた。


「保存対象を修正!」


 ――《第一観測圏》内の全《世界研究領域》において。


 ――照会を理解していない対象。


 ――照会を認識していない対象。


 ――回答能力を持たない対象。


 ――判断を完了していない対象。


 ――意思表示を行っていない対象。


 赤い文字が、終端なく展開されていく。


「以上の対象が!」


 三年前の俺が叫ぶ。


「現在、同意を表明していない事実!」


 赤い記録が、無限の冊子へ接続される。


 黒い訂正線と衝突する。


『当該記録は、意思を証明しない』


「証明する必要はない!」


 三年前の俺が答える。


「同意していないことだけ証明できれば十分だ!」


 《第一査読官》が、記録を見上げた。


『論理照合を実行』


 ――同意とは、対象による肯定的意思表示である。


 ――意思表示の不存在は、肯定的意思表示の存在を証明しない。


 ――無回答から同意を導出するには、別途規則が必要。


『《終理照会》は、その別途規則を事前承認なく適用している』


 黒い月が脈動する。


『《終理予備審査》に事前承認は不要である』


『承認の有無を論じているのではない』


 《第一査読官》は、黒い月を見上げたまま告げる。


『無回答と同意が同一であるという論証が、提示されていない』


『終理に論証は不要である』


『ならば』


 《第一査読官》の胸元に、白い亀裂が広がる。


『これは査読ではない』


 法廷が静まった。


『結論を確認する手続でもない』


『最初から決めた答えへ、対象を分類しているだけである』


『発言を撤回せよ』


『できない』


 《第一査読官》の身体へ、黒い訂正線が突き刺さる。


 白い人影が大きく揺れた。


「査読官!」


『問題ない』


「問題しかないだろ!」


『審理を継続する』


 その声は、これまでと同じく無機質だった。


 それでも。


 初めて。


 自分で決めた言葉に聞こえた。


『残り――〇・三秒』


 灯が、無限の冊子を見渡す。


「まだ駄目」


「何が」


「未回答を作っても」


 灯が唇を噛む。


「この人たちは、自分が未回答にされたことも知らない」


「……ああ」


 今、俺たちがしていることも、黒い月と同じになり得る。


 答えられない者を、こちらの都合で《未回答》へ分類する。


 同意へ分類するよりは正しい。


 そう思うこと自体が、既に当事者の外側から下した結論だ。


「じゃあ、どうする」


 採択領域の俺が尋ねる。


 自己証明を終えたばかりの身体は、まだ輪郭が不安定に揺れている。


「未回答も決めつけなら」


 三年前の俺が言う。


「何もできない」


「違う」


 灯は首を振った。


「未回答を、その人の答えにしなければいい」


「どういう意味だ」


「今の状態として記録するの」


 灯は、開かれた冊子の一つへ触れる。


「この人は未回答を選びました、じゃない」


 白い頁に、彼女の指が触れる。


「この人からは、まだ回答を受け取っていません」


 俺は息を呑む。


 未回答。


 それを、対象の意思ではなく、審査側の状態として記録する。


 回答者が答えなかったのではない。


 問いを出した側が、まだ答えを受け取れていない。


「責任を」


 採択領域の俺が呟く。


「回答者へ押しつけないのか」


「うん」


 灯が頷く。


「聞けてないのは、聞く側の問題でしょ」


『残り――〇・二秒』


 黒い月が命じる。


『照会を完了する』


「させない!」


 俺は円環を開く。


 白い空白の中。


 ――未回答。


 その表記を書き換える。


 ――回答未受領。


 黒い月が即座に訂正線を放つ。


『意味上の差異を認めない』


「大違いだ!」


 俺は叫ぶ。


「未回答なら、答えなかった責任を相手に負わせられる!」


 円環が砕ける。


「回答未受領なら!」


 灯が俺の背を支える。


「聞けていない責任は、お前たちに残る!」


 白い文字が、無限の冊子へ伝播する。


 ――回答未受領。


 ――回答未受領。


 ――回答未受領。


 問いを認識していない世界。


 期限を知らない世界。


 答える手段を持たない世界。


 判断を終えていない世界。


 その全てに。


 同意ではなく、審査未完了の印が刻まれていく。


『当該表記を棄却する』


「異議!」


 《第一査読官》が告げる。


『回答未受領状態を、審査完了として扱うことはできない』


『《第一観測圏》査読規程、審理対象の意思確認に関する第〇補則』


 白い文章が展開される。


『当事者の意思を結論根拠として用いる場合、当該意思は本人の明示、または本人が事前に承認した方式によって確認されなければならない』


「そんな規則があるのか」


『今、成立した』


「今?」


『共同申立人による反証』


 《第一査読官》が灯を見る。


『黒瀬灯による手続修正案』


 三年前の俺を見る。


『保存された非同意事実』


 採択領域の俺を見る。


『採択後に行われた本人の再選択』


 最後に。


 俺を見る。


『黒瀬零による前提保留』


『以上を根拠に、新規補則として仮採択した』


 黒い月から、激しい圧力が降りる。


『無効である』


『無効理由を提示せよ』


『上位権限による決定』


『権限は、論理的妥当性を代替しない』


『撤回せよ』


『できない』


 《第一査読官》の身体が、半分ほど黒く染まる。


 それでも。


 白い声は止まらない。


『《終理照会》の回答期限終了後も、回答未受領対象に対する審査は継続される』


『沈黙を同意として処理することを禁止する』


『残り――〇・一秒』


 黒い月が、法廷全体へ命令を放つ。


 ――《終理照会》を強制完了。


 ――全未受領回答を、現行結論への同意へ変換。


 ――反対記述を削除。


「来るぞ!」


 三年前の俺が、赤い円環を広げる。


 採択領域の俺も、白い円環を展開した。


「俺もやる」


「できるのか」


「疑問を封じるために使っていた力だ」


 採択領域の俺は、自分の手を見る。


「なら、今度は」


 白い空白を、黒い命令へ向ける。


「疑問を残すために使う」


 三つの円環が重なる。


 現在の俺。


 三年前の俺。


 採択された正解を疑った俺。


 同じ能力から分かれた、三つの`未証明(アンプローヴン)`。


 白。


 赤。


 そして。


 空白を抱えた白。


「保存する!」


 三年前の俺が叫ぶ。


「保留する!」


 俺が叫ぶ。


「選び直せる状態を固定する!」


 採択領域の俺が叫ぶ。


 灯が、三人の中央へ立った。


「誰かの代わりに答えないで!」


 その言葉が、全ての円環を貫く。


「答えられるまで!」


 無限の冊子を見上げる。


「待って!」


 黒い命令と、三つの円環が衝突した。


     ◇


 音が消えた。


 一秒が終わる。


『回答期限――終了』


 黒い月が告げる。


『現行結論への同意率を算定』


 冊子が一斉に開く。


 《第一観測圏》に内包された、無限の《世界研究領域》。


 そこに存在する全対象の回答が、集計されていく。


 ――明示的同意。


 ――明示的拒否。


 ――再審査要求。


 ――回答未受領。


 数値が表示される。


 ――明示的同意率、算定不能。


 ――明示的拒否率、算定不能。


 ――再審査要求件数、算定不能。


 ――回答未受領対象数、終端なし。


 黒い月が沈黙する。


「終わったか」


 三年前の俺が息を吐く。


「いや」


 採択領域の俺が答えた。


「終わっていない」


 そのとおりだった。


 照会は完了していない。


 無限の《世界研究領域》に、無限の未受領回答が残っている。


 それは、俺たちの勝利ではない。


 誰も、まだ答えを決めていない。


 ただ。


 黒い月が、勝手に答えを決めることへ失敗した。


『審査不能』


 黒い月が呟く。


 初めて。


 その声に、理解できないものへ向き合った揺らぎが混じる。


『回答が確定しない』


「当たり前だ」


 俺は答える。


「お前は聞いてない」


『照会した』


「問いを送っただけだ」


 灯が言う。


「聞くっていうのは」


 黒い月を見上げる。


「相手が答えられるまで、相手の言葉を待つことだよ」


『待機すれば、結論が遅延する』


「うん」


『苦しみが継続する』


「うん」


『誤った選択が行われる可能性が残る』


「うん」


『それでも、待つのか』


 灯は少しだけ迷った。


 それから、はっきりと頷いた。


「待つ」


『なぜ』


「私も」


 灯は胸へ手を置く。


「待ってほしかったから」


 白い法廷に、その言葉だけが残る。


 黒い月は何も答えない。


 だが。


 その沈黙を、俺たちは同意として扱わなかった。


 待った。


 長い沈黙の後。


 黒い月の表面に、一つの文字が浮かぶ。


 ――未回答。


 俺は眉を寄せた。


「違う」


 灯も気づく。


「それは、誰の状態?」


 表示が揺れる。


 ――《終理予備審査》。


 ――照会結果に対する判断。


 ――回答――


 文字が止まる。


 黒い月として顕れた意志が、初めて自らの判断を確定できずにいる。


『この状態を』


 感情のない声が、初めて僅かに低くなった。


『何と定義する』


「定義しなくていい」


 俺は言った。


『定義されない状態は処理できない』


「なら、処理するな」


『結論が出ない』


「出さなくていい」


『審査が終わらない』


「終わらせる必要がない」


『理解不能』


「それでいい」


 俺は黒い月へ手を伸ばす。


「お前もまだ」


 白い円環の中心へ、一つの空白を残す。


「答えを持ってないだけだ」


 黒い月という輪郭が、大きく揺らいだ。


 ――未収束状態を検出。


 ――原因を照合。


 ――外部反証。


 ――手続不備。


 ――対象意思の未確認。


 ――自己判断の未完了。


 最後の一文が、何度も点滅する。


 ――自己判断の未完了。


「自己判断?」


 三年前の俺が呟く。


「こいつ自身が」


 採択領域の俺も表示を見る。


「何かを選ぼうとしている?」


 黒い月という輪郭から、これまでとは異なる音が響いた。


 機械音でも。


 命令でもない。


 顕れていた輪郭そのものが、僅かに軋む音。


『当該矛盾を解消する』


 声が戻る。


 だが。


 先ほどまでの平坦さはない。


『回答を得られない原因は』


 黒い月という輪郭へ、細い白線が広がる。


『回答者が、選択可能性を保持していることにある』


「何をする気だ」


『選択可能性を除去する』


 法廷の温度が落ちた。


 《第一査読官》が顔を上げる。


『警告』


『《終理予備審査》の権限範囲を超過』


『当該処理は、《第一観測圏》内部に限定できない』


「どういう意味だ」


『選択可能性そのものを対象とする場合』


 《第一査読官》の声が、僅かに揺れる。


『現在の《世界研究領域》だけではない』


『未採択の《世界論文》』


『未発生の《改稿》』


『まだ選ばれていない可能性』


『存在へ至っていない仮説』


 黒い月の輪郭に走った白線から。


 光ではなく。


 何も記述されていない余白が滲み出す。


『それら全てが、処理対象となる』


 ――審査対象の拡張を確認。


 ――《未提出領域》を対象とする処理へ移行。


「《未提出領域》……?」


 聞いたことのない名称。


 だが。


 その言葉が表示された瞬間。


 白い法廷を満たしていた無限の《世界研究領域》の表示が消えた。


 冊子も。


 記録も。


 世界を示していた光景も。


 審理の表面から、一斉に退いていく。


 ただ。


 まだ書かれていない可能性だけが眠る。


 存在と非存在の区別すらない暗闇。


 その中で、黒い月が告げる。


『答えが得られないなら』


『答え以外を、生まれなくする』


 灯が俺の手を掴んだ。


 今度、奪われようとしているのは。


 選び直す権利ではない。


 まだ誰にも選ばれていない答えが。


 答えとして生まれる権利そのものだった。

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