第二十七節 午前五時半の提案
午前五時半から六時半までの時間帯について、草加部から提案があった。
その時間帯の業務をどう考えるか。人員配置をどうするか。
草加部は、実際の荷物の到着状況や業務量をもとに、運用を見直す必要があると考えていたのだろう。
私としては、そこまでの対応が必要だとは思っていなかった。
この提案については、元委員長にも話をしていた。
しかし、元委員長の考えは違った。
その時間帯に新たな対応を設ける必要はない。そういう判断だった。
私も、それ以上、話を進めることはしなかった。
元委員長が必要ないと考えているのであれば、それでよいと思っていた。
会社の事情も、現場のことも分かっている人だ。私が改めて別の方向から話を進める必要はない。
少なくとも、そのときの私は、そう考えていた。
草加部からすれば、提案した以上、具体的に検討してほしかったのだろう。
だが、私の中では、元委員長に話をした時点で、この件についての考えはほぼ決まっていた。
日勤側に話を持っていき、午前五時半から六時半までの運用について意見を聞く。そういう段階まで進めることはなかった。
日勤側と具体的に話し合ったわけでもない。
それでも、私の中では、提案については話をしていた。
草加部が示した数字をもとに、改めて日勤側と調整する必要があるとは思わなかった。
元委員長に話をし、必要ないという判断を受けた。
私にとっては、それで十分だった。
草加部に対して、日勤側が受け入れてくれなかったという説明をしたのも、そうした経緯があったからだ。
私の中では、この提案は進められなかった話になっていた。
ただ、実際に日勤側が提案を聞き、検討したうえで受け入れなかったのかといえば、そういうことではなかった。
日勤側と、具体的な議論をしたわけではない。
そのことを、私は特に問題だとは考えていなかった。
一度、元委員長に話をしている。
そこで必要ないという判断になったのだから、それ以上の話を進める理由もない。
私にとっては、そういう整理だった。
後になって、日勤のカイ君も、その提案について聞いていなかったことが分かった。
その話を聞いたとき、私が草加部に説明していたことと、実際に日勤側で話が進んでいたかどうかとの間には、ずれがあったことになる。
だが、そのずれが、どこで生じたのか。
元委員長に話をした段階で、私の中では結論が出ていた。
だから、その先に話を進めなかった。
それだけのことだった。
少なくとも、私はそう考えていた。
草加部が示していた数字について、日勤側と具体的に検討したわけではない。
午前五時半から六時半までの提案が、日勤側にとって本当に受け入れられないものだったのか。それを確かめたわけでもなかった。
それでも、提案は進まなかった。
そして、草加部には、日勤側が受け入れてくれなかったという説明が残った。
私は、その説明と実際に行われたこととの違いを、深く考えてはいなかった。




