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そして、記録だけが残った

振り返れば、ずいぶん長い時間だった。

始まりは、現場で感じていた違和感を、そのままにしておけなかったことだった。

夜勤の仕事は、本当に少ないのか。

人員を減らしても問題ないのか。

日勤と夜勤の負担は、きちんと比較されているのか。

その疑問を確かめようとした。


調べてみると、数字が出てきた。

一日だけでは分からないことが、一か月分を並べると見えてきた。

個数だけでは分からないことが、重量や時間帯を加えることで見えてきた。

現場の感覚だけでは説明しきれなかったことが、記録によって少しずつ言葉になっていった。

数字は、最初からそこにあった。

ただ、それを集め、比較し、判断に使える形にする仕事が必要だった。

俺は、その仕事を続けた。



すべてが解決したわけではない。最後に残ったのは、誰かに勝ったという実感ではなかった。

事実を確かめること。

それを、誰でも確認できる形にすること。

そして、自分が担うべき役割と、組織が担うべき責任を区別すること。

俺は、俺にできることをした。

それ以上でも、それ以下でもない。

数字は、俺がいなくなっても残る。

それをどう使うかは、残された人たちが決める。

俺が残したかったのは、自分の正しさではなかった。

あとからでも、現実を確かめられるということだった。


第三章へ続く

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