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戦場を選ぶということ
振り返ってみると、俺はずっと、目の前の問題に答えを出そうとしていた。
夜勤の仕事量を説明する。
日勤との違いを示す。
人員配置の根拠を求める。
負担の偏りを指摘する。
どれも、必要なことだった。
ただ、続けていくうちに、一つの問題が見えてきた。
正しいことを説明するのと、その正しさを現場の運用に反映させることは、同じではない。
数字を示しても、判断する側が使わなければ、配置は変わらない。
資料を作っても、運用する側が確認しなければ、改善が続くとは限らない。
説明を重ねても、議論そのものが繰り返されることもある。
そのたびに、また説明する。
さらに資料を作る。
もう一度、同じ話をする。
……これを、いつまで続けるんだ。
俺は、そこで考えるようになった。
戦い方そのものを変える必要があるんじゃないか、と。
黒田官兵衛の兵法を考えるなら、正面からぶつかることだけが戦略ではない。
相手を説得することに、すべての力を使う必要もない。
目的を定め、必要な手を打ち、状況が変わる仕組みをつくる。
そして、自分がそこに居続けなくても目的が果たされるなら、いつまでも前線に残る必要はない。




