改善は、現場に何をもたらしたのか
七月に入って、俺たちは一つの変化を確認していた。
タイミーの導入後、運行者が立て続けに戻ってくる状況に変化が見られたのだ。
以前は、早朝に四台がほぼ同時に戻ってくることがあった。
その後も、二台から三台が短時間に続けて戻り、荷下ろしが集中する状況が見られた。
これは、単に車両が戻ってくるという話ではない。
戻ってくれば、荷物を降ろさなければならない。
降ろした荷物は、仕分けなければならない。
仕分けを進めながら、次の到着にも対応する。
その間にも、別の作業が発生する。
車両が戻る時刻が重なれば、それだけ構内作業も集中する。
人員配置を考えるとき、荷物の個数だけを見ても足りない理由が、ここにもあった。
タイミー体制が始まった後、運行者の戻り方には変化が見られ、以前より戻りが遅くなる日もあった。
もちろん、これだけで変化の原因をすべてタイミーの導入に求めることはできない。
運行者の戻り時刻は、日によって変わる。
荷物量も一定ではない。
ただ、少なくとも、俺たちが改善前に課題として挙げていた状況に、変化が見られたことは事実だった。
六月の体制見直しは、単に人を増やしただけではない。
短時間に集中していた作業を、どう受け止めるか。
人員配置を変えることで、現場の運用にどんな変化が生じるか。
その検証でもあった。
そして、変化が見え始めたからこそ、次に考えなければならないことがあった。
この体制を、どう維持するのか。
改善は、導入した瞬間に完成するわけではない。
始めた後も、実績を確認し、必要に応じて調整していく。
俺たちは、そう考えていた。
ところが、運用を維持することと、配置を減らすことの間で、話が揺れ始める。
人員配置を見直すために、数字を集めた。
数字を基に、体制が変更された。
その体制が動き始めたところで、今度は配置をどうするかという話になる。
……また、そこに戻るのか。
そう思わずにはいられなかった。
改善の目的は、タイミーを何人入れるかという数字そのものではない。
必要な時間帯に、必要な作業を処理できる体制をつくることだ。
だからこそ、配置を変更するのであれば、その判断にも根拠が必要になる。
増やすときだけでなく、減らすときにも。
俺たちが求めていたのは、特別な扱いではなかった。
増員の根拠を実績で示すのであれば、減員の判断も実績に基づいて行ってほしい。
それだけだった。
だが、現場の運用は、数字だけで決まるわけではない。
そこには、これまでの経験や認識、そして、それぞれの勤務帯から見える景色の違いがある。
俺たちが見ていたのは、夜勤の時間帯に集中する荷物と作業だった。
日勤側には、日勤側から見える荷物と作業がある。
同じ営業所で働いていても、見ている時間帯が違えば、仕事の捉え方も変わる。
だからこそ、実績を共通の判断材料にする必要があった。
感覚の違いをなくすことは難しい。
しかし、感覚が違うからといって、実績まで別々に扱う必要はない。
数字は、夜勤の味方でも日勤の敵でもない。
ただ、実際に動いた荷物を記録している。
その数字を、どう判断に生かすのか。
問題は、そこにあった。




