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人を一人入れれば、解決するのか

人が足りない。

だったら、人を入れればいい。

理屈としては、間違っていない。

足りないところに人を配置する。

それで仕事が回るようになるなら、それが一番簡単だ。

ただし、現場の仕事は、求人を出した瞬間に回り始めるわけじゃない。

人を募集する。

採用する。

仕事を教える。

構内の配置を覚えてもらう。

荷物の種類や行き先を覚えてもらう。

便が到着する順番と、作業の流れを覚えてもらう。

そして、実際の荷物を扱いながら、少しずつ一人でできる仕事を増やしていく。

そこまで進んで、ようやく戦力になる。

人員配置の表に「一名」と書き込むことと、その一名が現場で仕事を回せるようになること。

この二つの間には、時間がある。

しかも、その教育を誰が担当するのかという問題もある。

教える側にも、自分の仕事がある。

新人が仕事を覚えるまでの間、教える側の作業が完全になくなるわけではない。

むしろ、最初のうちは確認も必要になる。

間違いがあれば修正する。

分からないことがあれば説明する。

その人が覚えるまで、現場全体で支える必要がある。

つまり、人員を一人増やしたからといって、その日から単純に作業能力が一人分増えるわけではない。

場合によっては、習熟するまでの間、教える側の負担も増える。

それでも、採用と教育を進めること自体は必要だ。

問題は、そこまで考えたうえで人員配置を決めているかどうかだった。

夜勤の仕事は、毎晩続く。

今日の荷物を処理すれば終わり、というわけではない。

明日も荷物は来る。

明後日も来る。

誰かが休めば、その日の勤務をどうするか考えなければならない。

欠員が出れば、残った人間で仕事を回すことになる。

だから、必要なのは、ある一日だけ成立する配置ではなかった。

人が休んでも、荷物が集中しても、新人を教育している最中でも、運用を継続できる体制。

俺が問題にしていたのは、そこだった。

「一人でできるだろう」

その一言で、話を終わらせることはできる。

その一人が休んだ日はどうするのか。

新人が入って、まだ仕事を覚えていない期間はどうするのか。

荷物が普段より多く到着した日はどうするのか。

点呼と構内作業が重なったら、誰が何を担当するのか。

そういう条件まで含めて考えなければ、継続できる運用なのかどうかは分からない。

一人で作業できる日がある。

それと、一人配置で安定して運用できる。

この二つは、やはり別の話だった。

俺は、そこを何度も考えていた。

ただ、考えたことが、そのまま現場の判断に反映されるとは限らない。

必要な人員を検討することと、実際に人を確保することも違う。

人を確保することと、仕事を覚えてもらうことも違う。

そして、仕事を覚えてもらうことと、その体制を維持することも違う。

一つずつ、段階がある。

その段階を飛ばして、最終的な人数だけを見ても、現場が本当に回るかどうかは判断できない。

……まあ、表の上では簡単なんだよ。

一人。

二人。

三人。

数字を並べれば、配置は決まる。

でも、その数字の中にいる人間は、翌日から突然、何でもできるようになるわけじゃない。

そこまで含めて、運用なんだ。

俺たちが集めてきたデータは、荷物の量を示していた。

何時に、何個、何トン来るのか。

その集中に、どれだけの作業時間が必要なのか。

そこから適正な人員配置を考えるための材料だった。

だが、配置を決めるなら、もう一つ考えなければならない。

その人数を、どうやって確保し、育て、維持するのか。

荷物の数字だけでは、人は育たない。

人員配置の表だけでは、現場は回らない。

そして、どれだけ合理的な計画を作っても、それを実際の運用につなげなければ意味がない。

俺は、少しずつ、そのことを実感するようになっていた。

必要な人数を示すことと、その人数で運用が成立することを確認すること。

改善には、その両方が必要だった。


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