体制を変えることと、考え方を変えること
六月末の時点で、夜勤の体制は動き始めていた。
けれども、体制が変わったからといって、夜勤に対する認識まで一度に変わるわけではない。
そこが難しいところだった。
人員を配置する。
作業を分担する。
運行者が戻ってきたときの荷物を処理する。
点呼や付随業務にも対応する。
現場では、それぞれの仕事がつながっている。
だから、ある部分だけを切り取って「人が増えた」「楽になった」と判断することはできない。
人員を増やしたことで、運行者が早く戻れるようになることもある。
しかし、運行者が早く戻れるようになったことと、夜勤の業務量そのものが少なくなったことは同じではない。
荷物がなくなったわけではない。
到着する時間が変わったわけでもない。
点呼や付随業務が消えたわけでもない。
むしろ、人員配置を見直す目的は、そうした業務を無理なく処理できる体制を作ることにあった。
そこを混同してしまえば、改善の意味が変わってしまう。
俺たちは、夜勤を楽に見せたかったわけではない。
実際の業務に合った体制にしたかった。
ただ、それだけだった。
数字は、もう出ていた。
夜勤と日勤では、見ている荷物の流れが違う。荷物は特定の時間帯に集中し、曜日や便によって業務量も変わる。そして、実際に作業できる人数は、勤務表上の人数と同じではない。
そこまで確認してきた。
だからこそ、次の判断にも、その結果を使ってほしかった。
報告書を提出することが、目的ではない。
報告書に書いた内容が、現場の運用に生かされること。
それが本来の目的だった。
だが、現実には、体制を変えた後も、配置をめぐる調整が続いた。
六月までの仕事が終わったからといって、問題のすべてが解決したわけではなかった。
むしろ、ここから先は、一度明らかにした実態を、実際の運用の中でどう維持していくかという段階に入っていた。
数字を集めること。
数字を分析すること。
数字をもとに改善すること。
そして、改善した運用を定着させること。
それぞれが、別の仕事だった。
俺たちは、そのことを改めて突きつけられていた。




