改善を始めた現場で、何が起きたのか
六月二十二日に最終報告書を提出した。
その一週間も経たない、六月二十七日。
午前四時二十分頃。
運行者から、こんな発言があった。
「タイミー使うなんてやる気がなくなる。これからどんどん早く戻ってやっからやー!」
……。
タイミーを導入したのは、夜勤の実態を踏まえて人員配置を見直すためだった。
それまで俺たちは、夜勤の荷物が少ないという認識に対して、実績データを積み上げてきた。
何時に、何個の荷物が来るのか。
どれだけの重量があるのか。
短時間に、どれだけの作業が集中するのか。
それを調べ、分析し、必要な人員を検証した。
その結果として、タイミーの導入につながった。
運行者が早く戻れるようになった一方で、夜勤に対する従来の認識が残っていたことも、改善が必要になった背景の一つだった。
つまり、今回の体制変更は、誰か一人の都合で始まったものではない。
夜勤の実態を確認し、営業所全体で運用を見直していくためのものだった。
もちろん、運行者にもそれぞれの考えや要望はあるだろう。
業務改善について意見を持つこと自体は、何もおかしくない。
ただ、その要望をどこに向けるのか。
個人に向けるのか。
会社に伝え、営業所全体の運用として検討してもらうのか。
そこは分けて考える必要があった。
せっかく新しい体制を作ろうとしているときに、現場で働く人間が互いに不信感を持つようになれば、運用改善そのものが進まなくなる。
俺たちが目指していたのは、誰かと誰かを対立させることではなかった。
必要な人員を配置し、運行者も、業務員も、事務所も、それぞれの役割を果たせる状態にすることだった。
人員配置の問題を、個人同士の感情の問題に変えてしまえば、運用そのものの改善から遠ざかってしまう。
六月二十七日の発言を受けて、俺たちはその点を懸念した。
だから、六月三十日付で、運行者の発言と運用改善の定着に関する報告をまとめた。
改善策を決めるだけでは足りない。
それが現場でどう受け止められ、どのような影響を与えるのか。
そこまで含めて、運用を考える必要があった。




