妖術師の覚悟 《弎》
「おー!妖術!」
「そう。妖術には主に三つあるからよく聞いてね」
明はそう言うと道着の内から2枚の人型に切られた紙を取り出した
「まず一つ…『式紙』」
明は人型に妖力を流し空へ投げる。その瞬間2枚の紙は浮遊し湊と明の間を浮遊し始めた
「おぉ!」
「『式紙』は念じた通りに動くしもべって所…工夫すれば視界の共有だって出来るし、自動で動くように出来る優れ者よ」
「なるほど…」
「次は『結界』」
明は再び懐から一枚の紙を取り出す。何やら難しそうな事が書かれた紙に妖力を込めると空のように透き通る青いバリアのような物が周囲を包んだ
「コレはほぼバリアみたいなもので…こんな風に」
明は先程の『式紙』に自爆を命じ爆破を起こしたが湊と明に傷はおろか塵一つ付いていなかった
「使うの。たまに『結界』の範囲を広げて自身と周囲の人物を閉じ込めたり、『結界』内の生物を別の場所に飛ばしたりしてくる奴がいるけどそんなの例外中の例外だから気に留めなくてもいいよ」
「ちなみに明はそれ出来る?」
「いや?私にその手の小細工は出来ないよ。『式紙』も『結界』も基礎が出来るくらい。私が得意なのは…いやほとんどの妖術師が切り札にしてるのは最後に教える…コレかな」
瞬間空気が変わり湊は思わず息を呑む
あの日俺を救った時みたいな雰囲気…いや今ならもっと的確な言葉がある。あの日と同じ妖力…
『斬虹』
湊の目には明が握っていた竹刀がいや、腕がもうひとセットあるように見えた。そのまま神速の″一撃″をマネキンに食らわせた
「コレは切り札だからよっぽど信頼している人にしか見せるのも、教えるのもダメだからね」
「───────すごい…竹刀が二本あった」
「え?………凄いね見えたんだ。私の固有妖術…『斬虹』は神速のごとき速さで剣を2回以上振るう技。本気でやれば7回まで振れるんだよ」
凄いでしょと言いたげな顔を浮かべる明に湊は何も言わずにいた
神速のごとき……と言うかあの瞬間確かに竹刀は″二本″あった…瞬きなんて決してしてない。この数週間も一切だらけてなんて……いや、あのガス爆破事故以降一回もだらけてないのに…こんなにも差が……
「凄い…」
湊がやっとの思いで絞り出した声はあまりにも弱々しく風によって一瞬で掻き消された
「湊もコレ見たいな凄い術を使えるよ」
コレからの期待と不安に湊は頭を抱えてしまった




