悪夢 《弐》
「はぁはぁはぁ…はぁ…はぁ…」
凛は息を切らしながらも走る。大地を裂くような轟音に恐怖しながらも宗吉は決して負けない最強の勇者なんだと言い聞かせ震える足を鼓舞する
「大丈夫…宗吉は…負けないんだ!」
「そうだな。お前がいなければ…だがな」
宗吉の一撃を食らい胸部から血をダラダラと垂らしている統は手に握った《ゲイ・ボルグ》で凛の両目を切り裂く
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
森中に凛の悲鳴が響く。それは宗吉の元に向かっていた湊にも届く
今のは凛の声!?どうなってる?まさか宗吉がやられた?いやだとすれば…居るのか!!
「お前のせいで宗吉は死んじまったよ…お前さえいなければ宗吉は幸せだったろうになぁ…アイツ最後にはこう言ってたぜ?凛なんて拾わなきゃ良かったってな!!」
「嘘だ!宗吉はそんなこと言わない!」
「嘘じゃねぇよ」
統は凛の頭に《ゲイ・ボルグ》を当てる
「聞いてないんだろ?拾いたくもなかったクソガキのせいで死んだんだ…そりゃ恨みつらみの一つや二つ言うさ」
統は《ゲイ・ボルグ》を凛の頭に突き刺した
宗吉は………そんな…こと、絶対…言わない
「そうそうそうそうそうそれだよ!!反論したいのに出来なかった悔しそうな顔!痛みに悶える体!全てが美しい!世界の全てを芸術したい!」
統は自身の理想…自分以外の生命を殺し、痛みや後悔に歪んだ姿を芸術にし、それらを自身の物にすると言う腐った夢があと少しで叶うと帆を赤らめ、身を捩らせる
「あと少しで世界征服…何をしてもいい俺だけの世界に…まさしく理想だぁ」
手遅れの今ようやく湊は駆けつけた
凛………
「統ッ!!!」
「今日は素晴らしい日だな…芸術作品が次から次へと…だからこそ残念だ。今お前をこの手で殺れないのが」
統は胸の傷を触り今湊と戦うのは得策ではないと悟ると赤鬼を呼び出し湊と、自身を連れてとある場所にワープさせた
「ここは…神宮の地下!?」
「ここならまとめて終わる。さぁやれ落武者!」
そこで湊が目にしたのは無数の死体と上下に切り裂かれた光一、壁に叩きつけられ、意識を失った明の姿だった。落武者の剣をなんとか受け止めた湊だが、赤鬼と共に行く統を見届けることしかできなかった
地上に上がった…?そうか神宮は北海道でも屈指の妖力が集まる土地。その妖力を使って全世界に妖怪を召喚し、世界規模の百鬼夜行を行うつもりなのか!! なら!
「そこを退けろ!落武者!!」




